懐深さが魅力の「久保田 碧寿」。その深みを実現する山廃仕込みや、おすすめの楽しみ方とは
2021.02.25

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懐深さが魅力の「久保田 碧寿」。その深みを実現する山廃仕込みや、おすすめの楽しみ方とは

久保田といえば、淡麗辛口のすっきりした味わいが代名詞。そのうちのひとつである「久保田 碧寿」は、伝統製法の山廃仕込みで造られた、飲みごたえのある日本酒です。山廃仕込みらしいどっしりとした深い味わいと、久保田らしいすっきりしたキレをあわせもつ「久保田 碧寿」の魅力や特徴的な製法、おすすめの味わい方を紹介します。

目次

  1. 「久保田 碧寿」とは、どんな日本酒なのか
    1. お燗で楽しめる、山廃仕込みの純米大吟醸酒
    2. 飲みごたえがありながら、軽いのどごしを楽しめる
    3. フレンチの世界からも注目を集めている
  2. 「久保田 碧寿」の深みを実現する山廃仕込みとは
    1. 酒母造りの製法のひとつ
    2. 酒母の完成までには1ヵ月を費やす
    3. 濃醇で飲みごたえのある味わいに
  3. 「久保田 碧寿」のおすすめの楽しみ方
    1. ①おすすめの温度帯
    2. ②おすすめのおつまみ
    3. ③おすすめのスイーツ
  4. 魅力溢れる「久保田 碧寿」を、心ゆくまで楽しんで

「久保田 碧寿」とは、どんな日本酒なのか

久保田 碧寿

「久保田 碧寿」は、「久保田」の中でもお酒好きに高い人気を誇るお酒です。その味わいの特長は、なんといっても山廃仕込みという製法が生み出す、奥深い旨味を伴う存在感のある味と、しっかりとした酸味を感じるボディーのある味わい、そして最後には「久保田」らしいシャープなキレを感じられます。

お燗で楽しめる、山廃仕込みの純米大吟醸酒

「久保田 碧寿」は、朝日酒造の看板銘柄「久保田」シリーズの中のひとつです。定番の「久保田 萬寿」より手ごろな純米大吟醸酒を望む酒販店からの声をきっかけに、1988年に誕生しました。当時は吟醸酒ブームの真っ最中。冷酒向きの吟醸酒が主流でしたが、同時に「お燗向きの吟醸酒が欲しい」との声も上がっていたことから、碧寿は「お燗でも楽しめるコクのある吟醸酒」を目指して開発されました。

「碧」というのは澄明な深い色あいを指す言葉で、その懐深い味わいを表現しています。「久保田」の寿シリーズ唯一の山廃仕込みのお酒として、人気の高い商品です。

飲みごたえがありながら、軽いのどごしを楽しめる

「久保田 碧寿」は、特徴的な製法である山廃仕込みで造られています。製法については後ほど詳しく解説しますが、特長はどっしりとした飲み口と爽やかな酸味、そしてキレのある軽いのど越しです。
山廃仕込みで造られた日本酒を初めて飲む人や、「久保田 千寿」などの飲みやすい食中酒を飲み慣れている人は、個性的な味わいに驚くかもしれません。しかし、一度好きになるとやみつきになることうけあいです。

フレンチの世界からも注目を集めている

「久保田 碧寿」の持つ酸味と独特の風味、コクのある味わいは、ワイン党の人にも好まれやすいものです。実際に日本ソムリエ協会からも高い評価を得ており、深めのワイングラスでぬる燗の「久保田 碧寿」を提供するフレンチレストランもあります。
和食だけでなく、フレンチの世界でも注目を集める理由は、日本酒が温度帯によって大きく味わいが変わることから、料理に合った温度帯で提供できる点にあると言えるでしょう。

久保田 碧寿
1,800ml    5,030円(税込5,533円)
720ml    2,230円(税込2,453円)
※商品の価格は2021年2月25日現在のものです。

「久保田 碧寿」の深みを実現する山廃仕込みとは

山廃仕込みによる酒母造り

「久保田 碧寿」に用いる山廃仕込みとは、伝統的な酒母造りの製法のひとつ。天然の乳酸菌の力を最大限引き出すため、じっくり手間暇をかけた品質管理が特徴です。ここではその具体的な製法、山廃仕込みがもたらす味わいについて解説します。

酒母造りの製法のひとつ

日本酒の主な製造工程は「麹造り」「酒母(酛)造り」「もろみ造り」の3つです。この中で酒母造りは、実質的な日本酒造りの始まりにあたります。原料となる米麹、蒸米、水を混ぜ合わせ、そこに乳酸菌が加わって酵母が育ちます。

酒母造りの製法は大きく分けて2種類です。現代では、酒母を仕込む際に乳酸を投入する「速醸酛(そくじょうもと)」という製法を行う酒蔵がほとんど。一方、酒蔵の空気中に漂う天然の乳酸菌を取り込み、乳酸を増やして酵母を育てる伝統的な製法が「生酛(きもと)」であり、その一種が「山廃仕込み」なのです。

酒母の完成までには1ヵ月を費やす

山廃仕込みでは、乳酸菌が乳酸を生成しやすい環境を、人の手で生み出さなくてはいけません。そのため蔵人は毎日徹底して衛生・品温の管理をしながら酒母を完成へと導きます。酒母の完成までに費やす期間はおよそ1ヵ月。天然の乳酸菌を活かして手間暇をかけているのです。

濃醇で飲みごたえのある味わいに

日本酒の味わいには多くの要素が関係するので、すべてに言えるとは限りませんが、山廃で仕込むと濃醇で飲みごたえのある味わいに仕上がりやすいと言われています。一般的には酸味や苦味がきいた、骨太な味わいのものが多いようです。

朝日酒造の山廃仕込みは、他蔵の山廃仕込みと比べるとクセもなく、山廃らしい深みとともに感じる「久保田」らしいシュッとしまるキレが特徴です。造りや原料の米、朝日酒造が仕込みに使う軟水などの要素が、そのキレをもたらします。

「久保田 碧寿」のおすすめの楽しみ方

「久保田 碧寿」をより一層楽しめるよう、おすすめの楽しみ方を紹介します。適した温度帯、相性の良い料理やスイーツをチェックしましょう。

①おすすめの温度帯

ぬる燗

「久保田 碧寿」は、比較的幅広い温度帯で楽しめます。冷酒にするとキレや酸味が引き立ち、常温ではやわらかな口当たりや本来の味わいを感じられるでしょう。

そして一番おすすめしたいのが、ぬる燗です。もともと燗酒にしてもおいしくなるよう目指して誕生した日本酒のため、山廃仕込みがもたらす深い旨味、そしてふわりと優しく口の中に広がる香りを存分に楽しめます。山廃仕込みの日本酒は「燗映え」するとも言われるほどなので、温めてもしっかりした味わいは健在です。

②おすすめのおつまみ

久保田とサバ缶の梅肉白和え

山廃仕込みの力強さと相性が良いのは、グリルや炙りなどの香ばしい料理です。肉料理やジビエなどのしっかりした味わいの料理や、深みを感じられるおつまみを合わせると、双方の旨味が引き立ちます。

例えば焼き鳥なら塩よりもタレ、刺身なら白身よりも脂の乗ったマグロ、白身魚なら西京漬けや粕漬け、イカやホタテなどの魚介はバター焼きなど、コクをポイントに置いた料理を選んでみてください。

また、天然の乳酸菌を取り込む手法のため、シーフードやじゃがいもなどのグラタンやパルミジャーノ・レッジャーノなどのハードタイプのチーズなどの料理とも相性ぴったりです。

手軽にできるおつまみとしては、サバの水煮を梅肉やマヨネーズと和えるだけで完成する「サバ缶の梅肉白和え」は相性抜群の絶品おつまみです。詳しいレシピはこちらの記事を参考にしてください。

③おすすめのスイーツ

「久保田 碧寿」は、スイーツにもマッチします。スイーツ単体を食べるだけでは味わえない、奥深い風味や心地良い余韻を楽しんでください。ここでは、特におすすめしたいものをいくつか紹介します。

洋菓子
チョコレートには、ぬる燗がおすすめです。温めたお酒とともに口の中でゆっくり溶け、チョコレートの濃厚な香りと上品な苦味の余韻を味わえます。
「久保田 碧寿」の持つ酸味とチーズが旨味の相乗効果を生むので、コクのあるチーズケーキとも相性が良いです。また、碧寿の重さとキレは、クッキーも好相性。焼き菓子特有の素朴な香ばしさを引き立ててくれます。

和菓子
基本的には、粒餡よりもこし餡の方が日本酒と相性が良いです。なめらかなこし餡に、同じようになめらかな口当たりの「久保田 碧寿」が見事にマッチします。
さらに、こし餡の甘味と碧寿のコクが絶妙に重なり合い、より贅沢な余韻を感じられます。

魅力溢れる「久保田 碧寿」を、心ゆくまで楽しんで

久保田シリーズの中で、ひときわ個性を放つ「久保田 碧寿」。伝統的な山廃仕込みがもたらす味わいは、コクのある料理と合わせたり、ぬる燗で味わったり、はたまたスイーツとの出会いを発見したりと、さまざまな楽しみ方ができます。ぜひ「久保田 碧寿」とともに、楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。