日本酒の寒造りとは?寒造りの特徴とお酒の味わい
酒造りの最盛期がやってきました。「寒造り原酒」「しぼりたて生」といったお酒が並んでいるのを見る機会が多いのも今の時期ならでは。寒造りってなに?寒造りのお酒って美味しいの?そんな疑問にお答えしましょう。
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日本酒にはさまざまな用語があります。本記事では日本酒の使用原材料、麹造りや酒母造り、もろみ造りに関する用語を解説。他にも、酒造りの職種や日本酒の温度に関する用語、その他知っていると便利な日本酒の用語も集めました。日本酒の用語の意味を知り、日本酒の楽しみ方の幅を広げましょう。
目次
まずは日本酒に使用される原材料の酒造好適米や精米歩合、麹米、掛米、米麹、醸造アルコールについて解説をします。
酒造好適米:日本酒造りに適した米。主な特性は、米粒が大きい、心白がある、たんぱく質が少ない、軟質米であるなど。
精米歩合:精米工程で米をどれだけ精米したかを、元の玄米の重量に対する白米重量の割合で示す数字。例えば、精米歩合が60%なら、玄米を表面から40%削り取った状態の米。
麹米:米麹を造るために使用する白米。
掛米:もろみの仕込みに使用する白米。
米麹:麹菌(きくきん)を付着させて、繁殖させた米。
醸造アルコール:デンプン質物や含糖質物を原料として発酵させ蒸留したアルコール。
日本酒には麹造り、酒母造り、もろみ造りといった大切な工程が3つあります。まずは、最初の工程である麹造りに関する用語について解説をします。
麹菌:カビの一種。発酵食品に欠かせないもので、日本の代表的な調味料や酒類のほとんどに使用されている。
種麹 (もやし):蒸米に麹菌を培養し、充分に胞子が着生するまで繁殖させ、乾燥させたもの。麹造り時の種として用いられる。
破精:蒸米に種付けした麹菌胞子が繁殖して、菌糸が白く見える状態のこと。破精が蒸米内部に入っている状態を「破精込み具合」と呼ぶ。
突き破精:蒸米の表面に破精(はぜ)が斑点上に広がっており、破精ていない部分もあるが、破精が米の中心部まで食い込んでいる麹。
総破精:蒸米の表面だけでなく内部にも全体に破精込んでいる麹。
酒母造りは、酒造りにおいて土台とも言える大切な工程です。ここでは酒母造りに関する用語を解説します。
酵母:キノコやカビと同じ真菌類に属する微生物の一種。清酒酵母は、もろみの「アルコール発酵」において欠かせない役割を担う。
速醸酛(そくじょうもと):仕込む時に、雑菌繁殖を抑えるために人工の乳酸を加え、酵母を純粋に培養した酒母。約二週間という短期間で、安定した酒母造りが行える。
生酛(きもと):仕込み時に乳酸を加えるのではなく、酒蔵の壁や空気中などに漂う乳酸菌を繁殖させて酵母を培養した、昔ながらの造りの酒母。蒸米を櫂棒(かいぼう)という名の道具ですりつぶして溶かし、乳酸菌が増殖しやすい環境をつくっていく、「山卸(やまおろし)」という工程を行う。酒母が出来上がるまで、約一カ月間の時間を要す。
山廃(やまはい)酛:生酛の派生酒母で、「山卸」を行わない酒母。米麹の持つ酵素の力で米を溶かして山卸と同様の働きを促し、酒母を造る。
もろみ:蒸米、米麹、酒母、水を加えて発酵させたもの。発酵を終えたもろみをこすと、原酒と酒粕に分かれる。
ここでは、特定名称酒や、火入れなどの製造方法の違いによる分類についての用語を解説します。
特定名称酒:所定の要件を満たしたお酒。特定名称酒は、吟醸酒、純米酒、本醸造酒の3つに分けられ、そこからさらに原料や製造方法の違いにより8種類に分類される。
吟醸酒:精米歩合が60%以下で、低温でゆっくりと発酵させる吟醸造りで造られた日本酒。吟醸造りで精米歩合が60%以下のものは「吟醸酒」、50%以下のものは「大吟醸酒」と分類される。
純米酒:米、米麹、水のみで造られる日本酒。精米歩合60%以下の吟醸造りで造られた純米酒は「純米吟醸酒」、精米歩合が50%以下の吟醸造りの純米酒は「純米大吟醸酒」、特別な製法で造られたものは「特別純米酒」と分類される。
本醸造酒:醸造アルコールが含まれている日本酒で、精米歩合70%以下は「本醸造酒」、精米歩合60%以下または特別な製法をとった本醸造酒で色沢が特に良好なものは「特別本醸造酒」と分類される。
搾り:もろみを搾り原酒と酒粕に分ける工程のこと。上槽ともいう。
※搾ったお酒は、採取するタイミングによって名称が変わります。
あらばしり:搾り始めて最初に出てくる日本酒。
中取り(中汲み):搾りの中間部分の日本酒。
責め:搾りの終盤部分の日本酒。
火入れ:もろみを搾った原酒を加熱処理すること。微生物の殺菌とともに酵素の働きを止める。
※通常、日本酒は貯蔵前と出荷前の2回、火入れが行われます。
生酒:一度も火入れをしていない日本酒。
生貯蔵酒:火入れをしないまま貯蔵し、出荷前のみ火入れを行う日本酒。
生詰酒:火入れ後に貯蔵し、出荷時には火入れをしない日本酒。
ひやおろし:春に搾ったお酒に一度だけ火入れを行い、夏の間に熟成させてから出荷する日本酒。
新酒:酒税法により定められた酒造年度内(毎年7月1日~翌年6月30日)に製造出荷された日本酒。または、その酒造年度内に収穫した新米で造る日本酒。広く使われているのは後者の意味。
古酒(長期熟成酒):満3年以上酒蔵で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒。
蔵元や杜氏(とうじ)、蔵人(くらびと)など、酒造りをする人々にもそれぞれ名称があります。また日本酒は、飲む時の温度によっても呼び方が変わります。ここでは、そんな酒造りの職種、日本酒の温度に関する用語、他にも知っておくと便利な用語などを解説しましょう。
酒造を生業とする人々にはそれぞれ名称があります。
蔵元:日本酒を製造・販売する酒蔵の経営者。
杜氏(とうじ):酒蔵の醸造責任者。
蔵人(くらびと):醸造責任者である杜氏の下、酒造を行う職人の総称。
冷酒:5~10℃程度に冷やした日本酒。
冷や:常温(20℃前後)の状態で提供される日本酒。
燗酒:温めた日本酒すべての総称。
※熱燗は、50℃前後に温めた日本酒のことです。
和らぎ水(やわらぎみず):深酔い防止効果があると言われている、日本酒と一緒に飲む水。
角打ち(かくうち):升の角に口を付けて飲んだことが由来。現在は酒屋の一角で立ち飲みすることを指す。さらに酒屋での立ち呑みに限らず、立ち呑み居酒屋で酒を飲むことを角打ちと呼ぶ場合も。
日本酒に関する用語はたくさんあります。どんな原材料が使われているのか、どんな造りなのかなど、その用語が表す意味を知るだけでも、日本酒のことがわかってくるはずです。今回紹介したもの以外にも、まだまだたくさんの用語が存在します。あらゆる日本酒の用語を知り、より日本酒を楽しめるようになりましょう。