栄養豊富な酒粕の甘酒を家庭で作ろう。美味しいアレンジ方法も紹介
酒粕(さけかす)とは日本酒の製造過程でできる栄養豊富な副産物のことです。食物繊維やビタミンなどの栄養素を多く含み、健康面や美容面での効果も注目を集めています。酒粕で作った甘酒を飲めば、体があたたまり、冷え性の改善も。本記事では、そんな酒粕甘酒の魅力や基本の作り方、手軽で美味しいアレンジレシピを紹介します。
知る
酒粕(さけかす)とは日本酒の製造過程でできる栄養豊富な副産物のことで、甘酒の原料としても知られています。この記事では酒粕の基礎知識や製造方法を詳しく解説。酒粕を摂取するメリット、具体的な取り入れ方もあわせて伝授します。美容や健康に良い酒粕を、生活に取り入れてみましょう。
目次
「酒粕」は、近年ブームの甘酒に含まれていたりと、お酒好きではなくても馴染みのあるもので、体に良いものとして知られています。まずは、この酒粕とは何かを詳しく紹介していきます。
酒粕とは日本酒の製造過程で生まれる副産物を指します。日本酒を造る際に、発酵したもろみから日本酒を搾って、その際に残った固形物が酒粕です。
酒粕は日本酒の製造過程で生まれるものであり、日本酒の原料である米と米麹が発酵したものです。酒粕にはたんぱく質・食物繊維・ペプチド・アミノ酸・ビタミンなど、米由来成分や麹菌・酵母が生産した代謝産物に富み、栄養価が高いと言われています。
豊富な栄養素の他、製造過程で微生物達が産みだした100種類以上の酵素も含まれます。日本酒を搾る際の副産物ということで、アルコール分も残っているのが特徴です。
発酵したもろみを搾ることによって生み出される酒粕。酒粕をより深く理解するため、まずはもろみがどんなものか説明します。
酒粕の元になる「もろみ」は、原料の米・米麹・水がアルコール発酵したもので、ドロドロと白濁した液体です。このもろみを搾ることで、日本酒と酒粕に分かれ、そこで初めて酒粕が生まれます。
酒造りの中で、発酵が終わったもろみを搾り日本酒と酒粕に分ける工程を、「上槽」と呼びます。
上槽は、圧搾機で圧力をかけてもろみを搾る方法が主流ですが、「袋吊り」といって袋にもろみを入れて吊るし、圧力をかけず重力のみで搾り出す方法も。その他、遠心分離や氷結取りといった、さまざまな上槽方法があります。
圧搾機を使った上槽の場合、機械に残った酒粕は手作業ではがされます。この際に集められた酒粕は、その総量を計量してお酒の量と酒粕量の割合を導き出します。この割合は、次期の酒造りの参考となる、重要なデータとなります。
酒粕は、加工された形などによって、いくつかに分類されます。ここでは、酒粕の種類について紹介します。
「吟醸酒粕」や「純米酒粕」として市場に出回っているものを見かける機会が多いと思いますが、「本醸造粕」もあれば「大吟醸酒粕」もあります。要するに、酒粕は日本酒の種類の数だけ存在するということです。原料や造り方の違いによって、酒粕の風味も変わってきます。
酒粕は、販売される形状によって、いくつかに分類されます。
・板粕
平たい板状の酒粕で、もろみを搾る際に板状となって残った酒粕そのままを商品にしたものです。溶けにくいため水に漬ける時間を長くしたり、使う前に溶かしてペースト状にして使うのが一般的です。好きな大きさに切って、そのまま焼いて楽しめるのは板粕ならではの楽しみ方です。
・バラ粕
板粕としてとれずに、バラバラに崩れた状態の酒粕。細かく砕かれているため板粕よりやわらかく、使いやすいという利点があります。
・練り粕
板粕やバラ粕を練って、やわらかいペースト状に加工したもの。なめらかで溶けやすく、調味料にも用いられる他、野菜や魚を漬け込むのもおすすめです。
「踏込粕 (ふみこみかす)」は、黄金色が特徴の数ヵ月熟成させた酒粕のことです。名前の通り、酒粕を踏み込み、空気を抜いてから、熟成させています。地域によって、「土用粕」や「押し粕」と呼ばれることも。
コクや甘味が強く、奈良漬などの粕漬の床用に使われています。市場にも「漬物用」として出回っています。
酒粕には米や酵母の栄養がたっぷり詰まっていて、美容・健康に気を遣う人は積極的に摂りたいものです。酒粕を摂取することで期待できる、美容と健康に関するそれぞれの効果を紹介します。
特に、肌の調子を整えるビタミンB群が豊富です。シミの元となるメラニンの生成を抑えるコウジ酸や、保湿効果にすぐれたアミノ酸も含まれています。
さらに、酒粕に含まれる豊富な食物繊維や、米のデンプンからできるオリゴ糖により腸内環境が整い、お通じの改善や美肌効果なども期待できます。
酒粕にはたんぱく質・食物繊維・ペプチド・アミノ酸・ビタミンなど、健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれます。
これら豊富な栄養素は、高血圧や肥満などといった現代病と呼ばれる疾患の予防にも良いと言われています。
酒粕は食べたり飲んだりする他、パックとして利用することで美容効果も期待できます。ぜひ日常的に取り入れたいものです。ここでは、酒粕の活用法と注意点を解説します。
飲む点滴とも言われる甘酒。材料と作り方は以下の通りです。
【材料】
・酒粕:100g
・水:400ml
・砂糖:30g
・おろししょうが:適量
・塩:適量
※水の量は酒粕の3~4倍が目安です。上記の分量で甘酒を作ると、とろりとした仕上がりになるので、さらりとした方が好きな人は、水の量を増やしてください。
【作り方】
①鍋に少量の湯を沸かし、沸騰したら火を止めて酒粕をちぎり入れます。このとき、酒粕をなるべく細かくしておくと溶けやすくなります。酒粕がやわらかくなるまで、そのまましばらく時間をおきます。
②酒粕がやわらかくなったら水を足して鍋を火にかけ、酒粕をつぶしながら溶かします。
③沸騰後もアルコールを飛ばすためにしばらく加熱を続け、鍋底が焦げ付かないように混ぜ続けましょう。
④酒粕が完全に溶けたら砂糖を加えます。
⑤お好みでしょうがを加え、塩をひとつまみ入れます。
酒粕甘酒は加熱することでアルコールを飛ばしていますが、アルコールは多少含まれています。お酒の弱い人、運転前の人、お子様、妊娠中の人は飲まないようにしてください。
普段の食事に取り入れる方法でおすすめなのが粕汁です。
酒粕には旨味成分が含まれているので、料理に活用することで旨味やコクがアップし、一石二鳥。使い方は、味噌汁を作るのと同じ要領で、味噌の投入時に、一緒に酒粕を入れるだけです。
酒粕の量や加熱時間は、お好みで調整してください。お酒に弱い人やお子様、妊婦さんがいる家庭では、しっかり加熱してアルコールを飛ばしましょう。
酒粕は食べるだけではなく、美容パックに使うこともできます。パックにすると、酒粕の美容成分を肌から取り入れられます。
作り方は、とても簡単。酒粕に精製水を加えながら、顔に塗って垂れないくらいの固さのペースト状にするだけで、酒粕パックの完成です。仕上がったパックを顔や体に塗って5~10分ほどおいた後、ぬるま湯や洗顔フォームでしっかりと洗い流してください。
ちなみに、顔に塗ったらシートマスクをかぶせ、半身浴をすると成分がより深く浸透して効果的です。酒粕の匂いが苦手な人は、アロマオイルをプラスするのも良いでしょう。
酒粕は食品なので、作ったパックは冷蔵庫で保管し、1週間以内に使い切るようにしましょう。
※顔に塗る前に、腕の内側などに塗ってパッチテストをしてください。
美容や健康に多くの効果をもたらしてくれる酒粕。今回紹介した通り、一口に酒粕といっても、種類が豊富でとても奥深いものなのです。料理以外にも使えるのも嬉しいですね。メリットの多い酒粕を、日常的に取り入れてみてはいかがでしょうか。