日本酒の「生酒」とは?生貯蔵酒や生詰め酒との違いも解説
もろみを搾って火入れ(加熱処理)を一切おこなわない日本酒を「生酒」といいます。生酒には、火入れのタイミングや工程の有無などで、さらに様々な種類に分かれます。この記事では生酒の定義や、生貯蔵酒や生詰め酒との違い、生酒の種類や保存方法、おすすめの銘柄などを紹介します。
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同じ山でも春夏秋冬で違う風景を見せてくれるように、日本酒もそれぞれの季節でしか楽しめない味というものがあります。本記事では季節ごとの日本酒の特徴やそれに当てはまる銘酒「久保田」、そして四季折々の酒蔵の様子を紹介します。本記事を参考に、今年は日本酒で四季を実感する年にしましょう。
目次
日本には春・夏・秋・冬という四季があり、春であれば満開の桜、夏であれば海水浴、秋は紅葉狩り、冬は雪景色といったふうに、その季節でしか体験できないこと、見られない風景、味わえないものが存在します。
そのように四季折々で楽しめるものの一つとして、日本酒があります。
酒造りは一般的に、原料となる米が収穫される秋にスタートし夏前まで続きます。冬にはできあがったばかりのフレッシュなもの、秋には熟成したものなど、造りと熟成のタイミングに合わせその季節限定で楽しめるお酒があるのです。
そこで今回は、それぞれの季節で楽しみたい日本酒について解説します。さらに、新潟県を代表する銘酒であり"淡麗辛口"の代表である「久保田」から、その季節限定で味わえる商品もピックアップして紹介します。
今年は日本酒で季節の移ろいを感じる一年にしてみませんか?
※出荷予定は変更になる場合があります。最新情報は朝日酒造ホームページでご確認ください。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2023年1月3日現在のものです。
冬は酒造り真っ盛りのシーズン。日本酒の仕込みは温度管理が重要で、低温でじっくり発酵させるため、寒い冬の時期の方が酒造りには適しているのです。これを寒仕込みと呼びます。
冬は、その年の秋に獲れた新米で仕込まれる日本酒、つまり新酒の生まれる季節でもあります。早いものだと11月頃から、およそ3月頃まで出回ります。新酒ができたという目印が、緑色をした新しい杉玉です。杉の葉で作られた丸い玉で、新酒ができると杉玉の新しいものを作って吊るすのです。貯蔵期間の短さから、瑞々しくて爽やか、すっきりとした口当たりをしている新酒は、冬の風物詩でもあります。
さらに、冬の時期だけ味わえるのが、しぼりたての生酒です。
一般的な日本酒は、搾った後に一定期間貯蔵してから瓶詰をして出荷しています。しかし、冬によく見かけるしぼりたては、搾った後貯蔵をせずに瓶詰をするため、爽やかですっきりとした飲み口が楽しめます。
貯蔵だけではなく、一度も火入れ(加熱処理)をせずに出荷されるしぼりたてもあります。それが生酒や生原酒、無濾過生原酒のように”生”がつくもの。保存できる期間は限られますが、火入れをせずに造られているため、日本酒本来のフレッシュでフルーティーな味わいを堪能できます。
※商品の価格はすべて2024年8月7日現在のものです。
毎年1月に出荷される「久保田 千寿 吟醸生原酒」は、寒仕込みで造られる「久保田 千寿」の生原酒です。割水をしていないためアルコール度数が高く、かつ火入れを一度もしていないためフレッシュさのあるお酒ですが、低温で仕込みゆっくりと糖化と発酵を進めることで、やわらかさも感じられる味わいに仕上がっています。
搾りたての瑞々しい口当たりと、原酒ならではの濃厚な味わい、力強い香りが特長。
冷酒はもちろん、アルコール度数が高いのでソーダ割りやロックもおすすめです。
キレをもちながらしっかりした味わいが、おでんのような出汁のきいたお料理にもぴったり合いますので、冬の食と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
久保田 千寿 吟醸生原酒
1,830ml 3,380円(税込3,718円)
720ml 1,550円(税込1,705円)
毎年2月に出荷される「久保田 萬寿 無濾過生原酒」は、搾った後一切手を加えずすぐに壜詰めされている、まさにできたてに近いお酒。ほのかな黄金色の見た目やボトルを開栓した瞬間に漂う芳醇な香りは、この製法ならではのものです。
その芳醇な香りとともに、搾りたてらしいフレッシュな香り、そして素朴でありながら上質な味わいが口の中で広がります。
冷蔵庫で軽く冷やして、または常温で、生まれたままの素の状態をじっくりと満喫してください。
寿司、天ぷらなどの和食や、あん肝、からすみ大根といった濃厚な味わいのおつまみと合わせて冬の食卓にどうぞ。
久保田 萬寿 無濾過生原酒
1,830ml 10,750円(税込11,825円)
720ml 5,360円(税込5,896円)
春になると酒造りも終盤戦となり、その年の最後のもろみ(蒸米、米麹、酒母、水を加えたものを発酵させて造るもので、日本酒になる手前の段階)の仕込みを終える「甑倒し(こしきだおし)」を行います。続いて、その年の最後のもろみの搾りを終えること、つまり仕込んだお酒を全て搾り終える日である「皆造」を迎え、搾ったお酒はタンクで貯蔵されます。そして、5月頃になると田植えが開始。次のシーズンの酒造りで使われる米が育てられ始めるのです。
春の訪れとともに見かけるようになるのが「春酒」。「春酒」に明確な定義はなく、春に向けて発売されている日本酒がそのように呼ばれます。ボトルやラベルに春らしさのあるものが増えるほか、酒質では甘味のあるもの、口当たりの軽やかなもの、フルーティーな香りのものが多くなります。陽光うららかな季節には、軽快で明るさを感じられる日本酒が好まれるのかもしれませんね。
毎年4月に出荷される「爽醸 久保田 雪峰」は、「アウトドアで日本酒を楽しむ。」がコンセプトのお酒です。人気アウトドアブランド「スノーピーク」と朝日酒造が共同で開発しました。ボトルやパッケージの清冽な白さは、雪の下からの芽吹きを感じさせます。
マスカットやマスクメロンのような爽快でフレッシュな香りとともに、甘味・酸味の調和の中に、米の旨味がほんのり広がります。
ほどよく冷やして、春のほろ苦さを感じる山菜料理や、ハーブのきいた肉料理などと合わせるのがおすすめ。ご自宅のベランダやピクニックなどで、春の息吹や新緑の爽やかさを感じながら味わってみてください。
爽醸 久保田 雪峰
500ml 3,500円(税込3,850円)
田んぼで青々とした稲が育っている夏。酒蔵では仕込まれたお酒がタンクの中で熟成され、静かな眠りについています。その間に蔵人たちは次期の酒造りに備え、酒蔵の道具をすべて磨き、点検・修理する重要な作業「秋洗い」を行います。
そして夏の終わりになると重要な伝統行事「呑切り(のみきり)」を執り行います。写真のように、お酒を貯蔵しているタンクの呑み口を1本1本開栓して原酒を抜き出し、品質を検査するのです。
気温の高い夏にはついビールが飲みたくなりますが、キリッと冷やした日本酒を味わうのも乙な夏の過ごし方。春酒と同様に「夏酒」にも厳密な定義はなく、夏向けに発売されているものを夏酒と呼んでいます。そんな夏酒としては口当たり・喉越しがよくサラッと飲めるもの、冷やして飲んで美味しいものが多く店頭に並びます。
なかでもよく見かけるのは生酒。生酒と言えば冬に出荷されるイメージが強いですが、生酒特有のフレッシュさや瑞々しい味わいは暑い季節にもってこいです。
例年4~9月に出荷される「久保田 翠寿」は火入れを一度もせずに、低温で貯蔵して出荷する大吟醸の生酒です。
上品ながらもシャープな甘さと生酒のフレッシュさ、透き通るような軽やかな味わい、リンゴを思わせる清々しい香りが晴れやかな気持ちにさせてくれます。
スモークサーモンのようなスモーク素材、生姜やハーブを使った冷製料理などと相性が抜群。華やぐ春から爽快な涼を求める夏へかけての乾杯酒としてぴったりです。
久保田 翠寿
720ml 3,120円(税込3,432円)
実りの秋を迎えると、田んぼでは酒造りに使われる米の稲刈りが着々と進んでいきます。酒蔵では、新たな酒造期の幕開けです。酒造りにおける最初の工程は米を洗うことであり、その期における最初の米を洗うことは「洗い付け」と呼ばれます。その日から酒造りが始まり、冬にかけて仕込みの最盛期へと突入します。
もしお店で「ひやおろし」や「秋あがり」というお酒が並んでいるのを見つけたら、今年も無事に秋がやってきた証です。
「ひやおろし」とは、春に搾ったお酒に火入れを一度のみ行って、夏の間に熟成させてから出荷するお酒のこと。そして「秋あがり」とは、厳密に言うとお酒の種類ではなく状態を指しており、春に搾ったお酒が夏を越して秋を迎え、旨味がアップした状態のことです。
酒蔵で大切に熟成され夏を越えた日本酒の、旨味がなじんだまろやかさや厚みのある味わいは、この季節ならではのものです。
毎年9月に出荷されるのが「久保田 千寿 秋あがり」。火入れも割水もしない生原酒ならではの濃厚な味わいが、夏を越えて熟成し、まろやかな味わいへと変化しています。
ちなみに熟成前のものが、冬の久保田として紹介した「久保田 千寿 吟醸生原酒」。違いを比べながら味わえば、季節の趣を日本酒から感じられるはず。
熟成を経たことによるまろやかな口当たり、そして上品な旨味と原酒のパンチを楽しめます。キリっとした後味や原酒らしいグッとくる余韻も印象的です。
茄子やさつまいも、きのこなどの秋に旬を迎える野菜や、秋鮭をはじめとした上品な旨味のある魚介や肉類を使った料理と相性がよいです。秋の夜長に一杯お楽しみください。
久保田 千寿 秋あがり
720ml 1,600円(税込1,760円)
一言に「日本酒」と言っても、冬には冬の、夏には夏の味わいがあります。目に映る風景や食卓に並ぶ料理、服装など、季節の訪れを実感できるタイミングは色々ありますが、今年はその一つとして日本酒を加えてみませんか?