日本酒でレモンサワー? 芳醇なコクと香りを楽しむアレンジ術
10月5日は「レモンの日」です。ブームとなって久しいレモンサワーは、焼酎を割って飲むのが基本形。それをあえて日本酒で作ることで、通常のものとは違うコク深いレモンサワーが味わえます。純米酒や本醸造酒など日本酒のタイプ別に、おすすめの飲み方をご紹介します。
楽しむ
桜の季節がやってきました。桜の便りが届くと春の訪れを実感します。そして、桜といえばお花見を楽しみにしている方が多いのではないでしょうか。お花見に欠かせないのはお酒。特に日本酒は、常温~燗酒と幅広く楽しめるためお花見には最適です。しかし「外で燗つけは難しそう」と思っていませんか。今は便利なアイテムが多くあり、手軽に燗がつけられます。美しい桜を見ながら燗酒で乾杯しませんか。
目次
花見の歴史は古く、中国から伝来した梅の花を観賞するのが由来です。平安時代に入ってから梅から桜へと移り変わり、桜の花でのお花見の起源は、嵯峨天皇が催した「花宴の節」という宴であると日本後紀に記されています。鎌倉・奈良時代に入り、「吉野の花見」や「醍醐の花見」で知られる武将たちの参加者総勢5千人にも及ぶお花見は、豪華絢爛で茶会や歌会などが催されていました。しかし、当時の農民にとってのお花見は豊作祈願の神事だったのです。貴族以外に花を愛でる行事として広まったのは江戸時代になってから。桜の品種改良も行われ、現在全国各地で観賞できるソメイヨシノもこの時代に生まれたと言われています。
落語好きならきっと聞いたことがある『花見酒』の小噺。仲のよい兄弟分、「向島に花を見に行ったら酒屋がない、だから我々二人が金を出し合って酒を売らないか」と、酒を仕入れて売る事にしました。途中、芋でも買おうと残して置いた1貫。ところがその1貫の金を相棒に払って一杯の酒を買って飲み出してしまいました。金を受け取った相棒も待ちきれず、その1貫を相手に渡して一杯。相手が美味そうに飲むので 、その1貫で交互にまた飲む。向島に着く頃には酒樽は空っぽ。「1貫出してお前が飲んで、俺が飲んで、またお前が飲んで、俺が飲んで…売り切れた」「それなら、無駄が無くって良かったな」というサゲ(オチ)。経済のことを言っている噺ですが、お金よりお酒を優先してしまう人間らしさに酒飲みは思わず笑ってしまうのではないでしょうか。
「酒が無くてなんの桜かな」と言われるように、花見には酒がつきもの。秩序を守って程よく花見酒を楽しみましょう。特に燗酒は体温に近いため負担なく身体に吸収され、飲み過ぎを防ぐことが出来ます。手軽に、または本格的に、それぞれの花見燗酒を体験してみてください。
【必要なもの】
・保温タイプの水筒やポット
・グラスまたは猪口
・グラスの入るマグカップなど
特に買い足す必要も無く、自宅にあるもので出来そうなのがお湯を持参して湯煎する方法。火を使わないので一番安全性が高いでしょう。
保温性の高い大きめの水筒などに沸いた湯を入れていきます。現地に着いたら水筒の蓋かマグカップに湯を張り、グラスに日本酒を注ぎマグカップに入れます。1杯温まるのに2分ほど。
日本酒は「久保田 純米大吟醸」がおすすめです。50℃前後まで温めることは可能ですが、40℃くらいが飲み頃。フルーティーな香りが開き、華やかさがお花見にぴったりです。
【必要なもの】
・携帯おかん器
・アルミ製の容器または耐熱ガラスなど
・ぐいのみ
発熱剤に水をかけると温まる仕組みの携帯おかん器。二人で乾杯する量は一気に温められるのが利点です。
加熱用の袋を広げ、発熱剤を置き、水を注いで容器を入れます。すぐにブクブクと泡立ち湯気が立ってきます。300mlの瓶なら丁度よく袋にフィットし、そのまま温められますが、日本酒をアルミ製の容器に入れておけば持ち歩く時も軽くて楽でしょう。ぐいのみも紙製のものにすればかなり軽量化出来ます。20分ほど発火が続きますが、6~7分でちょうど良い45℃になりました。発火残りの時間でもう1本燗をつけられるのが嬉しいところ。
日本酒は「久保田 純米大吟醸」にしましょう。果物のような香りとミルキーな酸がふわりと立ち上り、桜の心地良さと草木の香りが加わって更に美味しく感じられます。
【必要なもの】
・固形燃料
・ミニストーブ
・ライター
・風防板
・耐熱カップ
・徳利
・猪口
・ミニテーブル
・防炎シート
ちょっと本格的に、キャンプ感も味わいたい。そんな時におすすめなのが固形燃料を使用する方法。左側は全て100均で揃えた一式です。円形のストーブと台、固形燃料がアルミのカップに収納できるため、かさばらずに運べます。屋外なので風除けの風防板があると良いでしょう。右側はキャンパーお馴染みのストーブですが、似たようなものが100均でも販売されていました。
耐熱カップに水か湯を注ぎ、80℃くらいになったら徳利を入れて温めます。固形燃料は20分ほど燃焼するので、1個で燗酒2本程度なら可能。じわじわと温められ、徳利からの香りも確認できるので好みの温度につけられるのが利点。42~3℃で味が膨らむ「久保田 千寿 純米吟醸」が最適です。
【必要なもの】
・使い捨てコンロ
・ライター
・直火可能カップ
・ちろり
・徳利
・猪口
・ミニテーブル
・防炎シート
花見をしながらBBQをしたり、燗酒とおつまみを揃えたいと思いませんか。炭おこしや後片付け要らず、火をつけるだけですぐに楽しめるインスタントコンロが数多く販売されています。火力も十分で、1時間程度しっかり燃焼するため、お肉も焼ける便利グッズ。徳利や猪口はお気に入りの物を持って出かけても良いでしょう。ちろりがあれば完璧です。
炭に火をつけ、直火可能カップに水か湯を注ぎ、日本酒を入れたちろりを温め、好みの温度になったら徳利に移します。日本酒は、ぬるくても熱々でも幅広い温度帯で楽しめ、様々な食材と相性の良い「久保田 千寿」を。炭の火力が落ちたら、余熱で乾き物を乗せると最後まで堪能出来ます。
火を使用する場合は必ず許可されている場所か確認をし、防炎シートを敷くのを忘れずに。使い捨てコンロは火が完全に消えたのを確認してから捨てましょう。
屋外とはいえ、やはり美味しい燗酒を飲みたいですよね。直火はアルコール分が飛びやすく急激な温度変化で味が壊れてしまうため、湯煎を中心に紹介しました。桜を眺め、燗酒を飲みながら、楽しく語らう時間を過ごして欲しいと思います。
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まゆみ
酒匠、料理研究家。1日も欠かすことなく酒を呑み続ける驚胃の持ち主。酒と蕎麦と音楽を愛する。著書「うち飲みレシピ」「スバラ式弁当」。