日本の食材にバスクの風が吹く「旅する日本酒ペアリング~世界の料理と久保田」
世界の料理と久保田をペアリングするイベント「旅する日本酒ペアリング」の第8回目が開催されました。今回はバスク料理です。実際にバスクに行かなくても、そんな雰囲気を味わえる楽しいコースでした。またバスク料理が食べたくなる、そんなイベント内容をレポートします。
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日本酒に合うのは和食だけ?いいえ、そんなことありません。日本酒には世界の料理とも合うポテンシャルがあるはず。そんな日本酒と世界の料理のペアリングを体験できるイベント「旅する日本酒ペアリング」の第1回目が、2023年8月31日、錦糸町にあるタイ料理店「Chaaw wan(チャーオワン)」にて開催されました。そこでのペアリング体験レポートをお届けします。
目次
2023年8月から始まった世界の料理を提供するレストランや人気シェフが作る、久保田に合わせたオリジナルコースを楽しめるイベント「旅する日本酒ペアリング~世界の料理と久保田~」。
第1回目はタイ料理をテーマに、日本では貴重な生のタイハーブを使った料理が自慢の「Chaaw wan(チャーオワン)」で開催。同店のために国内で契約栽培されるハーブは、種類も豊富で珍しいものばかり。フレッシュならではの香り高いハーブが贅沢に使われ、新しいタイ料理の世界を堪能できるお店です。
今まで経験したことのないタイ料理と日本酒のペアリング、果たして本当に合うのでしょうか。
乾杯酒で登場したのは、「久保田 ゆずリキュール」の炭酸割り。1:1で割って氷を入れたシンプルな飲み方ですが、ゆずの香りとすっきりとした飲みやすい味わいで、暑い夏の夜の最初の一杯にぴったりです。
Chaaw wanのオーナーの方もこの「久保田 ゆずリキュール」を気に入ったとのことで、メニューインしたようです。
一品目は、タイ風ソーセージ盛り合わせと塩辛のヤム。
豚ひき肉と豚皮、ニンニク、もち米、塩などを使ったタイ風ソーセージの盛り合わせで、ソーセージは独特の酸味がクセになる味わいです。そこに、甘さと華やかな香りのある「久保田 純米大吟醸」を合わせると、ソーセージの力強い味わいに負けず、いい意味でぶつかり合っています。
さらに、ホーリーバジルを噛みながら純米大吟醸を口に含むと、香りの方向性が似ているのか絶妙に合います。
イカの塩辛にレモングラス、バイマックルー(こぶみかんの葉)、ホムデン(赤わけぎ)なとと合えた「塩辛のヤム」は、タイ料理を日本酒に合うようにアレンジしたもの。ハーブで爽やかになっているので、塩辛をそのまま食べるのが苦手な人でも食べられる美味しさです。「久保田 純米大吟醸」は、もともと塩辛と相性がいいのですが、ハーブの香りでさらに相性が高まっています。
発酵たらこは、たらこを米、塩、ニンニクで発酵させ、ホムデン、唐辛子、レモングラスを混ぜたもの
二品目のナムチムとは、タイ語でソースやタレを意味します。豚ひき肉、トマト、唐辛子、ニンニク、レモングラス、海老のペーストなどを混ぜたディップの「ナムプリックオーン」、白身魚のディップの「ナムプリックプラー」、タマリンドのディップの「ナムプリックマカム」の3種を、タイ茄子などの温野菜につけて楽しみます。
ナムプリックプラーは辛さはそこまでではありませんが、全体的に唐辛子が効いており、特にナムプリックマカムはかなり辛め。この辛さにぴったりと合ったのが、甘味のある「久保田 スパークリング」。甘さで辛さを中和していき、炭酸ですっきりとさせます。スパークリングの味が、タイで飲んだことのある味だと話す人もいました。
豆アジのフライ
二品目として、さらに出てきたのは「ネームクルック」。
ネームとバイマックルー、赤玉ねぎ、小葱、唐辛子、レモン、生姜、ピーナッツ、豚皮などと、レッドカレーペーストで味付けしたライスボールを卵と絡めて揚げたものを混ぜて、レタスやバイチャップルー、ホーラパー(タイバジル)などで巻いて食べます。
初めて食べたタイ料理ですが、ネームのうま味とハーブの爽やかさ、ライスボールのサクサク感が一体となって、食べる手が止まらないほどの美味しさです。ハーブと相性の良い大吟醸生酒の「久保田 翠寿」と合わせると、口の中に爽やかな風が吹くかのようです。
三品目は、鶏肉の味付けグリルである「ガイヤーン」と、トントロの味付けグリル「コームヤーン」。いわゆる、タイ風焼き鳥とトントロ焼きです。
しっかりとしたうま味とジューシーだけどしつこさのない脂が感じられるこちらには、山廃仕込みの「久保田 碧寿」。双方のうみ味が引き立つペアリングとなりました。今回は冷えた碧寿でしたが、ぬる燗にしたら、きっともっと合うんだろうなと想像しながら楽しみました。
四品目は「レンセープ」。豚背骨肉のレモンスープ煮です。山盛りとなった豚背骨肉の迫力のある見た目に盛り上がります。辛みがありつつ、レモンでスッキリとした強い酸味も感じられるスープです。
このスープの酸味と綺麗に調和したのが「久保田 千寿 純米吟醸」。なんにでも合う日本酒とよく言われますが、まさかのタイ料理にも合うとは守備範囲が広いです。
同じ千寿シリーズで、和食には万能なのにここまで出番のない「久保田 千寿」も合わせてみると、なぜかこちらは合わない。酸味が千寿 純米吟醸の方があるので、そこの微妙の差が合う合わないを生み出したようです。
レンセープのスープで米粉麺
五品目は「カオクルックガピ」。
ガピと呼ばれる海老の発酵味噌とジャスミンライスを混ぜたご飯の周りに、卵焼き、揚げた干しエビ、唐辛子、ホムデン、ササゲ、豚の甘辛煮、キュウリ、レモン、小葱、青リンゴを添えたもの。ご飯と一緒に全て混ぜて食べます。
ガピの独特の香ばしさ、豚肉の甘辛さ、野菜やハーブによる爽やかさが混然一体となり、やみつきになる美味しさです。これにぴったりだったのが「久保田 紅寿」。豚肉のこってりした感じを洗い流しながらも、青バナナのような香りが爽やかさとマッチします。
最後のデザートは「ブアロイ」。かぼちゃ、バイトゥーイ、バタフライピーなどの白玉と、半熟卵に温かいココナッツミルクをかけたものです。辛さが続いた料理の後に、ほっこりとする甘さです。
■Chaaw wan
住所:東京都墨田区錦糸町3-7-3 オフィスナカジマビル1F
電話番号:050-5600-6460
営業時間:[火~金]11:30~14:30(Lo14:00) 17:00~22:30(Lo22:00)
[土]12:00~22:00(Lo21:30)
[日・祝]12:00~20:00(Lo19:30)
定休日:月曜日
タイ料理と言うと、トムヤンクンやパッタイ、カオマンガイなどを思い浮かべる人が多いかと思いますが、今回出てきたタイ料理は本場のタイ料理で初めて食べるものばかりでした。
それらと合った久保田は、普段和食で活躍する「久保田 千寿」や「久保田 萬寿」ではなく、「久保田 紅寿」や「久保田 翠寿」など普段あまり脚光を浴びない日本酒たち。個性的な料理には、個性的な日本酒が合うようです。
イベントに参加した方も、タイ料理と日本酒のペアリングに大満足。
「タイ料理の味わいの多様性に合わせ方によって日本酒が非常の合うものが合うのは驚きでした」
「合わないと思われるタイ料理と、日本酒ががっちり合った」
「タイ料理と久保田がこんなに合うとはびっくりしました!!新鮮でした。香り華やか系の久保田はスパイシーな味付けのタイ野菜に合い、山廃は豚肉にとても合ってびっくりです」
「日本酒のペアリングの可能性をすごく感じました」
次回は、フランス料理と日本酒のペアリングを10月15日(日)に開催。どんなペアリングが体験できるのか、楽しみです。
塩辛のヤム