日本酒の適量はどのくらい?アルコール量を知って、もっと日本酒を楽しもう
お酒を飲みすぎたとき、平衡感覚がなくなったり気分が悪くなったりした経験はありませんか?これは、お酒に含まれる「アルコール量」の仕業。自分の適量を知っていれば、飲みすぎることなく楽しい時間を過ごせます。この記事では、アルコール量の意味や計算方法を解説するとともに、飲みすぎない日本酒の楽しみ方について紹介します。
知る
料理をさらに美味しくしてくれたり、その場の空気を和ませてくれたりするお酒。一日の最後に飲むあの一杯を励みに頑張っているという人も多いでしょう。しかし、飲む量や飲み方を誤れば幸せ以外のものを運んでくるというのも、目を背けてはいけないお酒の持つ一面です。本記事ではお酒が健康に与える影響や、適量とはどのくらいなのかを解説します。末永くその美味しさを楽しむために、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
目次
「お酒を飲み過ぎたら体によくないよね」「ほどほどの量で止めておくべきだよね」ということは誰もが知っています。ですが、飲み過ぎた時に自分の体の中で何が起きるのか、そもそも自分に合った量とはどの程度なのか、よく分かっていないままお酒を飲んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、適量を越えたお酒を飲むと体にどんな影響があるのか、適量とはどのくらいなのか、そして健康的に楽しむために心掛けたいポイントを解説します。美味しいお酒を末永く楽しむために、ぜひ参考にしてください。
人間の体でお酒と切っても切れない関係にあるのが、肝臓です。
肝臓は、アルコールを分解し無毒化する役目を担っています。肝臓がなければアルコールが体中をずっと巡っている状態になり、肝臓があるから私たちはお酒を飲むことができるのです。
そんな肝臓は、アルコールの分解を専門とした臓器ではないというのをご存じでしょうか? 肝臓は生命維持のために様々な役割を持ち、その数なんと500以上と言われています。代表的なものとして、食べ物をエネルギーに加工し、動脈を通して全身へ届ける「代謝」や、緊急時に備え、栄養を蓄える「貯蔵」といった仕事があります。
やらなければならない仕事をたくさん抱えた肝臓。適量を越えた飲酒をし、アルコール分解のために働かせすぎて肝機能が低下すると、その他の仕事ができなくなり、体へ悪い影響が出てしまうのです。
適量を越えた飲酒をして肝臓を働かせすぎるのはNG。一方で、適量の飲酒であれば血行促進や善玉コレステロールの増加といった、体へのよい効果が期待できると言われています。ここからはその「適量」がどのくらいか、解説します。
年齢や体重、アルコールの分解能力によって個人差はあるものの、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、一日の適正な飲酒量は純アルコール量で20gというのが一般的です。女性はアルコールの分解速度が遅いため、10g程度が推奨されています。前述の「健康日本21」にも、女性は男性よりも少ない量が適当であることが記されています。
この純アルコール量というのは、お酒に含まれるアルコールの量のこと。
お酒に含まれるアルコールの濃さは千差万別で、例えば日本酒であれば15度前後、ビールであれば5度前後となっています。同じ100mlを飲んだとしても摂取したアルコール量は全く異なり、つまり体への影響も異なります。そのため適量を考える時には、飲んだお酒の量だけではなく、摂取した純アルコール量も考えなければなりません。
純アルコール量は、お酒の容量(ml) × アルコール度数(%)/100 × 0.8(アルコールの比重)で出すことができます。
アルコール度数が15度の日本酒1合(180ml)の純アルコール量は、180 ×0.15× 0.8=21.6gですので、一日の適正な飲酒量は、大体1合だと分かります。
同じ計算式を使えば、アルコール度数が5度のビールであればロング缶1本(500ml)、7度のチューハイであれば1缶(350ml)と、飲むお酒によって一日の適正な飲酒量を知ることができます。
「一日に適正な飲酒量は純アルコール量20gだけど、休肝日を作れば一日にもっと飲んでもいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。
ですが、週に一度大量に飲むのと、毎日少しだけ飲むのでは、後者の方が心筋梗塞のリスクが低いという研究結果が出ています。数少ない機会で「今がチャンスだ!」とでも言うように飲むより、毎日少量を楽しむ方が、体には優しいのです。
よって、頻度よりトータルの飲酒量をわきまえる、休肝日があろうとなかろうと1週間の合計量で判断する、といった習慣を付けるのも、お酒を健康的に付き合うための秘訣と言えるでしょう。
一日あたりのお酒の適量が分かりましたが、適量だからと言って日本酒1合を一気飲みしては元も子もありません。ここからは、健康的に楽しむために心掛けたい、飲み方のポイントを説明します。
まず心掛けたいのが、語らいながら飲むこと。話している間は口が動き、飲食が一時中断します。時間をかけて飲食をすることで血糖値が緩やかに上昇するため、体に優しくお酒を楽しめます。
それから食べながら飲むことで、アルコールの吸収が緩やかになり、酔いが穏やかに押し寄せるようになります。
逆に何も食べずに飲むと、胃を素通りして小腸でアルコールが瞬時に吸収され、血中アルコール濃度が急上昇するため、肝臓に負担がかかるだけでは済みません。脳が強い刺激、つまり快楽を学習してより多くの量を求めるようになる危険もあります。
同時に気をつけたいのが、お酒と共にいただくおつまみの食べ過ぎ。実はアルコールには食欲増進効果があるのです。
お酒に合うおつまみには塩分が高めのものも多いため、たくさん食べてしまうと喉が渇き、ついついお酒が進みます。するとまた食欲が増進し、体に負担のかかるループに。摂取カロリーがどんどん増えてしまいますし、塩分は摂取し過ぎるとむくみにも繋がり、体の代謝も滞ってしまいますので、お酒の量とともにおつまみの量にも気を使いましょう。
アレンジして飲むのも健康的に楽しむ方法です。中でも、日本酒を温めて楽しむ燗酒(かんざけ)は体に優しい飲み方の一つ。
アルコール分解は、飲んだお酒が体内で体温と同じくらいになるとスタートします。冷酒を飲むと後から酔いが回るのはそのためで、冷えたお酒が体温と同じ温度に上がるまで体内に停留しているのです。そうなると飲んでいる最中は酔いに気づかず、計らずも飲みすぎてしまう恐れがあります。
燗酒はほぼ体温と同じ温度のため、飲んですぐにアルコール分解が始まります。飲んでいるうちから酔いが回り始めます。飲んでいる最中から酔いが回ることで、自然と飲みすぎないよう心掛けやすいというのもメリットです。
下記の記事では、そんな体に優しい燗酒の楽しみについて、詳しく解説しています。
燗酒に詳しくない方向けに熱燗やぬる燗の違いについても詳しく紹介しているので、興味がある方は参考にしてください。
世界中にはこのようにお酒を温めて飲む文化が多数あり、燗酒のほかにはお湯や牛乳で割って作るホットウイスキー、アイリッシュコーヒー等が該当します。
割って飲むことでアルコール度数を下げられるため、これも体に優しい楽しみ方だと言えます。日本酒であれば冷酒を飲む時には炭酸水などで割って楽しむ、というのも選択肢に入れてみてください。
下記の記事では、自宅でも簡単にできるおすすめの日本酒の割り方を紹介しています。
日本酒を割って飲むのは邪道と思われがちですが、割っても味わいを崩すことなく楽しめるのが日本酒です。興味がある方はぜひ参考にしてください。
本記事では、飲み過ぎると体にどんな影響があるのか、適量とはどのくらいなのか、それから健康的に楽しむために心掛けたい、飲み方のポイントを解説しました。
乱れた食生活や過度な喫煙など不摂生な生活を送っていては、今回紹介した内容をいくら実践しても水の泡。ほどよい量の飲酒、バランスのよい食生活、良質な睡眠、適度な運動…と、生活全般を健康的にして、美味しいお酒を末永く楽しんでいきましょう。