初心者向けチャートで見つかる! 日本酒「久保田」の選び方
名前やボトルを一見しただけでは、どんな味わいかイメージしづらいのが日本酒です。本記事では、どれを飲んだらいいのか分からないという初心者向けに、おすすめの日本酒「久保田」のタイプが分かる診断チャートを公開します。たどり着いたタイプの「久保田」を足掛かりに、日本酒の世界へ踏み出してみませんか?
知る
新潟の銘酒として知られる「久保田」にはさまざまな種類がありますが、どう選んだら良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは「久保田」の種類や酒造りについて紹介。さらに久保田の新しい美味しさ・楽しみ方を体験できる「未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」の店長に、「久保田」の魅力や店舗で体験できる新しい選び方について教えてもらいました。
目次
長年に渡り、多くの日本酒ファンを魅了し続けている名酒「久保田」。造っているのは、米どころ・酒どころとして名高い新潟県にある酒蔵、朝日酒造です。
創業した1830(天保元)年当時、「久保田屋」という屋号で親しまれていたことから、その名を冠した日本酒「久保田」を1985年に発売。令和の現代に至っても、人々から愛され続ける酒造りに定評があります。
「久保田」の魅力のひとつが「酒造りは米づくりから」をモットーとした、米にこだわった酒造り。
米は日本酒の香りや旨味を大きく左右するもの。そこで、地元の米と水にこだわり、農家と連携しながら、酒造りにとって最良の品質となる米づくりを、丁寧に行っています。
時代の先端をゆく設備環境を整えながらも、伝統の技も用い、ローカルとともに歩み続ける酒。それが、朝日酒造の「久保田」なのです。
日本酒は、米・米麹・水を主原料とした、日本の伝統的なお酒です。
日本酒の定義は酒税法によって定められており、原料や製造方法・アルコール分(22度未満)などの条件を満たしたお酒を「清酒」、その中でも国内産米使用・国内醸造の清酒のみが「日本酒」と呼ばれます。
その中でも所定の要件を満たした日本酒は「特定名称酒」と呼ばれています。特定名称酒は、大きく分けると本醸造酒・吟醸酒・純米酒の3種類です。そこから原料や製造方法、精米歩合などの違いを基として、さらに8種類に分類されます。「精米歩合」とは、玄米を削り残った割合を%で示したもの。例えば、精米歩合が60%だと、玄米を外側から40%削り取った状態のことです。本醸造酒は70%以下、吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下と定められています。
<本醸造酒>
米・米麹・水の他に、醸造アルコールが添加されている日本酒です。その中でも、精米歩合が70%以下だと「本醸造酒」、60%以下だと「特別本醸造酒」に分類されます。
<吟醸酒>
じっくりと低温で発酵させる“吟醸造り”で製造された日本酒です。精米歩合が60%以下だと「吟醸酒」、50%以下だと「大吟醸酒」と分類されます。吟醸造りの日本酒は、「フルーティー」「華やか」などと表現される「吟醸香」が魅力です。
<純米酒>
醸造アルコールを添加せず、原料は米・米麹・水のみ。そのため、米本来の旨味や甘味、コクを強く感じられます。精米歩合に関する決まりがない「純米酒」と、精米歩合が60%以下で特別な製造方法をしている「特別純米酒」に分類されます。
その他「純米吟醸酒」と「純米大吟醸酒」は、純米酒と吟醸酒の両方の特徴を持つ日本酒です。
<純米大吟醸>
「久保田 萬寿」:特別な時を味わう格別な一本。深みを感じる味わいと香りの調和を追求しています。大切な人の誕生日など、記念日を彩る一本です。
「久保田 萬寿 自社酵母仕込」:時期限定出荷の純米大吟醸酒。生産に蔵人も携わっている酒米「五百万石」を精米歩合40%まで磨き、自社で開発した酵母で仕込んでいます。エレガントで深みのある味わいを実現しています。
「久保田 萬寿 無濾過生原酒」:2月限定出荷の純米大吟醸の生原酒。もろみを搾った後一切手を加えずに、すぐに壜詰めしています。飲む度に搾りたての味わいを楽しめます。
「久保田 雪峰(せっぽう)」:アウトドアシーンに合うお酒を、スノーピークと朝日酒造が共同開発。四季の自然を楽しみながら、仲間と酌み交わす特別な日本酒です。山廃仕込みによる懐の深い味わいが特長で、濃い味付けのキャンプ料理にもマッチします。
「爽醸 久保田 雪峰」:新緑が輝きだす4月に限定出荷される純米大吟醸酒。山菜など、春に旬を迎える食材で作ったアウトドア料理と相性抜群です。
「久保田 碧寿(へきじゅ)」:乳酸菌の力を最大限引き出す、伝統的な醸造方法の山廃仕込みによる純米大吟醸酒。お燗でも楽しめるコクのある味わいに仕上げています。
「久保田 純米大吟醸」:日本酒を初めて飲んだ人でも、口に含んだ瞬間に実感できる美味しさを追求した、新しい「久保田」。上質な日本酒を、カジュアルに楽しみたい方におすすめの一本。
<大吟醸>
「久保田 翠寿(すいじゅ)」:4月〜9月限定出荷の大吟醸の生酒。若々しさ・爽やかさを感じるために、加熱殺菌は一切せずに低温で貯蔵。上質な甘味と清々しい華やかな香り。そして、軽やかな味わいの後に心地よいキレが訪れます。
<純米吟醸>
「久保田 紅寿(こうじゅ)」:辛味と酸味が調和し、やさしい口当たり・ほのかな甘味の中にドライさを感じる純米吟醸酒。
「久保田 千寿 純米吟醸」:「久保田 千寿」のすっきりとした特長はそのままに、料理の味を邪魔しない、上品で澄んだ香りとバランスのとれた味わいの純米吟醸酒。
<吟醸>
「久保田 千寿」:いつもの食事をより特別なものにしてくれる、晩酌にぴったりな一本。すっきりと淡麗な味わいを追求した吟醸酒です。
「久保田 千寿 吟醸生原酒」:1月限定出荷の吟醸の生原酒。冬だけに楽しめる“千寿の搾りたて生原酒”です。
「久保田 千寿 秋あがり」:9月限定出荷の吟醸酒の原酒。冬に仕込んだ「久保田 千寿」の原酒を、約8ヵ月かけてじっくりと秋まで熟成させています。搾りたてならではの濃厚な味わいが、丸みを帯びた味わいへと変化しています。秋に旬を迎える食材ともぴったりです。
<特別本醸造>
「久保田 百寿」:辛口で飲み飽きしない酒質と、控えめな香りに仕上げた、「久保田」の基本形。
今回お話をお伺いしたのは、渋谷PARCOにある「未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」の店長を務める、謝翠翠(シャ・スイスイ)さん(以下、翠さん)。
台湾生まれ・台湾育ちで母国で日本酒と出会い、その魅力に惹かれて来日した、異色の日本酒愛好家とのこと。
「『久保田』の魅力をひと言で表すなら“懐の深い酒”であるということですね。初心者にも飲みやすく、酒通でも飲み飽きない。いろんな面で魅力を持ったお酒、それが久保田なんです。
初めて久保田を飲んだのは、恥ずかしながらこの店を開くことになったとき。台湾でも久保田のことが話題にのぼることはありましたが、正直、有名なお酒すぎて『そのうち、飲む機会があるだろう』くらいに思ってしまっていたんです」
日本酒を語る目は真剣さと愛情が溢れています
「でも、日本に来て、実際に飲んでみてビックリ!純粋に『美味しい!』と思いましたし、種類によってきちんと造り分けられていて、しかも一つ一つが違う魅力を発揮している。
こんなに美味しい日本酒を、これまで飲まずにいたなんて…と、とても後悔しました」
そんな翠さんには、ひそかな野望があるとのこと。
「近年、日本の若い人達が日本酒を飲まなくなってきていますが、それはとても残念なこと。日本にはこんなに優れた文化があるのに、それを知らず、飲まず、過ごしてしまってはもったいないと思います。
飲まない人が多いのは、単純にこれまでにつくられた『日本酒を飲む人=年配の男性』という古臭いイメージが強いだけだと思います。ですから、この渋谷の街から『日本酒を飲む人=カッコイイ人』というイメージを創り上げていきたいと思っているんです」
続いて、翠さんに、さまざまな種類がある「久保田」の、それぞれの魅力を語っていただきました。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2020年3月31日現在のものです。
※価格は全て税抜価格です。
特別本醸造・1,800ml/2,010円、720ml/920円
「晩酌用としておすすめなのが、こちらの百寿。キレがあって和食に合うので、普段のなにげない食卓にピタリとハマります。香りが控えめで、ほどよい辛口感。飲み疲れせず、飽きずに飲める、正に定番の酒。私のおすすめは燗酒ですが、常温でも冷酒でも美味しいですよ」
吟醸・1,800ml/2,430円、720ml/1,080円
「辛口を好きな女性におすすめしたいのが、こちらの『千寿』です。すっきりとした味わいで、上品な香りがポイント。米本来の旨味と酸味がほどよく感じられ、煮物でも焼き物でもコッテリ系の炒め物でも、なんにでも合わせられる実力派です。熱燗でもおすすめします」
純米吟醸・1,800ml/3,310円、720ml/1,500円
「休日の午後、疲れた体を癒したい…そんな、少しだけ贅沢に過ごす日におすすめしたいのが『紅寿』です。鶏肉のトマトソース煮込みやガーリックを効かせたステーキなど、しっかりした味付けの料理との相性がバツグン。バナナのような清涼感のある香りが、食欲を湧き立たせてくれます。こちらはぜひ冷酒で!」
純米大吟醸・1,800ml/3,400円、720ml/1,570円
「このお酒を飲んだとき、こんなに美味しいのにこの値段!?と驚きました。香りが華やかで、久保田らしいキレと旨味がある一本です。ホームパーティやお花見、宴会などの席での最初の一杯は…ビールも良いですが、ぜひこれにしてほしいですね。フルーツやデザートともよく合いますよ」
純米大吟醸(山廃仕込)・1,800ml/5,030円、720ml/2,230円
「日本酒が好きな人なら、絶対にハマるのがこの『碧寿』。すっきりとした飲み口ながらも、山廃仕込み(※)ならではの奥行きの深い旨味が楽しめます。燗酒でも美味しいし、キンキンに冷やしても美味。炭火で焼き上げた焼き鳥や、スモーク系の料理にマッチすると思います」
※山廃仕込み:自然の乳酸菌で雑菌の繁殖を防ぎつつ酵母を活性化させてアルコール発酵を促進する、昔ながらの日本酒醸造方法のひとつ。
純米大吟醸・1,800ml/8,110円、720ml/3,640円
「速醸仕込み(※)と山廃仕込み、造り方の違うふたつの酒を絶妙にブレンドした一本。味が美味しいのはもちろんですが、食事中にいただくことで、料理の味を格段に引き立ててくれるんです。ちょっとお値段は張りますが、その価値はプライスレス。仕事あがりにご褒美の一杯におすすめ。お刺身や、京風の煮物など、食材の旨味を生かした料理との相性がバツグンです」
※速醸仕込み:人工の乳酸を添加して日本酒を醸造する方法。1910年以降に普及し、現在では主流の醸造方法である。
吟醸(原酒・生酒)・1,830ml/3,120円、720ml/1,400円
「気温の低い冬に仕込む“寒造り”で造られていて、原酒(※)ならではの濃厚な味わいが魅力。力強さを感じる味わいで、飲むとパワーがもらえる気がします。千寿本来の飲みやすさとキレをそのまま受け継いでいるので、どんな料理にも合わせられます」
※原酒:アルコール度数を調整するために加水されていない日本酒を指す。アルコール度数20%前後のものが多い。
純米吟醸・1,800ml/2,800円、720ml/1,300円、300ml/650円
「こちらは、ひと言でいえば、とても“きれい”なお酒です。料理の邪魔をしないので、何にでも合わせることができますが、逆にお酒だけを飲みたいときにも十分に楽しめます。ちょっと一杯だけ引っかけて家に帰りたい…そんなときは、ぜひ、この純米吟醸を飲みに来てください」
今回お話を伺った翠さんが店長を務める「未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」は、「久保田」だけでなく、全国の酒蔵から集めた名酒がずらり。美味しいおつまみもあり、日本酒ファンから注目を集めるお店です。
このお店にきたらぜひ試してもらいたいのが「YUMMY SAKE×KUBOTAテイスティングキット」。
10種類の日本酒を情報なしで飲み、それぞれどれくらい好みかをスマートフォンに登録することで、味覚を判定。「アワアワタイプ」「スルスルタイプ」「キュンキュンタイプ」…といった12種類のオリジナルタイプから、自分がどのタイプの日本酒が好みかを教えてくれます。
10種類すべてをテイスティングしたら、判定を待つのみ。
すぐに結果がスマホ画面に表示されます。今回チャレンジした編集スタッフの好みは…
ビュンビュンタイプ!
きれいですっきりとした、穏やかで優しい味わいの日本酒を好むことが判明。久保田でいうならば「久保田 千寿 純米吟醸」がピッタリ。こうして判定されたタイプは、お店の日本酒メニューに記載されているので、後は自分のタイプのお酒を選べば良いだけ。
「分からないから適当に頼んでみたけど、全く好みじゃなかった…」なんて失敗もなくなるんです。
自分がどんな日本酒が好きか既に知っている方でも、YUMMY SAKEで新しい出会いや発見があるかも!
さまざまなシーンや食事に合わせた味が楽しめる日本酒「久保田」。ぜひお気に入りの一本を見つけてみてください。お近くの方は「未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」で好みの味を見つけるのもおすすめです。
未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO B1F
営業時間:平日 16:00-23:00(L.O.22:30)/土日祝 11:30-23:00(L.O.22:30)
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara
未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR 店長・謝翠翠(シャ・スイスイ)さん