予算5000円で贈れる、お歳暮におすすめの日本酒4選
お歳暮は、お世話になった人に一年の感謝を込めて贈るものです。お酒好きの方に贈るなら、この時期は日本酒がおすすめ。年末年始は日本酒の出番も多く、少し贅沢な日本酒を贈れば喜ばれること間違いなしです。お歳暮の一般的な相場である5000円以内(税込5500円以内)で購入できる、お歳暮におすすめの日本酒をご紹介します。
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明日10月1日は「日本酒の日」です。古くから醸され続けてきた日本酒。その製造元である酒蔵は、味わいの特徴ごとに複数の銘柄を出していることが多く、銘柄の数は相当なもの。そんな中でも、多くの人に知られる有名で人気な銘柄も存在します。驚くほど幅広く、どこまでも深い日本酒の世界を知るはじめの一歩として、特に名の通った新潟を代表する有名銘柄5選をご紹介します。
目次
古くから日本の食と文化に深く根づいている日本酒。そんな日本酒を造る全国各地の酒蔵の数は、法人化されていない個人事業主まで含めるとなんと1,500以上にも上ります。(2018年度調査時点)
そして、日本酒の銘柄の数でいうと、1,500を超える酒蔵は複数の銘柄を出していることも多いため、相当の数となり正確な数は分かりません。
日本酒の裾野の広さを表すように、酒蔵は日本列島の北から南まで各地に分布していますが、ミネラル分が少なく酒造りに向いた超軟水に恵まれた新潟県にある酒蔵の数は、47都道府県中でもっとも多い88蔵。そうした好条件のもとで造られた新潟県産の日本酒の中からは、全国的に人気の高い銘柄も数多く生まれています。
酒どころといえる新潟の日本酒は、誰もが一度は耳にしたことがあるような銘柄も多くあります。新潟の有名・人気銘柄と看板商品をいくつかご紹介します。
菊水酒造は新発田市にある酒蔵です。1972年、日本で初めて缶入りの生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」の商品化に成功。ロングセラー商品として親しまれており、様々な味わいや飲み方を楽しめます。
生原酒「ふなぐち菊水一番しぼり」は、発酵を終えたもろみを火入れ(加熱処理)・割水をせず、搾りたてのままアルミ缶に詰めた生原酒です。
生原酒はとてもデリケートな性質。長期保存や遠方への輸送には適しておらず、かつては市場に出荷するのは無謀とされ、酒蔵見学に来た方だけに振る舞う特別なお酒でした。そんな生原酒を鮮度を保ったまま届けられるアルミ缶入りの形で流通させた本品は、日本初の画期的な商品でした。以来、同酒蔵の代表格ともいえる定番銘柄となっています。
非加熱ならではの鮮烈なみずみずしさと、原酒の骨太な旨味とを併せ持った味わいを手軽に楽しめます。
日本を代表する米どころとして知られる南魚沼の地にある酒蔵が八海醸造。
同酒蔵の「八海山」は、南魚沼にそびえる八海山の名を冠した新潟の地酒として有名です。
旨味があるのに、飲み飽きしない。辛口なのに、尖ったところがない。淡麗なのに、深みがある。そんな酒造りの姿勢を映した同銘柄の定番酒「清酒 八海山」。「いい酒をより多くの人に」を形にした、同酒蔵の真髄のお酒です。普通酒でありながら原料米を60%まで精米し、低温発酵でゆっくりと丁寧に造っています。料理の邪魔をしない、淡麗なすっきりとした飲み口です。
吉乃川は長岡市にある歴史ある酒蔵です。醤油、味噌などの醸造業者の蔵も集まる摂田屋地区に位置しており、創業は戦国時代1548(天文17)年、県内最古の酒蔵といわれています。
同酒蔵と同じ名前を使った銘柄「吉乃川」の各商品の中でも、看板商品といえるのが「極上吉乃川」。「酒本来の旨味を持ちながら、キレのある淡麗な酒質」を目指し、代々受け継がれてきた伝統と技、すべてを注いで醸したこだわりの酒です。
特別なお祝いの席だけでなく、日々の小さな喜びを分かち合う瞬間を極上の時に彩ります。
白瀧酒造は、越後湯沢の酒蔵です。「トンネルを抜けると雪国だった」という川端康成の「雪国」の舞台越後湯沢は世界有数の豪雪地帯、新潟県魚沼地方に位置し、豊かな雪解け水が酒造りの源となっています。
同酒蔵の有名銘柄「上善如水」は、中国古典『老子』の一節に由来しています。生きとし生けるものに恵みを与え、それでいて何事にも抗わずしなやかに流れ行く。そんな水のあり方を人の理想的な生き方の喩えとした言葉が「上善如水」です。
目指したのは、“水のようにピュアな日本酒”。定番の「上善如水 純米吟醸」は、まさに水のごとく癖のない口当たりとどこまでも澄み切った味わいで、日本酒が苦手な人でも受け入れやすい味わいです。
朝日酒造は長岡市にある酒蔵です。
同酒蔵の看板銘柄である「久保田」は、創業当時の屋号から取ったもの。そのことからも「久保田」ブランドが朝日酒造の渾身の作であることが窺われます。また、「久保田」のラベルには新潟県内で作られたこだわりの手漉き和紙が発売当初から使われています。同酒蔵の酒造りの原点である新潟の風土を映し、常にその原点に向き合い立ち還ろうという覚悟を表しています。
こってりとした濃醇甘口の日本酒が主流だった1985年、淡麗辛口というコンセプトで登場したのがこの「久保田」でした。
当時の日本酒の流れや傾向を考えれば、淡麗辛口はかなり斬新で思い切ったコンセプトだったといえますが、そのすっきりとした飲み口は多くの人の支持を得て、その後の淡麗辛口ブームにつながりました。
「久保田」シリーズの最高峰といえる純米大吟醸「久保田 萬寿」。華やかであると同時に落ち着きと品格を漂わせる香り立ち、澄んだ印象でありながらしっかりと芯のある調和の取れた味わいは、朝日酒造の言わばフラッグシップモデルとしての矜持を感じさせます。ひと口含むとふわりと広がる風味が余韻を残し、合わせる料理をさらに美味しくします。飲み口の薄いグラスなどで飲むと、その伸びやかな香りと味わいをより一層楽しめるでしょう。
銘柄さえ覚えておけば自分好みの日本酒が手に入るというわけではありません。同じ銘柄であっても、原料米や製法などによって味わいが異なるからです。
日本酒の銘柄はブランドあるいはシリーズに当たるため、その銘柄を冠した日本酒は複数種類あることが一般的です。原料米や製法などを調整することにより生まれる香りや飲み口、旨味・甘味・酸味のバランスの違いなどをベースとして、さまざまなバリエーションが展開されています。
そのため、同じ銘柄の複数種類の日本酒の間にはかなりの味わいの幅があることも少なくありません。「◯◯酒造(=酒蔵)の□□□(=銘柄)の大吟醸(=種類)」などで覚えておくと、自分の好みをきちんと把握できます。
ひとつの酒蔵に一番人気の銘柄があり、ひとつの銘柄の中に一番人気の商品があります。本記事でご紹介しているのは、各銘柄の代表的商品としてとりわけよく知られているものです。
しかし、前述のとおり同じ銘柄の日本酒であっても吟醸酒、純米酒など種類が違えば当然味わいは異なります。
特定のコンセプトという一本の糸に貫かれて造られた複数種類の日本酒を味わうことで、その銘柄の違う景色、違う表情を垣間見ることができるというのは興味深いもの。気に入った銘柄が見つかったのであれば、ぜひその銘柄の中で飲み比べをしてみてはいかがでしょうか。
多くの銘柄がある中でピンと来るものがあるならば、それはある種の縁といえるでしょう。毎日を喜びと満足で彩ってくれるその縁を大切にしたいものです。
定番酒の代表作や看板商品はその銘柄の、さらにはその酒蔵の特徴やコンセプトなどを理解するための入口といえます。そこから一歩踏み出したなら、その先に広がる日本酒世界の長く楽しい旅の始まりです。