日本酒の寒造りとは?寒造りの特徴とお酒の味わい
酒造りの最盛期がやってきました。「寒造り原酒」「しぼりたて生」といったお酒が並んでいるのを見る機会が多いのも今の時期ならでは。寒造りってなに?寒造りのお酒って美味しいの?そんな疑問にお答えしましょう。
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毎年冬になると話題にのぼることの多い生原酒は、生酒と原酒の特徴を兼ね揃えた日本酒です。本記事では、生酒や原酒の特徴から詳しく解説し、生原酒の味わいやおすすめの楽しみ方、保存方法などを紹介します。さらに、1月限定で出荷される「久保田 千寿 吟醸生原酒」の魅力もたっぷり紹介していきましょう。
目次
生原酒とは生酒と原酒が合わさった言葉で、火入れをしない生酒と加水をしない原酒、両方の条件を満たしたものを指します。「生」という名のつくお酒には生酒、生貯蔵酒、生詰め酒があり、原酒には原酒、生原酒、無濾過生原酒があります。それぞれの製法や違いを整理して、生原酒の特徴を押さえましょう。
多くの場合、日本酒は製造過程で火入れという加熱処理を2度行います。火入れをした日本酒は品質が安定し、長期保存が可能です。しかし、生酒は火入れを行いません。保存期間が限られますが、フレッシュでフルーティーな、他では味わえない味わいへと仕上がるのです。
生貯蔵酒は、出荷前のみ火入れを行った日本酒です。火入れをしない状態で貯蔵されるため、生酒特有のフレッシュさも感じられる上、1度火入れを行っているので生酒よりも保管しやすいという特徴があります。
生詰め酒は、もろみを搾った後、割水をしてから貯蔵前のみ火入れをおこなった日本酒です。通常の日本酒に比べるとフレッシュな味わいに仕上がり、生貯蔵酒と同じく保管しやすいという利点があります。
搾ったばかりの日本酒は、そのままだとアルコール度数が17~20度と比較的高めです。これを一般的な日本酒のアルコール度数である15~16度にするために、瓶詰めの直前に水を加えアルコール度数を調整します。
原酒とは、その加水を行わずにそのままの状態で出荷するお酒のこと。アルコール度数が高く、飲みごたえのある濃厚な味わいが特徴です。
原酒のうちで火入れをしていないものを生原酒と呼び、さらに濾過していないものを無濾過生原酒と呼びます。
濾過、火入れ、加水をしない無濾過生原酒は、いうなれば酒蔵で搾ったままの「生まれたての日本酒」。みずみずしいフレッシュさとともに、日本酒本来の旨味や香り、非常に濃くパンチのある味わいが特徴です。
火入れも加水もしない生原酒の味わいとは、どのようなものなのでしょうか。おすすめの飲み方とあわせて紹介します。
生原酒の味わいを端的に表すならば、「フレッシュで濃厚」。火入れも加水もしていないため、日本酒本来の濃厚な味わいが楽しめます。
濃い味わいでアルコール度数が高いため、人によっては強いと感じたり、ボリュームのある飲み口が重たく感じたりするかもしれません。しかし日本酒が大好きな人や、濃厚な味わいを求めている人であれば、きっと生原酒を気に入るでしょう。お酒本来の個性が際立つので、馴染みの銘柄の生原酒を飲んでみるのもおすすめです。
生原酒はアルコール度数が高く味わいも濃厚であるため、まずはおちょこで少量ずつ味わってみてください。がつんとした味わいが気になるようであれば、しっかり冷やしておくと味わいやすくなるのでおすすめです。
またロックや炭酸割りも、生原酒には向いています。しっかりとした生原酒の味わいを保ちながら、適度にアルコール度数が下がるので飲みやすくなります。
冬なので燗酒を飲みたくなるかもしれませんが、生原酒は燗酒に不向きです。通常は燗酒に合うと言われているおでんや煮物などを、あえてよく冷やした生原酒と合わせて新しい味わいを楽しみましょう。
一般的な日本酒と異なり、期間限定で販売される生原酒。火入れや加水を行わないことで生まれるフレッシュさが魅力ですが、それだけ繊細なお酒ともいえます。そのため、生原酒は保存方法に注意が必要です。ここからは、生原酒を美味しく楽しむために知っておきたい、適切な保管場所や開栓後の保存方法について解説します。
火入れをしていない、生原酒ならではのフレッシュさを保つには、購入後なるべく早めに冷蔵庫へ入れるのがベスト。
ドアポケットなどに置くと光や振動の影響を受けてしまう可能性があるので、本来はその辺りを避け、開閉の頻度が少ない場所で保管するのが望ましいとされています。ただし、家庭用冷蔵庫ではなかなか難しい場合もあるのも事実。
そこでおすすめしたいのが、お酒の瓶を新聞紙で包む方法か、購入時の化粧箱に入れた状態で保管する方法です。このように品質の劣化を防ぐための工夫をすることで、より良い状態を少しでも長く保てるでしょう。
日本酒には賞味期限が表記されないため、いつまでなら美味しく飲めるのか判断に困るときがあります。一般的に、未開栓の日本酒は製造年月を基準に約半年から1年程度は美味しく飲めるとされています。しかし生原酒は火入れをしていないため、製造年月から半年を目安に、生のフレッシュさを楽しみたいなら2ヶ月以内がおすすめです。
また、開栓済みの日本酒の場合は、約2週間を目安に早めに飲み切ってしまいましょう。これは、一度開栓すると熟成が進みやすくなり、味わいが変化する可能性が高いためです。生原酒は非常に繊細なお酒なので、本来の美味しさが損なわれないよう、一般的な日本酒よりもできるだけ早く飲み切ることをおすすめします。
久保田の中で高い人気を誇る「久保田 千寿」には、1月に限定出荷される「久保田 千寿 吟醸生原酒」があります。「久保田 千寿」との違いや、味わいの特長を紹介します。
「久保田 千寿 吟醸生原酒」は、冬だけ楽しめる、搾りたての「久保田 千寿」の生原酒です。
寒造りと言われる、最も酒造りに適している1月から仕込み始めます。低温で仕込み、ゆっくりと糖化と発酵を進めることで、加水をしないアルコール度数の高い原酒でも、味のやわらかさを感じていただける仕上がりになっています。
もともとは久保田発売20周年を記念した限定品でしたが、好評につき2010年より季節限定商品となり、2020年にリニューアルしました。
「久保田 千寿 吟醸生原酒」の味わいの特長は、搾りたてのフレッシュな口当たりと、原酒ならではの濃厚な味わい、力強い香りです。
「久保田 千寿」本来の飲みやすさとキレも健在で、濃厚でありながらすっきりした飲み口を楽しめます。
ベーシックな千寿よりもアルコール度数が4度高いため、千寿を飲みなれている人にはアルコールが強く感じられる場合があります。ロックや炭酸割りにすると、飲みやすくなるのでおすすめです。
さっぱりした料理にもコクのある料理にもマッチするので、好みの冬の味覚とともに楽しんでください。
久保田 千寿 吟醸生原酒
1,830ml 3,380円(税込3,718円)
720ml 1,550円(税込1,705円)
※商品の価格は2024年5月20日現在のものです。
日本酒本来のフレッシュで濃厚な味わいが楽しめる生原酒は、限られた期間しか味わえない特別なお酒です。日本酒好きはもちろん日本酒初心者も、そのままの状態やオンザロック、炭酸割りで、生原酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。気になった人は1月限定出荷の「久保田 千寿 吟醸生原酒」もぜひ試してみてください。