栄養豊富な酒粕の甘酒を家庭で作ろう。美味しいアレンジ方法も紹介
酒粕(さけかす)とは日本酒の製造過程でできる栄養豊富な副産物のことです。食物繊維やビタミンなどの栄養素を多く含み、健康面や美容面での効果も注目を集めています。酒粕で作った甘酒を飲めば、体があたたまり、冷え性の改善も。本記事では、そんな酒粕甘酒の魅力や基本の作り方、手軽で美味しいアレンジレシピを紹介します。
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日本酒の製造過程でできる酒粕は、栄養豊富で、美容と健康に良いことで有名です。酒粕と言うと真っ先に浮かぶのは甘酒という人が多いと思いますが、他にもさまざまなレシピが存在します。本記事では、酒粕から得られる効果、美容におすすめの手作りスキンケアアイテム、栄養満点の酒粕レシピ、上手な保存方法を紹介します。
目次
酒粕とは日本酒の製造過程で生まれる副産物のこと。栄養が豊富で、健康と美容の両方にさまざまなメリットが期待できます。まずは、酒粕から得られる効能をいくつか紹介します。
酒粕に含まれるビタミンB群は、ダイエット中の方は積極的に摂りたいものです。太る原因の1つである脂質の代謝をサポートしてくれます。
酒粕には、米に含まれるたんぱく質や酵母が分解されてできる成分であるペプチドが含まれます。ペプチドには血圧の上昇に関わるアンジオテンシン変換酵素の働きを阻止する働きがあるので、高血圧に悩む人にもおすすめです。
酒粕が含まれた甘酒で体が温まるのはアルコールによるものというイメージがあるかもしれませんが、酒粕そのものの効果であることが科学的にも証明されています。血流改善を促して、身体を温める効果があるのです。
冷え性の人は、酒粕甘酒や酒粕を使った料理を日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
酒粕に含まれる豊富な食物繊維や、米のデンプンからできるオリゴ糖により腸内環境が整い、お通じの改善も期待できます。
特に、肌の調子を整えるビタミンB群が豊富です。さらに、化粧品にも使用される、シミの元となるメラニンの生成を抑えるコウジ酸や、保湿効果にすぐれたアミノ酸も含まれています。
そのため、蔵人(酒造りをしている人)は、手が綺麗な人が多いのかもしれませんね。
シミやシワの予防だけでなく、美白やアンチエイジング効果も期待できると言われている酒粕。続いては、酒粕を使った美容法を紹介します。
酒粕を使った化粧水はとても簡単に作れるので、日々の肌ケアにぴったりです。
作り方です。まずは、酒粕(20g)を精製水(180ml)に浸けます。バラ粕の方が溶けやすくおすすめです。板粕の場合は、細かくちぎって精製水と一緒にすり鉢でするか、電子レンジで少しずつ温めて練ってください。
8時間以上置いてふやかした後、ガーゼや茶こしで濾します。その後グリセリン(小さじ1)を混ぜ、お好みのボトルに入れれば完成です。
濾過後に残った酒粕は、そのままパックとして使えるので無駄がありません。化粧水は、冷蔵庫で2週間ほど保存できます。
酒粕パックを手作りして、顔や体に塗ってみるのもおすすめの美容法です。
作り方は、とても簡単。酒粕に精製水を加えながら、顔に塗って垂れないくらいの固さのペースト状にするだけで、酒粕パックの完成です。仕上がったパックを顔や体に塗って5~10分ほどおいた後、ぬるま湯や洗顔フォームでしっかりと洗い流してください。
ちなみに、顔に塗ったらシートマスクをかぶせ、半身浴をすると成分がより深く浸透して効果的です。酒粕の匂いが苦手な人は、アロマオイルをプラスするのも良いでしょう。
酒粕は食品なので、作った化粧水やパックは冷蔵庫で保管し、1週間以内に使い切るようにしましょう。
※顔に塗る前に、腕の内側などに塗ってパッチテストをしてください。
酒粕には旨味成分が含まれているので、料理に活用することで旨味やコクがアップし、一石二鳥。ただし、酒粕は加熱することでビタミンB群の一部や酵母が失われる恐れがあるため、加熱のしすぎには注意が必要です。ここからは、酒粕を効果的に摂取できるおすすめレシピを紹介します。
飲む点滴とも言われる甘酒。材料と作り方は以下の通りです。
【材料】
・酒粕:100g
・水:400ml
・砂糖:30g
・おろししょうが:適量
・塩:適量
※水の量は酒粕の3~4倍が目安です。上記の分量で甘酒を作ると、とろりとした仕上がりになるので、さらりとした方が好きな人は、水の量を増やしてください。
【作り方】
①鍋に少量の湯を沸かし、沸騰したら火を止めて酒粕をちぎり入れます。このとき、酒粕をなるべく細かくしておくと溶けやすくなります。酒粕がやわらかくなるまで、そのまましばらく時間をおきます。
②酒粕がやわらかくなったら水を足して鍋を火にかけ、酒粕をつぶしながら溶かします。
③沸騰後もアルコールを飛ばすためにしばらく加熱を続け、鍋底が焦げ付かないように混ぜ続けましょう。
④酒粕が完全に溶けたら砂糖を加えます。
⑤お好みでしょうがを加え、塩をひとつまみ入れます。
酒粕甘酒は加熱することでアルコールを飛ばしていますが、アルコールは多少含まれています。お酒の弱い人、運転前の人、お子様、妊娠中の人は飲まないようにしてください。
甘酒は満腹感を得られる上にカロリーが低いので、ダイエット中の人にも最適です。特に、ダイエット中でも栄養をしっかり摂りたい、肌荒れを防止したいと考える人におすすめ。そのままで飲みづらい場合は、豆乳や、りんごジュースなどをプラスしてみてください。
作り方は、味噌汁を作るのと同じ要領で、味噌の投入時に、一緒に酒粕を入れるだけです。酒粕の量や加熱時間は、お好みで調整してください。
【材料】(2人分)
・酒粕:50g
・塩鮭:1切れ
・大根:100g
・にんじん:1/4本
・こんにゃく:1/4枚
・長ねぎ:1/2本
・ごぼう:1/5本
・だし汁:3カップ
・みそ:適量
【作り方】
①長ネギは小口切り、大根とにんじんはいちょう切り、こんにゃくは短冊切り、ごぼうはささがきしたものを水に3分さらしてザルにあげます。鮭は一口サイズにカットします。
②だし汁の中に大根、にんじん、こんにゃく、ごぼうを入れて火にかけます。沸騰したら弱火で10分ほど、アクを除きながら煮ます。
③野菜がやわらかくなったら、鮭、長ネギを加え、ひと煮立ちさせます。
④弱火にし、味噌と酒粕を溶いて入れ、軽く煮たら完成です。
※酒粕が汁全体にまんべんなく行きわたるよう、前もって少量のお湯を混ぜ滑らかなペースト状にしておくのがコツです。
酒粕の風味が食材の臭みを取り、味を引き立てます。豆腐やチーズなどの変わり種もおすすめです。
【材料】
・お好みの食材(魚・肉・野菜・豆腐・チーズなど):適量
・酒粕:200~300g
・味噌:大さじ2
・酒:大さじ2
・みりん:大さじ1~2
・きび砂糖:大さじ2
・塩:小さじ2
【作り方】
①酒粕と調味料を袋かタッパーに入れ、混ぜ合わせます。
②そこにお好みの食材を入れ、冷蔵庫で1~3日程度漬けておきます。
③魚や肉は、トースターやフライパンなどで、好みの焼き加減になるよう焼いて完成です。
簡単でさまざまな食材に利用できる万能レシピなので、覚えておくと便利です。
酒粕は日本酒と同じく、時間が経つにつれて少しずつ熟成が進むため、色や風味の変化を楽しめます。そんな酒粕を効果的に活用するためには、保存方法にこだわることが大切です。こちらでは酒粕の賞味期限と上手な保存方法を紹介します。
酒粕は、冷暗所に保存し、開封後は密封して冷蔵庫で保存がおすすめです。開封したものは、ジッパー付きの袋などに入れて、できる限り空気を抜いて冷蔵庫で保存すれば、より保存性を高められます。
酒粕はピンク色や赤、黄色、褐色と変化していきます。これは一般的な熟成時の変化で、酒粕の中の糖分やアミノ酸の相互作用によるものです。表面に白い粒状の物が現れることがありますが、酒粕に含まれるアミノ酸が結晶化したものですので、安心してください。
小分け・密閉して冷凍すると長期保存が可能です。状態にもよりますが、冷凍した場合の賞味期限は1年が目安です。とはいえ、風味が変化してしまうので、なるべく早めに消費するのが理想です。
ちなみに冷凍保存は冷蔵保存に比べ、水分の蒸発やアルコール分の揮発が起こりやすく、パサパサしてしまうこともあります。冷凍した酒粕を使う時は、自然解凍してから日本酒に少し浸すのがおすすめです。
酒粕は汁物や肉料理、魚料理など幅広いレシピで活用できます。肌荒れが気になる人や肌の状態をキープしたい人は、食べるだけではなく酒粕を使ったパックや化粧水を利用してみてはいかがでしょうか。健康と美容の効果が期待できる酒粕レシピを、日々の食事や生活に賢く取り入れましょう。