日本酒と共に過ごす四季。今年は季節限定の美味しさを楽しむ一年にしよう!
同じ山でも春夏秋冬で違う風景を見せてくれるように、日本酒もそれぞれの季節でしか楽しめない味というものがあります。本記事では季節ごとの日本酒の特徴やそれに当てはまる銘酒「久保田」、そして四季折々の酒蔵の様子を紹介します。本記事を参考に、今年は日本酒で四季を実感する年にしましょう。
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新酒は、一般的に酒造年度内に出荷された日本酒を指して使われる言葉。しかし、実は定義があいまいで、場面によっては異なる意味合いで使われることもあります。この記事では、秋から翌年の春にかけてよく耳にする「新酒」の意味や味わい、通な楽しみ方などについて解説します。
目次
秋から冬にかけて耳にする機会が増える「新酒」。文字通り、日本酒の“新しいお酒”を指して使われる言葉です。しかし、実は“新しい”の範囲が曖昧で、いくつかの意味が存在します。まずは、その意味から紹介します。
1つ目は、酒税法により定められた酒造年度内(毎年7月1日~翌年6月30日)に製造出荷された日本酒を新酒とする、というもの。
日本では一般的に、4月~翌年3月までを年度の区切りとすることが多いです。しかし、日本酒の製造は収穫された米の量をベースに、冬の寒い時期を中心に行われます。そのため、一般的な4月~翌年3月では都合が悪いと考えられ、1965年に7月~翌年6月の期間が酒造年度として適当であると定められました。
つまり、その年度内に造って出荷した、できたてほやほやの日本酒を新酒というわけです。
2つ目は、その酒造年度内に収穫した新米で造る日本酒を新酒とする、というもの。①とほとんど変わらないように見えますが、“米の収穫年度を限定しているところ”がポイント。つまり、“今年収穫した米で今年造った日本酒”が対象となります。
①のように、酒造年度内に製造出荷されたものであれば、昨年収穫された米を使っていても新酒と呼ぶことはできます。しかし、実際のところ一般的に使われている新酒というワードは、②の意味で広く使われているのが現状です。
現在では温度管理等の技術の向上により、年中日本酒を造っている酒蔵もあります。しかし、多くの酒蔵では11月~3月にかけて、その年に取れた新米で造った日本酒を出荷するので、この時期になると“新酒”という言葉をよく聞くようになるはずです。
ちなみに広辞苑では、「醸造したまま火入れを行っていない清酒」「その年にとれた米で醸造し、春に出荷するお酒」などと記載されています。②と比べて、火入れをしていないこと、そして出荷時期も限定されているのがポイントです。
ここでは、11月頃から出荷される新米で造った新酒の味わいについて紹介します。
新酒は、貯蔵期間が短いので、瑞々しくて爽やか、すっきりとした口当たりを楽しむことができます。しぼりたてならではの荒々しさや若々しさから来る、ピリピリとした刺激を感じるものもあります。
また、加水をしない「原酒」や、火入れをしない「生酒」で出荷される新酒もあるので、非常にフレッシュな味わいを楽しむことができます。
新酒には、飲む時期で味わいの変化を楽しめるという魅力も。出荷したてはフレッシュな味わいですが、自宅でしばらく保管して熟成させれば香味が落ち着き、また違った味わいを楽しめます。ぜひ、新酒の変化や飲み頃を意識した、通な飲み方をマスターしてください。
フレッシュな状態から徐々に味わいが変化する新酒は、時期によって異なる味わいを楽しめます。求める状態の新酒を探すには、やはりプロに聞くのが一番。酒販店が新酒を独自で貯蔵・熟成させていることもあるので、好みに合う飲み頃の銘柄を尋ねてみてはいかがでしょうか。
同じ銘柄でも期間を空けながら少しずつ飲むことで、爽やかで瑞々しい風味からふくよかで落ち着いた味わいへと変化する様子を楽しめます。1度に同じ銘柄を数本購入し、時期を分けて飲んでみるのも面白いでしょう。
ただし、自宅で保管して熟成させる場合は、劣化させないよう保管方法に注意しましょう。日本酒は種類によって保管方法が異なります。要冷蔵と記載のあるものや、生酒、大吟醸酒などは、味わいを保つために冷蔵庫で保管が望ましいです。さらに新聞紙や化粧箱に入れて保管すると、ドアの開閉による温度変化や光の影響を受けにくくなります。
要冷蔵と記載がないものや、純米酒、普通酒も冷暗所が基本ですが、寝かさず立てて保管しましょう。冷蔵庫と同様に、新聞紙や化粧箱に入れての保管が望ましいです。
秋から冬にだけ楽しめる、フレッシュで瑞々しい味わいが特徴の新酒。
新酒の時期は、秋刀魚や栗、松茸など秋の味覚が美味しい時期でもあります。旬の食材とのペアリングを楽しんだり、飲む時期を変えて味わいの変化を堪能したり、楽しみ方はさまざまです。
今年の新酒はどのように楽しみますか?