
20代の日本酒リアルボイス――忙しい日常にこそ日本酒を。いつもにプラスするだけで、食事にも時間にもじっくり向き合えた話
20代に久保田の日本酒を飲んでもらい、正直な感想や意見をもらう「20代の日本酒リアルボイス」。今回はフリーライターのおのまりさんに、2種類の日本酒を飲んでいただきました。日本酒の味は好きだけども、どうやって楽しんだら良いのかは分からないというおのまりさん。「お酒ビギナー」だというおのまりさんに、久保田のお酒はどう映ったのでしょうか?今夜の一杯のお供にぜひお楽しみください。
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お酒は身体に悪いと決めつけていませんか?正しいお酒との付き合い方を身につければ、ボジティブな効果を引き出すことが出来ます。健康を意識しながら、大人な嗜み方を考えていきましょう。
目次
日本酒に悪い印象を持っている方が多いのではないでしょうか?他のアルコールに比べて日本酒が悪酔いするという科学的根拠はありませんが、確かに、新入社員の歓迎会や接待、大学のサークル活動、友人たちとの飲み会といった場所でついつい飲みすぎ、翌日の二日酔いに悩まされる経験をしたことは少なくないはずです。今ほど上質なお酒が少なかったのも事実で、周りの雰囲気に流されたり、勧められて断れないなど酔いつぶれてしまう人を居酒屋で見かけることも多々ありました。
しかし、現在は生活スタイルも変化し、お酒の質も上がり、種類も多様化したため、正しく飲めばポジティブな効果があります。魅力ある大人は格好いいお酒の飲み方が出来る人。人生を楽しむためにも、スマートにお酒を飲む方法を身につけましょう。
お酒は健康を害すると思っていませんか。アルコールだけでなく、飲食はどんなものでも食べ過ぎ飲み過ぎによって身体に負担がかかります。お酒だけでなく、食事は適量に摂ることが非常に重要なことです。
適度な飲酒量とはどれくらいでしょうか。アルコール代謝は個人差があり、体格や年齢によっても変わり、その日の体調によっても違いがあります。基準として、厚生労働省の「節度ある適度な飲酒」によると純アルコール1日20g程度とされており、計算式は下記の通り。
摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコールの比重)= 純アルコール量(g)
5%のビールと40%のウイスキーでは、同じコップ1杯でもアルコール摂取量は全く違います。例えば、一般的に多いアルコール15%の日本酒1合としましょう。
180ml × 15/100(15%) ×0.8= 21.6g
こうして確認すると、適度とされる量が一目瞭然。日本酒なら1合ほど、ビールでは500mlの中ジョッキ1杯、ウイスキーの場合は60mlなのでダブル1杯程度ということになります。
適量のお酒は健康効果が期待できます。
<血行促進>
飲酒は血管を拡張させ、血液の流れを良くします。そして、血中の善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させる効果があり動脈硬化を抑制するとも言われています。また、消化酵素の分泌を増やす働きで胃の血流も良くなるため、食欲を増進させてくれます。
<ストレス軽減>
副交感神経を優位にし、大脳新皮質の働きを鈍くします。普段、抑制されている感情も出てきて気分が活発になったり、不安やイライラの解消にもつながります。ホップやフルーティーな香りにはアロマ効果を感じるため、リラックスすることができます。
<コミュニケーションの促進>
会食といった社交の場での飲酒は会話を増やすのにも役立ち、コミュニケーションを円滑にします。一緒にお酒を楽しむことで親近感も湧き、社交性が高まり社会的な繋がりも増えていくことでしょう。
<美肌効果>
日本酒をよく飲む人や酒蔵で働く人たちの肌が綺麗だとよく聞きます。日本酒には、メラニン色素の生成を抑制してくれる成分があり美白効果が期待でき、血行が良くなることで冷えが改善、肌の新陳代謝が促進され肌ツヤも良くなります。抗酸化作用や、ヒアルロン酸とコラーゲン生成につながる成分も含まれており、アンチエイジング効果も期待できるでしょう。
メイクや洋服にこだわっていても、振る舞いが雑だとその人の魅力は半減どころか印象が悪くなるばかりです。例えば歩く時、前かがみにならずに垂直を意識することで凛とした格好になります。椅子に腰掛ける時は、背もたれには頼らず、背筋を伸ばして姿勢をよく。特に日本料理店での食事の時は食べ散らかすようなことはせず、口に入っている時は喋らない。箸を正しく持ち、話す時や使わない時は揃えて箸置きに置く。当たり前のことですが、意外とずさんになっていませんか。
接待などの場合は「差しつ差されつ」といったように、お酌をし合うこともあるでしょう。その時も、お猪口になみなみと注いだり、無理強いをしたりせず、相手を思いやることが重要。お酌を受ける時はお猪口を持ち、両手でいただくと品が良くなります。お猪口は平盃を使用すると顎を上げなくても粋に飲むことが出来ます。
お酌をするときは、絵柄のある徳利なら正面を向けましょう。中身が入っているか確認する場合、中を覗いたり振ったりしてはいけません。こういったマナーを知ることで自然と美しい所作になっていき、所作を意識することでお酒を飲む時も上手に嗜み、お互いに気持ちよく過ごすことができるのです。
多少、日本酒の知識があった方が選び方も飲み方も楽しくなります。会話も増えて飲酒量が減り、無駄に飲む必要がなくなります。何より、好みのお酒を選びやすくなり、1杯の満足度が格段に上がることで適量を守ることができるのではないでしょうか。
<精米歩合>
精米をして玄米から残った米の割合をパーセンテージで表したのが精米歩合。この精米歩合によって、純米酒や吟醸酒といった特定名称酒に分けられています。例えば純米酒は、精米歩合60%以下で醸造アルコールが添加されていないお酒。大吟醸酒は精米歩合が50%以下のもの。醸造アルコールが添加されているものは大吟醸酒、添加されていないものは純米大吟醸酒となります。
米に含まれる脂質には香りを制御してしまう効果があります。脂質は表層部にあるので、50%削るとほぼ無くなります。大吟醸酒や純米大吟醸酒がフルーティーで上品な香りのものが多いのはそのためと言えるでしょう。
<季節の用語>
日本酒は出荷時期を表す言葉がありますが、春の新酒、夏酒、秋のひやおろしはよく聞くのではないでしょうか。冬から春先に出てくる新酒はしぼりたてとして、若々しくみずみずしいものが多く出回ります。夏酒は、加熱していないフレッシュな生酒や酸度を高めにしてスッキリとした味わいのものが目立ちます。ひやおろしや秋あがりと呼ばれるお酒は、タンクや瓶でひと夏越えて貯蔵したもの。まろやかな口当たりと旨味がのった味わいが特徴です。
<製法>
日本酒は通常、アルコール度数を調整するのに加水をします。原酒と書かれたものは一切加水が行われていないため、しっかりした味となります。また、無濾過生原酒は、濾過も加熱(火入れ)、加水も行わない、そのままの状態なので個性的で濃厚な味わいが多いでしょう。
アルコールは体温と同じ温度になって吸収されていきます。人肌程度の燗酒にするとスムーズに吸収されるため、お酒を飲んだという感覚が早く、飲み過ぎ防止には最適と言えるでしょう。特に温度が変わることで、口当たりや香りも変化し、膨らみを感じます。燗酒は自然とゆっくり味わうため、まさにスマートに飲むことが出来ます。
日本酒を何かで割るという事が少ないかもしれませんが、炭酸水などで割ってカクテルのようにするのもおすすめです。特ににごり酒をソーダ割りにするとすっきりし、アルコール度数も抑えられ軽やかに。緑茶で割ると清涼感が増し、フルーツ系のジュースで割ると飲みやすくなります。グラスを変えることで雰囲気も変わりバリエーションも増え、様々なシーンに合わせた飲み方が可能となります。
お酒に限らず、生活に悪影響を及ぼす行為は良くありません。例えば、寝る直前までスマートフォンを見ていると睡眠障害が起こったり、脂の多い食事ばかりをしていると高血糖や動脈硬化のリスクも高まります。アルコールの適量を超えた場合は、メリットよりデメリットの方が上回ってしまいます。健康的な生活を毎日送り、マナーを守り、年齢相応のきちんとした振る舞いを意識することで、飲酒の場でもスマートで粋な飲み方が出来るようになっていきます。お酒を嗜むことは、人生を楽しむこと。日本酒って格好いい、楽しい、飲んでよかったと、多くの方に共感して欲しいと思います。
profile
酒匠、料理研究家。1日も欠かすことなく酒を呑み続ける驚胃の持ち主。酒と蕎麦と音楽を愛する。著書「うち飲みレシピ」「スバラ式弁当」。