絶対食べたいベトナム料理のオンパレード!「旅する日本酒ペアリング~世界の料理と久保田~」
世界の料理と日本酒はどこまで合わせることが出来るのか?そんな探究心のあるイベント「旅する日本酒ペアリング~世界の料理と久保田~」ですが、今回はベトナム料理の回です。今年の夏は非常に暑く、当日も汗を流しながら来店する参加者の皆さん。ベトナム料理を食べるには最適なのではないでしょうか。「お腹いっぱい!」と笑顔になったベトナム料理と日本酒の出会いをレポートします。
楽しむ
ウイスキー×チョコレート、ワイン×フルーツが入ったケーキやパイ…と、世界では酒のつまみにスイーツは定番。少し意外かもしれませんが、最近では「日本酒×スイーツ」のペアリングも注目を集めています。そこで今回は人気雑誌からも引っ張りだこのスイーツライター・chicoさんに日本酒とスイーツの合わせ方の極意と久保田に合うおすすめスイーツを教えてもらいました。
目次
スイーツトレンドに精通し、『anan』や『Hanako』など雑誌やWEBで記事の執筆や企画監修を行うスイーツライター。ギフトのセレクトショップ「g GIFT AND LIFESTYLE」やECサイト「SALUS ONLINE MARKET」などでのスイーツ監修も手がける。『東京の本当においしいスイーツ探し(ギャップ・ジャパン)』シリーズ監修。共著に『東京最高のパティスリー(ぴあ)』。
https://twitter.com/chico_sweets
フランスにはディナーの前にお酒とともにおつまみやスイーツを楽しむ「アペロ」という習慣があります。
こうした習慣が若い人たちの間で進化を遂げ、クリームたっぷりのショートケーキをワインに合わせたり、濃厚なチーズケーキを蒸留酒と合わせたり、といった「お酒×スイーツ」が定番になってきています。日本でもお酒とスイーツのペアリングを楽しむイベントが各地で開催されるようになってきました。
香り豊かで芳醇な味わいを持つ日本酒とスイーツをともに楽しむことは、双方の魅力を引き立て合うということ。これは試してみないわけにはいきませんよね。
「日本酒と和菓子のペアリングは、実は古くから楽しまれていることなんです。
のし梅なんて、まさにお酒に合う甘味ですよね。酒まんじゅうを見てもわかるように、あんこを使った甘味は日本酒と相性が良いと思います」
chicoさんが語るように、日本にも日本酒と甘味を楽しむ文化は根強くありました。酒どころ新潟では、江戸時代の頃から「ゆべし」を日本酒の肴にすることも。
ちなみにchicoさんいわく、日本酒と和菓子を合わせるにはポイントがあるといいます。
「基本的に小豆餡を使ったものや、餅・米粉を使った和菓子は日本酒にマッチしますが、比較的淡い味わいのものを合わせることで、日本酒の繊細さや優美さを生かすことができると思います。
また、ドライフルーツなど自然の甘みや風味を持ったものも日本酒と好相性ですね」
「実は日本酒にはチーズケーキがよく合うんです。私自身、チーズケーキがベストマッチングだと思っています。チーズの芳醇で香ばしい香りとレモンの酸味を加えることによって生まれる奥深い味わいが、発酵により作られた日本酒と共通した旨味を持っているのかもしれません。
ただし、おすすめはあまり重たいものではなく、軽さのあるチーズケーキ。ちょっとクセのある日本酒には濃厚なものも合うかもしれないので、ぜひ試してみてください。また、和菓子と同様にドライフルーツを使ったケーキや、和の食材を合わせたクッキーなどのお菓子は日本酒の味を引き立ててくれます」
「和菓子も洋菓子もペアリングを成功させるポイントは、似た香りのものを選ぶか、まったく真逆のものを選ぶか。そして、香りを加えることで調和するかどうか、を見極めることだと思います。
また、生菓子のようなタイプには軽い日本酒を、羊羹みたいなものには重めの日本酒が合います。このようにお菓子とお酒の重量感を合わせると美味しいペアリングができますよ」
ここからはchicoさんセレクトの久保田に合うスイーツカタログをお届け。
まずは和菓子編です。
1,200円(税込)※3個セット
https://www.instagram.com/kantan.na.yume/
「和生菓子の中でも上生菓子には軽めのお酒が合います。ドライすぎたり、キレが強すぎたりすると、上品で繊細な味わいの生菓子が負けてしまうため。程よいキレならいい感じにすっきりと楽しむことができます。今回チョイスしたのは、和菓子屋・かんたんなゆめの『嬉々』という練り切り。レモンの果実味、苦み、そしてクリームチーズの塩気がお酒に合いますよ。デザインがおしゃれで、季節によって変わるのも魅力です」
【chicoさんのイチオシ久保田】
久保田 翠寿 ※4~9月限定出荷
「低温で貯蔵することで若々しさ、華やかさを醸す翠寿。そのフルーティーな香りが、果実味を際立たせ、お酒のキレがレモン特有のビターさを引き立てる。同時にお酒の方も甘みがより引き出されるよう」
2,300円(税込)
https://wagashi-asobi.com/item/item_a.html
「『wagashi asobi』のドライフルーツがたっぷり入った羊羹は、口どけとともにどんどん味わいが膨らんでいく逸品なのですが、日本酒を合わせることでいちご・いちじく・くるみのドライフルーツの食感を楽しめるのもポイント。ドライフルーツがもたらすスパイシーさもまた、日本酒の味わいを深めてくれます」
【chicoさんのイチオシ久保田】
久保田 萬寿
「この羊羹が持つ旨味を、萬寿がブースターとなって味わいを高めてくれるような感覚でした。後味がググッと、驚くほど広がります。黒糖の旨味も浮かび上がるよう。萬寿の深みのある味わいと華やかさは、羊羹のしっかりとした味わいに負けず、素晴らしいマリアージュを感じさせてくれます」
1,730円(税込)
http://uchu-wagashi.jp/?pid=150748507
「“今、和菓子をつくることが100年後に新しい文化になる”というコンセプトのもと、和菓子を丁寧に作り続けている京都の人気店『UCHU wagashi』。このお店の新ブランドである『NEXT 100 YEARS』のフルーツの羊羹は、果実のスッキリとした甘さが特徴で、日本酒との相性は抜群です。香料を使っていないので、日本酒の繊細な香りを壊すことなく楽しむことができます。丁寧に作られたものって、同じように丁寧に作られたものと相性がいいんです!」
【chicoさんのイチオシ久保田】
久保田 紅寿
「紅寿の特徴である若いバナナや青りんごのような清涼感のある香りが、フルーツたっぷりの羊羹の味わいを高めてくれます。そう考えると紅寿はスイーツと相性が良い日本酒なのかもしれません」
続いて洋菓子編です。
日本酒との意外なペアリングは要注目!
324円(税込)
https://www.pierreherme.co.jp/ph/
「丸の内や東京駅構内にある『Made in ピエール・エルメ』で購入することができる、白味噌とレモンを使ったマカロン。この組み合せだけで日本酒に合いそう!というのが分かるものですが、食べてみてさらに納得。甘じょっぱさが日本酒にピタリとハマります。
さらに単品の販売以外に詰め合わせもあり、ボックスが葛飾北斎や歌川広重の浮世絵をモチーフにしていてとにかくおしゃれ。ホームパーティーにお呼ばれしたときに、日本酒とともにこんなマカロンを持っていったら人気者になれちゃいそうです」
【chicoさんのイチオシ久保田】
久保田 千寿 純米吟醸
「純米吟醸らしいお酒の香りと甘みが、白味噌の甘じょっぱい味わいとお菓子のコクを膨らませてくれます。また、アーモンドの香りも邪魔せず広がり、マカロンの味わいを最大限に味わえる取り合わせです」
4,950円(税込)
https://cheesecake-holic.com/?pid=150182728
「チーズケーキに合うお酒はワインでしょう!というのが一般的だと思います。でも、実際にはワイン以上に日本酒がしっくり合うんですよ。
予約の取れない名店『長谷川 稔』の長谷川稔シェフが手掛けるチーズケーキブランド『Cheesecake HOLIC』のクリームチーズケーキは、チーズの香りが濃厚に味わえるのに食感が軽く日本酒にマッチ。また、レモンではなく四国産の小夏・はるか・ライムを使用していて、そのさっぱりとした酸味もまた、日本酒を引き立ててくれます」
【chicoさんのイチオシ久保田】
久保田 翠寿 ※4~9月限定出荷
「フルーティーな香りが柑橘の奥行きを広げてくれます。すっと爽やかなキレが続くので、食後感も清々しいです。軽やかで上品な翠寿を殺さないために、チーズケーキはしっかり冷やすことをオススメします」
4,212円(税込)
https://8ablish.shop/items/5e8f6a072a9a4240d41a0db8
「洋菓子の定番であるクッキーも、実は日本酒と相性の良いお菓子です。中でも8ablish(エイタブリッシュ)の『やちよ』というクッキーは、小麦粉を使用しないグルテンフリーで作られ、乳製品や卵を使わないヴィーガンスイーツ。素材の味を実感できるストイックさが、磨き抜かれた優れた日本酒の味わいと調和するように感じました。
酒粕・柚子・抹茶・山椒・焙じ茶・生姜・梅・味噌の8種類あり、それぞれ日本酒に合いますが、中でもおすすめは梅のクッキー。おつまみ感覚であっという間に食べきってしまいそうです」
【chicoさんのイチオシ久保田】
梅のクッキーには久保田 千寿
「梅の甘じょっぱさと酸味が、千寿のコクとキレに調和します。後味に来るプラムのようなふくよかな甘みを浮かび上がらせてくれる取り合わせです」
【chicoさんのイチオシ久保田】
味噌のクッキーには久保田 碧寿
「碧寿の重さとキレは、焼き菓子特有の素朴な香ばしさを引き立ててくれます。このお酒はどのフレーバーにも合いましたが、特におすすめなのが味噌味のクッキー。生地の香ばしさや旨味を印象付け、クッキー単体を食べるだけではわからなかった風味を膨らませてくれます」
「日本酒とスイーツを合わせることは、それぞれを単体で味わうのとは印象がまるで違いました。フルーツを使ったものの奥行きを広げる『紅寿』、オールマイティにお菓子になじむ『千寿 純米吟醸』、さっぱり系のお菓子には『翠寿』、どっしりしたお菓子には『碧寿』という風に選ぶといいと思います」
と、chicoさん。まだまだ未知数である日本酒の魅力とスイーツの魅力を発見するために、美味しいペアリングを楽しんでみてください。
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara