日本酒「久保田」と楽しむ、茨城県のご当地グルメ3選
毎回1つの都道府県にスポットを当て、久保田ファンと朝日酒造社員が一緒にご当地グルメと久保田を味わいながら、その地域やグルメにまつわるトークを楽しむオンライン飲み会「久保田ご当地グルメ部」。今回は、茨城県をテーマに開催しました。ファンや社員おすすめの、久保田と楽しめる茨城県のご当地グルメをご紹介します。
楽しむ
8月29日は焼肉の日です。焼肉には何を合わせますか?ビール?ハイボール?それともワイン?日本酒と焼肉の相性の良さに気づいていない方は多いのではないでしょうか。様々な温度帯で味わえる日本酒は焼肉に最適なのです。ペアリングのコツさえ掴めば、焼肉店でも自宅でも “日本酒×焼肉” が堪能できますよ。
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1993年、全国焼肉協会により8月29日は「焼肉の日」と制定されました。829=「や(8)きに(2)く(9)」の語呂合わせによるもので、焼肉を食べてスタミナをつけ、夏バテ防止を促すのが主な目的。全国焼肉協会とは農林水産大臣に認定を受けた事業協同組合で、約1500店舗の加入店があり、全国各地でイベントも行われています。また、「土用の丑の日」や7月23日の「天ぷらの日」とともに “夏バテ防止の三大記念日” と言われています。
焼いた肉料理を指す「焼肉」という語源は古く、日本の西洋料理の原点とも言える『西洋料理通(1872年)』にはバーベキューの訳語として使用され、『西洋料理指南(1872年)』でも獣肉を焼いた料理として記載されています。現在は「焼肉」とは東洋料理としていて、例えば西洋料理のステーキなどは焼肉と呼んでいません。
焼肉が浸透し始めたのは戦後の食糧難の時期。牛や豚の内臓を直火で焼いて提供したホルモン焼きの屋台が最初と考えられています。この起源は確かではありませんが、大阪の焼肉店が多くならぶ鶴橋も昔は闇市だった場所だというので、ホルモン焼きの影響は十分にあるのではないでしょうか。
その後、ホルモンの他にロースやカルビなど他の部位も取り入れられ、韓国料理の要素も加わり、全国に広がっている焼肉料理へと発展していきました。
焼肉に合わせる飲み物といえば、ビールやワインを選ぶ方が多いのではないでしょうか。それらのペアリングは、例えば白ワインの高い酸で脂を洗い流す、赤ワインのタンニンでギュッと味を引き締めるなど、肉の脂っこさを取る方法が基本です。しかし、肉本来の美味しさを引き出すなら日本酒がおすすめ。部位別に相性の良いお酒を紹介しましょう。
ミスジは肩甲骨の裏に位置したウデ肉の部分で、葉筋のようなサシが入るため、焼肉店で特上カルビとして提供される場合もあります。ハラミは横隔膜の一部で内臓に分類されますが、適度に脂を含んでいて柔らかい食感で食べやすいため、一般的にモツというよりも他の部位と同じように扱われています。
これら脂が豊富にある部位には「久保田 純米大吟醸」がぴったり。純米大吟醸は華やかでフルーティーな香りが主体です。このリンゴのような香りの成分はカプロン酸エチルで、清酒酵母の脂肪酸合成経路において生合成されるため、牛肉の脂肪酸と合うのです。華やかな香りは温度が低すぎると弱くなるため、冷やしすぎないようにしましょう。そしてお酒の温度が低いと口の中で牛肉の脂も固まってしまうため、常温程度が最適です。
ランプは腰からお尻にかけての部位。モモに分類されますがサーロインから繋がっているので、適度にサシが入っています。イチボはランプに外側からかぶさっている筋肉。ランプより脂がありますがしっかりとした噛み応えもあり、脂身と赤身の濃い味わいを楽しめます。
これらの部位には「久保田 雪峰」を合わせましょう。雪峰は、山廃造りらしい複雑な酸があり、滑らかな口当たり、ふくよかな米のうま味とアルコールのボリュームを感じられ、若干の苦みで味が引き締まります。リンゴ酸だけでなくコハク酸のような苦みとコクを持つ豊かな味わいの雪峰と、赤身と脂身のバランスが良いランプやイチボを一緒に味わうと、肉のボリュームに雪峰のコクが加わり、アミノ酸が倍増するようなうま味が口いっぱいに広がります。ぬるめの燗にすると肉の温度とも違和感なく、美味しさの相乗効果が持続します。
モモは後ろ足の太ももの部分。マルシンはモモ肉の中心にある丸い芯の箇所で、柔らかい食感が特徴です。
これには万能な「久保田 千寿」を合わせます。爽やかですっきり軽快。アル添の良さが出ている千寿は、後半に出てくる酸とスパッとしたキレ味でどの部位とも合わせられる優れもの。ただ、冷酒だと肉の味わいもすっきりさせてしまうので、常温か燗にするのをおすすめします。ぬる燗はふくよかになり、マルシンの肉質とテクスチャーが似ていて、熱めの温度にした場合は酸が際立ち、酸味のある赤身部分のモモとよく合います。
焼肉といえば牛肉が基本ですが、ジビエも外せません。特に鴨肉は日本酒との相性は抜群で、是非とも取り入れたいお肉です。
真鴨は身が引き締まった赤身肉で、素朴な味わいと血の風味が強めなのが特徴ですが、冬が旬のためなかなか手に入りにくいのが難点。一般的に流通しているのは合鴨。野生の真鴨とアヒルの交配雑種で、クセもなく柔らかい食感と上質な脂を持ち、一年中手に入るため家庭でも使いやすいでしょう。
お酒は「久保田 萬寿」と「久保田 雪峰」をおすすめします。萬寿は華やかな香りが鴨肉の滑らかな脂とよく合い、口内で複雑さを増します。雪峰は、様々な酸に鴨肉の芳醇なうま味と鉄分の酸が絡み合い、更に美味しさが助長される組み合わせ。鴨肉の脂は体温より低い温度で溶けるため、日本酒も冷酒~熱燗までどんな温度でも合わせられます。ただ、どちらも15℃くらいの常温が一番マッチングする温度です。
夏バテ防止が目的の「焼肉の日」ですが、ただ焼肉を食べるだけでは勿体ない。今まで日本酒を合わせていなかった方は、これを機に日本酒と焼肉のペアリングに挑戦してみてください。焼肉ってこんなに美味しかったんだ!と気づくことがたくさんあると思います。
実は牛肉には、幸せホルモンと呼ばれるセロトニン、高揚感をもたらしてくれるアナンダマイドという成分が含まれているので、焼肉を食べると幸福感に満たされるのです。家族や友人たちと一緒に、焼肉と日本酒で幸せ感に浸りましょう。
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まゆみ
酒匠、料理研究家。 1日も欠かすことなく酒を呑み続ける、驚胃の持ち主。郷土料理を大事にし、添加物の無い食卓を心がけている。ブログ「スバラ式生活」は人気。著書に、うち飲みレシピ、スバラ式弁当がある。