
お酒を楽しむ基礎知識〜純米酒や大吟醸など日本酒の種類を解説〜
お酒には、ビール、日本酒、焼酎、ウィスキーなどさまざまな種類があります。その中でも日本酒は、近年世界的に人気となっており、種類も銘柄も多いお酒のひとつです。この記事では、日本酒は好きだけど詳しいことは知らないという方に、日本酒の種類ごとに特徴をわかりやすく解説していきます。
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日本酒は原料や製法などによって、さらに細かい種類に分かれています。この記事では日本酒の「特定名称酒」のうち、「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の3種類についてお届けします。それぞれの特徴と魅力を詳しく解説しますので、日本酒を楽しむためにご活用ください。
目次
日本酒と一口に言っても、細かく種類があり、そのなかでも「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」は知っておきたいものです。まずは、3種類を分類する方法について解説します。
日本酒には「特定名称酒」と「普通酒」または「一般酒」があります。「純米酒」や「吟醸酒」など、馴染みのある日本酒も「特定名称酒」に該当します。
この「特定名称酒」の分類は大きく分けて、吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3種類です。「特定名称酒」は酒税法によって定められた所定の要件をクリアした日本酒で、原料や製造方法などの違いによって、8種類に分類されます。
この8種類に該当しない日本酒を、「普通酒」または「一般酒」と呼びます。
日本酒の基本となる原料は、米・米麹・水です。そこに「醸造アルコール」が原料に加えられているかどうかで、特定名称酒は2種類に分類されます。
醸造アルコールが加えられていない日本酒は、「純米酒」「特別純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」の4種類です。すべて名称に「純米」が入るのが特徴です。その名前のイメージ通り、米本来の味わいを楽しむことができる日本酒です。
それ以外の「本醸造酒」「特別本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」には、醸造アルコールが加えられています。醸造アルコールによって雑味が抑えられ、飲み口はすっきりとした仕上がりに。特定名称酒に使用できる醸造アルコールの量は原料米総重量の10%未満であることが定められています。
原料の他、精米歩合によっても分類されます。精米歩合とは、玄米を削り残った割合を%で示したものです。お米は表層と中心部で成分が異なるため、精米歩合の違いで日本酒の香りや味も変わります。よく磨かれたお米を使った日本酒ほど、香りが高まり雑味が減るといわれています。
精米歩合60%ならば、玄米を外側から40%削り取り、残りの60%を原料として使用していることになります。具体的な種類分けの数値としては、本醸造酒が精米歩合70%以下、吟醸酒が60%以下、大吟醸酒が50%以下と定められています。
ちなみに食卓に並ぶ、飯米の精米歩合は平均90%前後。この数字を見ると、日本酒のお米がいかによく磨かれているかがわかりますね。
続いては、「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」各種の特徴と、おすすめの飲み方を紹介します。種類にあわせて飲み方を変えると、日本酒がより美味しく楽しめます。ぜひ、飲む際の参考にしてください。
吟醸酒は、「吟醸酒」と「大吟醸酒」があります。どちらも同じ、低温でじっくり発酵させる吟醸造りですが、大きな違いは「精米歩合」。吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下の精米歩合でなければ、ラベルに吟醸、大吟醸と表記できない決まりがあります。
また、醸造アルコールが添加されていない「純米吟醸酒」と「純米大吟醸酒」があります。
吟醸酒のなかでも、“香り重視”のタイプは、華やかな香りを楽しめます。香りを損なわない、10℃ほどの冷酒で飲むのがおすすめです。“味わい重視”のタイプの吟醸酒は、バナナのようなおだやかで奥深い香りと、しっとりとした味を楽しめます。料理との相性も抜群で、食中酒にぴったりです。温め過ぎると香りが飛んでしまうため熱燗には向いていませんが、40℃ほどのぬる燗はおすすめです。
純米酒の原料は米・米麹・水のみで造られ、醸造アルコールは含まれません。米本来の旨味や深いコクが楽しめる日本酒です。
さらに、精米歩合や製造方法など特別な要件を満たしている純米酒は「純米吟醸酒」や「純米大吟醸酒」、「特別純米酒」を名乗ることができます。同じ純米酒といっても、原料米の種類や精米歩合によって味わいは異なるのです。
濃厚でお燗に合う銘柄が多く、温めることで旨味が増し、口当たりもまろやかになります。冷やや冷酒で飲むのもおすすめです。すっきりとした味わいになり、飲みやすくなります。
本醸造酒は、精米歩合が70%以下の米や米麹、水、醸造アルコールを使用して造られた日本酒です。本醸造酒に使用される醸造アルコールは、白米総重量の10%を超えないように決められています。
飲み方は、冷酒や冷やで飲むのがおすすめです。冷酒だと、キレと爽快感が増し、本醸造酒のすっきりとした味わいを楽しめます。冷やだと、口当たりが良く、お酒本来の味わいを楽しむことができます。
本醸造酒のなかでも、芳醇でコクが深いタイプは燗酒にも向いています。ただし、温度が熱すぎるとすっきりした飲み口が損なわれるので、少しぬるめにすると良いでしょう。
なお本醸造酒には、「特別本醸造酒」という、税法上で「精米歩合60%以下又は特別な製造方法をとった本醸造酒で色沢が特に良好なもの」と定められたお酒もあります。「特別な製造方法」と定義されていますが、厳密な決まりはありません。原料となる米や米麹、製法などが工夫されるため、各酒蔵の特徴が出やすいお酒です。
ここからは、 「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」別におすすめの日本酒を紹介します。数ある銘柄の中から、酒どころ新潟の定番酒「久保田」をセレクトしました。
「久保田 千寿」は1985年の久保田発売時に最初に誕生した、まさに久保田の原点です。
綺麗ですっきりとした淡麗な味わい、穏やかな香りに仕上げた、いつもの食卓を少し特別にする「食事と楽しむ吟醸酒」。喉をさらっと通るキレの中に、米本来の旨味と酸味とともに、ほのかな余韻や甘味が感じられます。料理の味を邪魔することなく、四季折々の素材が持つ味と香りを引き立てます。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,430円
720ml 1,080円
毎年9月に限定出荷される純米酒「朝日山 秋あがり 純米」は、ひと夏を越えたまろやかな熟成感が堪能できる日本酒です。料理に合う、豊かな旨味が特徴です。
冷酒や冷やはもちろん、燗酒もおすすめ。温めることで香りが広がり、旨味がさらに深まります。燗酒の温度が下がるにつれて変化する香味も楽しんでみてください。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,280円
720ml 1,070円
「久保田」の基本形である、控えめな香りとすっきり辛口な酒質は飽きが来ません。辛味と酸味もあって後味はドライ。シンプルな肴とともにいただくのはもちろん、酒だけでも美味しく楽しめる銘柄です。
冷酒・冷や・ぬる燗など、さまざまな飲み方で楽しめるのも魅力です。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,010円
720ml 920円
「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」は日本酒を代表する主要な3種。ラベルを見ればどの種類のお酒かは分かりますが、種類ごとの製法や特徴まで知っていると、お酒の席でのネタとしても喜んでもらえるはずです。日本酒の種類を知って、これまで以上にお酒時間を楽しんでください。