日本酒のアルコール度数はどのくらい?他のお酒との比較も紹介
2020.03.17

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日本酒のアルコール度数はどのくらい?他のお酒との比較も紹介

知れば知るほど奥の深い日本酒の世界。中でもアルコール度数に関しては、「15度以上16度未満」など曖昧な表現があったり、ビールなどのパーセント(%)表示と異なっていたりと、わかりにくさを感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、日本酒のアルコール度数にまつわる情報をわかりやすく解説します。また、アルコール度数によって変わる日本酒の楽しみ方についてもお伝えします。

目次

  1. 日本酒のアルコール度数とは
    1. 日本酒のアルコール度数は15~16度が一般的
    2. 焼酎やビール、ワインなどのアルコール度数
    3. 日本酒のアルコール度数はなぜ高いのか
    4. 同じ銘柄でもアルコール度数が違う理由
  2. アルコール度数と味わいの関係とは
    1. アルコール度数15~16度の日本酒はバランスの追求
  3. アルコール度数の違いによる日本酒の楽しみ方
    1. 【5~10度】初心者にぴったりの飲みやすさ
    2. 【11~12度】ワイン好きにおすすめ
    3. 【18~21度】日本酒本来の味わいを楽しみたい方向き
    4. 【22度以上】リキュール感覚で楽しむ
  4. 自分に合ったアルコール度数で日本酒を楽しもう

日本酒のアルコール度数とは

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日本酒は酒税法における「清酒」に分類され、アルコール度数は22度未満と定められています。とはいえ、酒税法でハッキリしているのは上限のみ。日本酒のアルコール度数は造り方によって様々です。

まずは、日本酒のアルコール度数について、基本的な知識を確認しておきましょう。

日本酒のアルコール度数は15~16度が一般的

日本酒は、米・米麹・水を原料に、日本国内で造られたお酒だと定義されています。加えて、「アルコール度数22度未満であること」ことも法律で定められています。

しかし、実際に市場に出回っている日本酒のアルコール度数のほとんどが15~16度の範囲内。本醸造や大吟醸といった種類、産地や蔵元の違いに関わらず、この傾向に変わりありません。一方で、ほぼ22度の高アルコールの日本酒があったり、逆に数度程度の低アルコールの日本酒もあったりします。

15~16度のアルコール度数が一般的ですが、選ぶ日本酒によってはアルコール度数に大きな開きがあります。

焼酎やビール、ワインなどのアルコール度数

日本酒のアルコール度数は15~16度を中心に、最高でも20度強です。このアルコール度数は他の酒類と比べてどれほどでしょうか?

たとえば、日本人になじみ深いビールは4~8度。のど越しを楽しむビールはアルコール度数を抑えた製品が多いです。日本酒と同じく日本の酒を代表する焼酎は、20~25度とアルコール度数はやや高め。日本酒が醸造酒なのに対し、焼酎がウイスキーと同じく、より純度の高い液体を造る蒸留酒であることがその理由です。

また、ワインの場合、赤が11~15度、白が7~15度と、原料の違いによってアルコール度数に差が生まれます。アルコール度数だけを比べると、日本酒は赤ワインと同程度のアルコール度数と考えると良いでしょう。

ちなみに、アルコール度数の表現には日本酒などの「度」やビールなどの「%」がありますが、表記が違うだけで同じ意味だと考えておいて大丈夫です。

日本酒のアルコール度数はなぜ高いのか

焼酎ほどではないにせよ、日本酒のアルコール度数は高めです。蒸留酒ではない日本酒のアルコール度数が高いのはなぜでしょうか?

通常、アルコール発酵には酵母と糖分が必要です。しかし、日本酒の原料となる米にはでんぷんが含まれていますが、糖分が含まれていません。重要な材料の1つが足りないわけですから、造り手には高い技術が不可欠です。

酵母培養のカギを握る工程は「酒母造り」と、その酒母と蒸米、麹米、水で仕込む「もろみ造り」です。もろみの中で、蒸米のでんぷんが麹米の酵素によって糖化されて糖分が生じ、酵母がその糖分を食べることでアルコール発酵が行われます。
日本酒はビールなどとは異なり、1つのタンクで糖化と発酵が同時に起こり、酵母がアルコール発酵しやすい環境です。そのため、効率良く発酵が行われ、ビールなどに比べてアルコール度数が高くなるのです。
日本酒のアルコール発酵は造り手の経験値が問われます。たとえば酵母が死滅してしまうと香りが落ちることもあるなど、醸造過程のちょっとした差がアルコール度数だけではなく日本酒の味わいにも影響します。

つまり、日本酒のアルコール度数の高さは造り手の技術力の証と言えるのです。中には、酒税法では「清酒」とはならないものの、22度を超える日本酒を生み出す造り手も存在します。

同じ銘柄でもアルコール度数が違う理由

日本酒では、同じ銘柄であっても種類によってアルコール度数が違うことがよくあります。日本酒に不慣れだと「同じ銘柄なのに?」と不思議に思うかもしれませんが、市場に出回る日本酒の多くは「原酒」に加水することでアルコール度数を調整したものだからです。

加水前の原酒は高濃度で、言わばリキュールのようなものです。そのままでももちろん美味しいですが、水を加えることで飲みやすさや味わいを追求しています。

水を加えれば加えるほどアルコール度数が下がって飲みやすくなり、日本酒本来の味や香りも穏やかになります。、アルコール度数と香味のバランスの取れた美味しい日本酒には、造り手による経験や見極めが欠かせません。

アルコール度数と味わいの関係とは

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日本酒は銘柄によって好みが分かれるものですが、実はそうした好みを左右する日本酒の味わいには、アルコール度数が大きく影響を与えています。

そこで、アルコール度数が日本酒をはじめとする酒類の味わいに与える影響についても、確認しておきましょう。

アルコール度数15~16度の日本酒はバランスの追求

日本酒のアルコール度数は15~16度がもっとも一般的とされているのは先に述べたとおりですが、この度数が多いのにはきちんとした理由があります。

アルコールは純度が高ければ高いほどピリピリとした強い刺激を感じやすくなります。ウォッカほどではないにしても、日本酒のアルコール度数の上限となる20度前後だと、まだまだ刺激の強さを感じる方が多いです。

日本酒の風味を損なわず、飲みやすさと味わいやすさのバランスを追求した結果、15~16度のアルコール度数に落ち着いたと考えられています。

アルコール度数の違いによる日本酒の楽しみ方

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15~16度のアルコール度数が基本の日本酒ですが、最近は低アルコール度数のスパークリング清酒も人気。一方で、度数の高い原酒を中心とした通好みの日本酒もあり、アルコール度数の違いに応じて、味わいも楽しみ方もさまざまです。

アルコール度数別の日本酒の楽しみ方についても紹介します。

【5~10度】初心者にぴったりの飲みやすさ

日本酒にまだなじみがない初心者におすすめなのが、アルコール度数を5~10度前後に抑えた日本酒。ビールやチューハイなどとさほど変わらないアルコール度数なので、誰でも気軽に楽しめます。しっかりと冷やせばさらに飲みやすくなります。一般的な日本酒にアルコールの強さを感じている方にもぴったりです。また、15~16度の日本酒に慣れた方なら、今まで嗜んできた日本酒とは異なる味わいに新鮮さを感じられるはず。

さらに低アルコール度数の日本酒の中には、炭酸ガスを含んだスパークリング清酒も多数あり、シュワっと爽快な味わいを楽しめます。

アルコール度数が低いだけあって、上質な水を口にするような飲みやすさが魅力。食前酒として味わってみてはいかがでしょうか。

【11~12度】ワイン好きにおすすめ

ワイン好きな方なら、アルコール度数11~12度の日本酒を選ぶと、もっとも飲みやすいでしょう。

平均的な日本酒よりはやや低いものの、ある程度のアルコール度数があるため、日本酒ならではの風味も堪能できます。

日本酒はワインと同じように香りも楽しめるので、香りが立ちやすい口が広がったワイングラスで頂くのもおすすめです。香りの違いを追求すると、日本酒の楽しみ方が広がりますよ。

【18~21度】日本酒本来の味わいを楽しみたい方向き

アルコール度数18~21度の日本酒は、ほとんどの場合、「原酒」そのものを味わうことになります。

アルコールの刺激はそれなりにありますが、銘柄ごとの日本酒本来の味わいをとことん楽しみたい方にはこの上ない美酒となるでしょう。日本酒が大好きな方、さらに濃厚な味わいを求める方におすすめです。

味がダイレクトに伝わるので、利き酒のように少量ずつを味わうのがおすすめ。キーンと冷やしておくと、アルコール度数の高さが気にならなくなり味わいやすくなります。また、あえてロックや炭酸で割って味わうのも、原酒ならではの楽しみ方です。

【22度以上】リキュール感覚で楽しむ

法的には日本酒として扱われるものではありませんが、アルコール度数22~46度前後の日本酒も存在します。

こうした原酒を手に入れると、加える水の量を自分なりに調整したり、自分好みのアレンジが可能になり、日本酒の風味を損なうことなく自分らしい楽しみを増やせます。

ロックや水割りはもちろん、カクテルの材料として利用するのもおすすめです。

自分に合ったアルコール度数で日本酒を楽しもう

日本酒にも幅広いアルコール度数があるとわかれば、銘柄を選ぶ楽しみも広がります。度数の高い日本酒は本来の風味を深く味わえ、度数の低い日本酒はサラッと飲みやすく気軽に楽しめます。それぞれに特徴があるので、その日の気分や体調に応じて選ぶといいでしょう。