人気料理研究家おすすめ!料理に合わせて楽しむ日本酒選びのポイント
2025.09.19

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人気料理研究家おすすめ!料理に合わせて楽しむ日本酒選びのポイント

日本酒というと、種類が多くて特有の用語もあるので「なんだか難しそう」と感じる方も多いかもしれません。日本酒=和食というイメージも根付いていましたが、飲める場所や機会の広がりとともに、料理との合わせ方も様々に楽しまれてきています。それでは、具体的にどのように合わせるのがおすすめでしょうか?料理研究家の高橋善郎氏に、彼が考案した日本酒「久保田」と合う料理を例に挙げながら、料理と楽しむ際の日本酒を選ぶポイントを伺いました。美味しい日本酒体験に、一歩踏み出してみませんか?

目次

  1. マルチに活躍する料理研究家・高橋善郎さん
  2. 「三種薬味の海鮮サラダ」
    1. 定番のわさび醤油で刺身を食べるときの日本酒には?
  3. 「しらすと夏野菜マリネのせ冷奴」
    1. お酢を使った洋風のマリネにも合う日本酒は?
  4. 「グリルビーフとスパイシーサルサ」
    1. 肉料理と日本酒を合わせるときには?
  5. 「ショコラバウムラスク」
    1. 日本酒と相性の良いスイーツは?
  6. 日本酒「久保田」の魅力とは
  7. 日本酒をいろいろな料理と一緒に楽しんで

マルチに活躍する料理研究家・高橋善郎さん

料理家・トライアスリート高橋善郎氏

日本酒ペアリングイベント会場にて

今回話を伺ったのは、料理研究家の高橋善郎さんです。東京・世田谷にある和食料理店の代表を務めながら、トライアスリートでもある彼は、知識と経験を活かして多方面に活動されています。
日本酒学講師の資格も持つ高橋さんは、これまで日本酒「久保田」に合う料理レシピを数多く考案しており、その料理と日本酒とのペアリングを体験するイベントを開催した際には、参加者から「美味しい!」と毎回大好評。今回は、タイプの違う料理4品をピックアップし、料理と日本酒との相性、合わせる際のポイントについて紹介します。

「三種薬味の海鮮サラダ」

三種薬味の海鮮サラダ

まず最初の料理は、刺身と薬味をたっぷり使ったサラダ仕立ての一皿です。市販のドレッシングでも美味しく作れますが、こちらはごま油をベースにコチュジャンと粉山椒を使って、ピリッと旨辛なオリジナルドレッシングで味付けしています。このドレッシングとショウガ、ミョウガ、大葉といった薬味がアクセントになり、日本酒がすすむ絶品おつまみに。

この料理に合う日本酒として、「久保田 千寿」をチョイス。千寿は、日本酒「久保田」の中でも食中酒として王道かつ定番ともいえる、すっきりとした淡麗な味わいの吟醸酒です。「懐深い千寿は、定番のわさび醤油はもちろん、旨辛ドレッシングをまとった刺身も受け入れてくれます。」と、高橋さんも太鼓判を押す組み合わせ。また、山廃仕込みの「久保田 碧寿」のように少し酸味のある酒や、ドレッシングの味わいに負けない「久保田 千寿 秋あがり」などの原酒と合わせると、また違った良さを楽しめるとか。
(※詳しいレシピはリンクの記事からご覧いただけます)

定番のわさび醤油で刺身を食べるときの日本酒には?

「日本酒はお米からできているので、お米本来の旨味、香り、余韻が楽しめる点で"純米酒"やより淡麗な"本醸造酒"が一般的には合わせやすいですね。魚の種類でも違いがあって、白身は比較的淡泊、赤身の方が旨味が多い。僕が最近好きなのは、ちょっと酸味もある赤身にシャープな酸味が特長の碧寿を合わせる組み合わせです。」と高橋さん。

また、日本酒の味わいの種類の広がりや好まれるものの変化も指摘し、「淡麗辛口が刺身に合うのはもちろんですが、若い方には多少香りが華やかなものがより飲みやすいとも思います。白身魚には、そういった香りがあるものや、爽やかなタイプの日本酒も調和しますよ。」とのこと。おすすめとして挙げたのは、「久保田 千寿 純米吟醸」、「久保田 純米大吟醸」そして、スパークリング日本酒の「久保田 スパークリング」など、好みによって選ぶと良さそうです。

「しらすと夏野菜マリネのせ冷奴」

しらすと夏野菜マリネのせ冷奴

続いて、山形県の夏の名物料理「だし」に似せて野菜をたっぷり豆腐にのせた一品は、オールマイティーにどのタイプの日本酒とも合わせやすい冷製おつまみです。今回は、日本酒もジャンルを問わず料理と寄り添う「久保田 千寿 純米吟醸」を合わせています。

「料理自体さっぱりした要素が全面にありつつも生醤油を使っているので、料理と合わせて生酒のようなフレッシュ感のあるもの、または、生醤油のように素材をいかしつつ濃醇さがあるような、夏から秋にかけてという時期に出てくる「秋あがり」といわれる酒も相性が良いです」。

お酢を使った洋風のマリネにも合う日本酒は?

今回は、豆腐や醤油を使っていることもあって日本酒と合わせやすいものの、メニュー名にあるように「マリネ」でイメージするお酢やワインビネガーなどで漬け込んだ味わいのものには、どういった日本酒が合うでしょうか?

「先ほどの赤身魚自体にあるわずかな酸味とは違い、お酢を使った料理としての酸味があるものについては、日本酒の味わいに酸味があるものよりも、ほどよい香りの華やかさ、お米の甘さ、旨さがあった酒の方が調和します。久保田でいえば、今回合わせた千寿 純米吟醸もやはり合いますし、純米大吟醸も」。他には、生酒の「久保田 翠寿」の名前もおすすめに挙がりました。

「グリルビーフとスパイシーサルサ」

グリルビーフとスパイシーサルサ

手軽に食べられる「シュラスコ」をイメージしたお肉の一皿。香ばしく焼いた牛肉が食欲をそそります。
合わせるサルサソースには、キウイを入れることで酢の酸味の角がとれ、またフルーツ特有の果実香が加わって日本酒との相性もぐんと高まります。
合わせる日本酒としては、純米大吟醸、純米吟醸をベースに、ロックでも楽しめる生酒や生原酒、さらに日本酒を炭酸で少し割る飲み方もおすすめとのこと。久保田では、香りが華やかな「久保田 純米大吟醸」の他、アウトドアブランド「スノーピーク」と共同開発した「久保田 雪峰「爽醸 久保田 雪峰」が、スパイスや肉の脂とも相性よくマッチするそう。

肉料理と日本酒を合わせるときには?

「お肉と日本酒を一緒に楽しむときには、まず肉の種類によってなんとなくの方向性があり、加えて味付けで決めていくとよいですね。」と話す高橋さん。
「すき焼きのような脂がこってりしたものは、華やかさを求めるというよりは、純米酒や本醸造、吟醸がおすすめです。千寿のような、王道の日本酒というか、辛さと旨さのバランスがとれている酒が合います。
ステーキ、焼肉などもこってりした味付けなので先ほど同様ですが、例えば牛タンを塩レモンで食べる、といったシンプルな味付けのものは、香り華やかな酒と合わせると相乗効果が生まれてきます。また、雪峰シリーズのように、旨味もありながら、ずば抜けたキレや爽やかさがある日本酒も◎。」と、肉料理と日本酒の香りやキレとの相性について語っていました。

「ショコラバウムラスク」

ショコラバウムラスク

市販のバウムクーヘンも高橋さんのアレンジで、ビターチョコレートやシナモンを効かせた一段大人のスイーツおつまみに仕上がります。「酒のつまみに甘いものなんてもってのほか!」と思っている方にも試していただきたい一品です。
シュワっと軽い泡がはじける「久保田 スパークリング」や、フレッシュな生酒の「久保田 翠寿」と合わせるのがおすすめ。

日本酒と相性の良いスイーツは?

最近は、スイーツと日本酒を一緒に楽しむ方も増えてきています。「日本酒と合わせるスイーツとして、アイスやチョコレートはもう定番だと思いますね。今回は、ビターなチョコレートを使っていますが、チョコレートの中に日本酒をちょっと足すと、香りが際立ちます。アイスもチョコレートも、日本酒の香りがたちやすくて楽しみやすいことが共通しますね。また、フルーツを使ったタルトやゼリー、ババロアもおすすめ。フルーツを使ったスイーツには、「久保田 純米大吟醸」のように、香りがあって純米大吟醸らしい華やかさがあるものがフレーバーとして相性がいいです。」とのこと。
また、「久保田 碧寿」のような山廃仕込みの独特の酸味やクセ、味わいがあるものを取り入れてもフルーツの甘みとの相乗効果が生まれる、と楽しみ方は色々あるそうです。

日本酒「久保田」の魅力とは

高橋善郎氏

これまで多くのペアリングレシピを考案してきた高橋さんからみた久保田の特徴も伺いました。
「まず、朝日酒造という酒蔵としての"酒質の安定性"が担保されているところがベースにありますね。新潟の地元の方から県外の方まで、一つの蔵でいろんな酒質が楽しめるのが蔵としての魅力。ビギナーから玄人まで、日本酒好きにとって飽きないのではないでしょうか。
朝日酒造が造る日本酒の一つ、久保田についても品質の安定性、そして季節商品含めてラインアップの多さで誰でも楽しめることが魅力です。また、「久保田 純米大吟醸」や、「久保田 千寿 純米吟醸」のように、時代に即した酒を常に模索している点も大きいです。古き良きものを守る姿勢も大事にしながら、新しい顧客をターゲットにしようと取り組んでいる。大きな会社ながら時代にあわせて自ら変わろうと取り組む姿勢がやはり魅力に感じます」。

ちなみに、高橋さんご自身が好きな久保田については、「久保田 百寿」の名前が挙がりました。
「お酒単体でも楽しめるし、料理を邪魔せず合わせやすいですね、飲み飽きもしないですし。冷酒から少しずつ飲んで、温度変化があっても美味しい。」と愛飲されているそう。

日本酒をいろいろな料理と一緒に楽しんで

今まであまり日本酒に馴染みがなかったけれど、食事と一緒に楽しんでみようかな、という方へのアドバイスとして、「肩肘はらずに、自分の生活スタイルで無理せず試していくのがおすすめですね。」と高橋さんは話します。
「酒販店などで店員さんに聞いてみる、商品のリーフレットなどを見る、小さいサイズから試してみる、など出来ることからやってみたらいいですよ。今は、AIツールもあるし、好きな食べ物や味わいを入力すると好みの日本酒が分かるような機能も使えますし、自由に試してみてはどうでしょうか。ビギナーの方であれば、華やかな味わいがいいと思うので、久保田だと「久保田 純米大吟醸」などおすすめですし、「久保田 翠寿」なんて、そのみずみずしさや若々しさに初めて飲む方はびっくりすると思います。」と、優しいエールを送ります。
堅苦しいルールはありません。日本酒をぜひいろいろな料理と一緒に楽しみましょう。

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料理研究家・トライアスリート  高橋善郎

料理研究家・トライアスリート  高橋善郎

調理師免許、きき酒師の上位資格である日本酒学講師、ソムリエ、野菜ソムリエなど食に関する資格を9個保有。 企業のレシピ開発、テレビやイベント出演など各メディアで活躍中。 2児の父であり、東京・世田谷にある和食料理店 「凧(はた)」「凧 HANARE」の代表も務める。 趣味のトライアスロンでは年代別優勝するほどの実力。2018〜2020年の世界選手権にエイジグループ日本代表として3年連続で出場。 「食✕健康✕スポーツ」の普及活動も精力的に行う異色の料理研究家。