七夕の夜~涼やかに日本酒を堪能しよう~
2025.06.27

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七夕の夜~涼やかに日本酒を堪能しよう~

7月7日は七夕(たなばた)。七夕の夜に願いを込めて日本酒を楽しみませんか。七夕と関係の深い笹を取り入れたり、爽やかなコーディネートをしたり、暑い七夕の季節でも涼やかに日本酒を飲む方法を提案しましょう。

目次

  1. 七夕の由来
  2. 笹の効果
  3. 夏にぴったり!涼やかに日本酒を楽しむレシピ
    1. 「冷やしトマトきゅうり」と「久保田 スパークリング」
    2. 「水ナスの香味サラダ」と「久保田 翠寿」
    3. 「きゅうりの酢の物と穴子の甘ダレ」と「久保田 千寿 純米吟醸」
    4. 笹を食卓に
  4. 暑い七夕の夜、工夫をして楽しみましょう

七夕の由来

七夕(たなばた)は「しちせき」とも呼び、古くからある行事のひとつ。一年間の節句を表す五節句は、人日(1月7日)、上巳(3月3日)、端午(5月5日)、七夕(7月7日)、重陽(9月9日)。このうちのひとつに数えられているほど重要なお祭り行事となっています。起源は、①日本の神事「棚機(たなばた)」という行事 ②織姫と彦星の伝説 ③中国の行事「乞巧奠(きこうでん)」の3つが合わさったと言われています。

七夕の行事をするようになった奈良時代は、旧暦の7月7日(現在の8月中旬頃)に行なっていました。ちょうどお盆の時期と重なるため、笹を神や先祖の霊が宿る「依り代(よりしろ)」と考え、秋の収穫を祈ったり身を清めるといった意味を込めて飾っていたようです。縄文時代の土偶の形代(かたしろ)も同じで、神や故人の魂を宿して豊穣祈願などに用いていました。また、流し雛も形代で、人形に穢れや病を移して川に流します。このように依り代や形代は悪いものを祓ってもらうという目的がありました。
平安時代になると宮中行事となり、梶(かじ)の葉に和歌を書いて願い事をするようになります。これが江戸時代になり、七夕が庶民の間にも広まるようになると全国で行事が行われ、梶の葉の代わりに短冊に願い事を書いて竹や笹に飾る習慣へと変化していきました。

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笹の効果

生命力に溢れた竹や笹は不思議な力があるとされ、七夕と笹は切っても切れない関係です。七夕の暑い時期には食べ物が腐りやすく、ご先祖へのお供え物の下に笹を敷くなど、防腐目的でも使用されていました。古くから民間薬として傷や火傷の治療にも使われ、胃腸病、糖尿病、高血圧など万病に効くとも言われていたほど。実際に、笹の葉には防腐や殺菌の効果がある安息香酸、抗酸化作用のあるクロロフィルが含まれており、笹団子や笹寿司といった名産品にも使われ、昔からの抗菌の知恵が現在も継承されています。また、料理の盛り付けに使うと、見た目も美しくおもてなしに最適。日常にも取り入れると、様々な用途に使えるでしょう。

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夏にぴったり!涼やかに日本酒を楽しむレシピ

お正月にはお屠蘇、端午には菖蒲酒、重陽には菊酒など、それぞれの節句にお酒を飲む習慣があります。七夕は「一夜酒(ひとよざけ)」と言われていて、一晩で造るお酒、つまり甘酒。現在のように冷蔵管理も出来ず、夏に醸造することがなかったため、お酒ではなく甘酒が飲まれていたのかもしれません。今は、夏にも日本酒を楽しめる環境が整っていますので、七夕の夜は、夏にふさわしい料理と日本酒を楽しみましょう。

「冷やしトマトきゅうり」と「久保田 スパークリング」

ガラスの器を使って氷を入れ、見た目にも涼を。野菜をしっかり冷やせば、熱中症対策にも万全です。生野菜と日本酒は、実は完璧に合うとは言い難いのですが、オイルが繋ぎ役となってくれるため、ちょっと香りの良いオリーブオイルを加えるとグッと相性が良くなります。

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【材料】2人分
・トマト:1個
・きゅうり:1本
A
・オリーブオイル:適量
・塩:少々

【作り方】
① トマトときゅうりは食べやすい大きさに切る。
② 器に氷を入れ、①を盛り付ける。
③ 食べる時にオイルをかけ、塩をふる。

暑い日の一杯目はキンキンに冷えた炭酸飲料が欲しくなりませんか。「久保田 スパークリング」は程よい炭酸で甘い香りが立ち上り、低めのアルコール度数でとても飲みやすい一本。軽やかで乾杯にも最適です。

「水ナスの香味サラダ」と「久保田 翠寿」

夏に旬を迎える水ナス。皮が薄くてみずみずしい、生で美味しいナスです。味が入りにくいので、手で割って、塩を少し効かせるのがポイント。ミョウガや大葉といった夏に大活躍する薬味を加えて、爽やかな1品です。

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【材料】2人分
・水ナス:1個
・ミョウガ:1/2個
・大葉:1枚
A
・マヨネーズ:大さじ1
・米酢:小さじ1
・オリーブオイル:大さじ1
・塩:適量

【作り方】
① ミョウガは薄い輪切りに、大葉は千切りにする。
② 水ナスを手で一口大に割いて、Aをからめる。
③ ②に①をのせる。

お酒は「久保田 翠寿」がおすすめ。生酒の翠寿は、青々しく爽やかな香りが青竹や草木を連想させます。まさに笹と関連のある七夕にぴったりではないでしょうか。ガラスの猪口に注げばとても涼しげ。滑らかな口当たりと上品な後味で、ドレッシングに使ったオイルによって水ナスのジューシーさと翠寿のフレッシュさをリンクさせます。

「きゅうりの酢の物と穴子の甘ダレ」と「久保田 千寿 純米吟醸」

穴子は夏が旬と言われていますが、実際に脂がのるのは冬。さっぱりしている方が良いとされる、他とはちょっと違う魚です。すでに焼いてある穴子を使って甘辛く煮付け、旬のきゅうりと一緒に味わえばまさに夏の一品。タレや合わせ酢を作るのが面倒であれば、市販のめんつゆとすし酢などで代用してもOKです。

きゅうりの酢の物と穴子の甘ダレ&久保田  千寿 純米吟醸

【材料】2人分
・焼き穴子:150g
・きゅうり:1本
・塩:適量
A
・酒:大さじ1
・醤油:大さじ1
・みりん:大さじ1
・砂糖:小さじ1
B
・だし汁:大さじ2
・米酢:小さじ1
・薄口醤油:小さじ1

【作り方】
① きゅうりに切り込みを入れて一口大に切り、塩を揉みこんだ後、しばらく置く。
② 穴子は小さめに切り、Aを煮からめる。
③ ①の水気を切り、Bで和え、②と盛り付ける。

お酒は「久保田 千寿 純米吟醸」を。綺麗なブルーボトルが夏らしいイメージを演出。青みがかった磁器の猪口ならさらに涼しげです。千寿 純米吟醸はキリッと冷やすと程よい酸味が心地よく、キレが抜群。あっさりめの穴子とのボリューム感もちょうど良く、千寿 純米吟醸の軽やかな香りが全体をまとめます。

笹を食卓に

笹の葉の上に置かれたガラスのトックリ、グラス

健康祈願、癌封じのお祭りで「笹酒祭り」があります。奈良時代、光仁天皇が青竹に入れて笹酒を飲んで長生きしたという話に由来し、お祭りの日には竹にお酒や水を注いで飲み、健康を願います。笹酒祭りは七夕に行われるわけではありませんが、竹は日本の風習や文化に深く関わっており、竹の清々しい香りは七夕にも相応しいように感じます。自宅で青竹を用意するのは難しいものの、七夕飾りに用意した笹をちょっと食卓に飾ったり酒器に添えたりするだけで、笹の香りも感じられ七夕の雰囲気を満喫出来るのではないでしょうか。

暑い七夕の夜、工夫をして楽しみましょう

翠寿をテーブルで眺めながら

年々暑い時間が長くなり、各所で最高気温を更新するような夏。そんな暑い季節でも、日本の伝統行事である節句は大切にしたいものです。七夕に夜空を眺めながら一献というのも粋に感じます。涼やかに、軽やかに、夏の晩酌を堪能しましょう。

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まゆみ

まゆみ

酒匠、料理研究家。 1日も欠かすことなく日本酒を呑み続ける、驚胃の持ち主。立ち飲み屋に自ら立ち、日本酒の普及に努める。著書「うち飲みレシピ」「スバラ式弁当」。