珍味でさらに日本酒が美味しく?ペアリング研究を開催
“定番のおつまみに最も合う久保田はどれか”を一緒に探求するワークショップ「酒楽の里 あさひ山 駅ナカ研究室」。第3回目は「珍味」をテーマに、定番の日本酒4種と合わせながら、最も相性の良い組み合わせについて、参加者と一緒に研究しました。
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コンビニでお酒を買う時に、つい珍味を一袋追加してしまった、という経験がある人も多いのではないでしょうか。酒の肴としてはぴったりの珍味。しかし、どういう食べ物のことを珍味というのかは、意外に知らないかもしれません。この記事では、珍味とはどんなものか、また具体的な珍味と合うタイプの日本酒を解説します。
珍味とは、漢字の通り「珍しい味」のもので、全国珍味商工業協同組合連合会では「主として水産物を原料とし、特殊加工により独特の風味を生かし、貯蔵性を与え、再加工を要することなく食用に供せられる食品」と定義しています。
希少な食材や部位を使っていたり、外見と味が意に反していたりと、珍しい食べ物の珍味。具体的に、どんなものが珍味と言われているのか見てみましょう。
まず「日本三大珍味」と言われているのが、「うに」「このわた」「からすみ」。
うには生うにではなく、うにに塩を混ぜ合わせてペースト状にした「塩うに」のこと。このわたは、ナマコの腸を塩漬けして熟成させたもの。そして、からすみはボラの卵巣を塩漬けして乾燥させたもの。これらは江戸時代の頃からあり、冷蔵庫がない時代でもおいしく食べられる製法で生まれたようです。
身近な珍味としては、イカの身を肝臓に食塩を加えたものに漬けて熟成させた「イカの塩辛」や、たこをワサビで和えた「たこわさ」、イカやホタテ、エイヒレなどを調味して乾燥させたものなどが挙げられます。
また、地域特有の珍味もさまざまです。例えば、富山県のスルメイカの身を細かく切り、イカスミ、肝臓を混ぜ合わせ熟成させた塩辛の一種である「イカの黒作り」、石川県の塩漬けにしたいわしを米糠や麹、唐辛子で1年以上漬け込んだ糠漬けの「こんかいわし」、佐賀県の有明海にしか生息しない希少価値の高い魚「ワラスボ」の干物など、多種多様です。
ちなみに「世界三大珍味」もありますが、こちらはきのこの「トリュフ」、鴨やガチョウの肝臓の「フォアグラ」、チョウザメの卵の塩漬けの「キャビア」のことで、日本の珍味のように水産物のみという訳ではありません。
珍味はそもそも食材自体が希少で、外見と味が意に反していたりというものなので、世界では水産物に限らず、珍しく希少価値が高い高級食材が珍味として考えられているようです。
珍味は酒に合うと一言で言っても、味わいはさまざまなので、合う酒も珍味によって異なります。ここでは代表的な珍味と、それに合う日本酒タイプを解説します。
イカの身を肝臓に食塩を加えたものに漬けて熟成させた「イカの塩辛」は、イカの塩辛特有の香りや風味、クセが楽しめる珍味です。そのまま食べるのはもちろん、じゃがバターの上に乗せたり、パスタにしたりと味付けのワンポイントにもなります。
イカの塩辛には、意外にも香り華やかな純米大吟醸酒タイプが合います。どちらも味わいがしっかりとしているので、イカの塩辛特有のクセと純米大吟醸の華やかな風味が合うのです。ぜひお試しください。
ホタルイカを塩水や独自の調味料などに漬け込み、丸ごと乾燥させて干し上げたのが「ホタルイカの燻製」。
丸ごと干しているので、噛み締めるとホタルイカのワタと肝のうま味が口いっぱいに広がります。ほろ苦さがクセになる、日本酒にぴったりの一品です。そのままでもOKですが、炙って食べるのもおすすめです。
苦味がある珍味なので、普通酒や本醸造酒などキリっと辛口のタイプの日本酒がぴったりです。
新潟県村上市の名産の珍味が「鮭の酒びたし」。鮭を丁寧に塩漬けした後、日本海の厳冬の中、軒先など風通しの良い場所に吊るし、味を調えるという古くから越後村上地方に伝わる伝統製法で作られています。
半年間寒風にさらし、完全に乾かし仕上げた鮭は、長い時をかけうま味が凝縮。濃厚な鮭のうま味で酒がすすみます。
酒びたしという名前の通り、酒に浸して食べるのが定番。一般的な味付けされていない鮭の酒びたしの場合は、日本酒を振りかけ浸すと食感が柔らかくなり、塩辛さが抑えられまろやかに楽しめます。粕漬けなどで味がついている場合は、そのまま食べるようにしましょう。
濃厚な味わいなので、すっきりとした吟醸酒や大吟醸酒タイプの日本酒と合わせるのがおすすめです。
エイのひれを乾燥させた「エイヒレ」も珍味の定番。独特の歯ごたえがあり、軽く炙ると香ばしさが出てきます。他の珍味と比べるとあまりクセもなく、甘味やうま味が強い味わいです。マヨネーズや七味唐辛子などを付けて食べるので、お子様でも食べやすい珍味です。
エイヒレに甘味があるので甘味があるタイプの日本酒と合わせたり、うま味をより感じさせるために辛口タイプの日本酒と合わせたり、と比較的どんな日本酒でも合いやすい傾向にあります。
珍味を食べると日本酒が飲みたくなり、日本酒を飲んでいると珍味が食べたくなる。そんなお互いがお互いを引き立て合う珍味と日本酒。より美味しさを増すベストマッチな組み合わせを、探してみてはいかがですか?