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「ちろり」とは?お燗で日本酒を楽しもう
日本酒を温めるときに使われる酒器の一つ「ちろり」。日本酒を注いでお湯の中で温めるだけで、手軽に燗酒が楽しめる人気アイテムです。この記事では、ちろりの基礎知識からおすすめの日本酒まで紹介します。
ちろりとは
もうすぐ今年も終わり。少しずつ日が短くなり、本格的な寒さがやってきました。そんなときに飲みたくなるのが、心がホッと温まる燗酒。常温の味わいとは異なり、米のふくよかな香りとまろやかさが楽しめる飲み方です。まずは、燗酒をより深く楽しめる「ちろり」の意味や由来について紹介します。
ちろりの意味
「ちろり」とは、日本酒を温める酒器のことです。取手と注ぎ口が付いた筒型の酒器で、日本酒を注ぎお湯の中で温めるだけで、あっという間に燗酒のできあがり。保温性にも優れており、一度温めたら何度でも燗酒を楽しめるアイテムです。また、ちろりは保冷性も抜群のため、暑い夏の間はキンキンに冷えた冷酒を楽しむ際にも活用できます。
ちろりの由来
江戸時代後期に登場したといわれているちろりは、実は中国から伝わってきたとされています。しかし、詳しい伝来時期やその経路などは今でも分かっていません。
また、「ちろり」という名前の由来も諸説あり、「ちろりとすぐに日本酒が温まるから」「お酒好きが飲みたくて待ちきれずにちろりと舌を出すから」「囲炉裏(いろり)で温めるから」など、さまざまな説が挙げられています。
ちろりと徳利の違いとは
飲食店でよく見かける陶器製の「徳利(とっくり)」は、電子レンジなどで手軽に温めることができますが、全体を均一に温めることができず温度ムラができてしまいます。これではせっかくの燗酒も台無しに。
一方でちろりは、銅や錫(すず)など熱伝導率の高い素材でつくられているため、ムラなく均一に日本酒を温めることができる優れもの。さらに、錫に含まれる成分が日本酒の雑味やクセを抑え、よりまろやかな味わいに仕上げてくれるといいます。
ちろりの使い方・選び方
ちろりの基礎知識を知ったところで、続いてはちろりの使い方や選び方を紹介します。飲食店だけでなく、自宅でもちろりを使って燗酒を楽しんでみませんか。
ちろりの使い方
ちろりの使い方は至ってシンプルです。手順を覚えて、自宅でも燗酒を楽しんでみてください。
①まず、ちろりにお好みの日本酒を注いだら、湯煎するための鍋に半分ほどの水を入れ温めます。温度ムラができないよう、水の量は日本酒を入れた高さと同等にしておきましょう。
②沸騰したら火を止め、日本酒が入ったちろりを入れます。あとは、お好みの温度になるまでちろりを温めましょう。温度計があると便利ですが、徐々に香りや温かさでお好みの温度が分かるようになります。
ちろりの選び方
現在、銅や錫のほかにも比較的リーズナブルなアルミ製やステンレス製、見た目がおしゃれなガラス製などさまざまな素材のちろりが販売されています。同じちろりでも素材によって熱伝導率の高さや保温性、デザイン、値段、日本酒の味わいは異なるため、自分がどのような軸で燗酒を楽しみたいかによって商品を選ぶのがおすすめです。
・銅
さまざまな素材の中でも、最も熱伝導率が高いのが銅製のちろり。その早さは錫の約6倍ともいわれており、すぐに燗酒を楽しみたい方におすすめです。
・錫(すず)
本格的な燗酒を楽しみたい方には、錫のちろりがおすすめ。熱伝導率に優れており、燗酒は温度ムラがなく効率的に、冷酒は冷えた状態のままで楽しめます。また、錫に含まれている成分には殺菌・鮮度保持の効果があり、日本酒の味わいをよりまろやかなものにしてくれるのも嬉しいポイントです。
・アルミ製
アルミ製のちろりは比較的リーズナブルな1,000円前後で購入できるため、気軽にちろりを試してみたい方や日常使いしたい方におすすめです。アルミは銅の次に熱伝導率が高いため、日本酒をしっかりと温めてくれます。コストパフォーマンスで選びたい方にもぴったりです。
・ステンレス製
キャンプなどのアウトドアシーンで大活躍するのがステンレス製のちろり。湯煎だけでなく直火でも温めることができるので、鍋などの重い荷物を持っていかなくとも外出先で燗酒を楽しめます。丈夫で壊れにくいのも魅力です。
・ガラス製
賑やかなお酒の場を、おしゃれでシックな雰囲気に演出したい方にはガラス製のちろりがぴったり。スタイリッシュな見た目のため、テーブルウェアとしても一役買います。日本酒好きへのプレゼントにもおすすめです。
ちろりで燗酒を楽しむのにおすすめの日本酒
続いては、ちろりで燗酒を楽しむのにおすすめの日本酒を2つ紹介します。ちろりを利用することで、今まで知らなかった日本酒の深い味わいに出会えるかもしれません。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2024年3月11日現在のものです。
熱燗がおすすめ「久保田 百寿」
朝日酒造が手がける「久保田 百寿」は、熱燗におすすめの日本酒です。熱燗とは、日本酒を50℃前後に温めること。触ると熱くなる温度で、ちろりから湯気が出てきたらちょうどいい塩梅です。
辛口でスッキリとした味わいが特徴の「久保田 百寿」は、熱燗にすることでよりシャープでキリッとした印象に。米の香りは穏やかでありながらも、まろやかでふくよかな味わいが口の中に広がります。飲み飽きしないドライな味わいのため、食中酒や日常酒としてもおすすめです。
久保田 百寿
1,800ml 2,190円(税込2,409円)
720ml 1,020円(税込1,122円)
ぬる燗がおすすめ「久保田 碧寿」
「久保田 碧寿」は、じんわりと温かさを感じる40~45℃程度のぬる燗で飲むのがおすすめです。乳酸菌を一から作り出す山廃仕込みという伝統的な製法でつくられており、どっしりとした旨味とキレのある喉ごしが楽しめます。
ぬる燗にすることで、複雑な味わいが引き締まり、香りがさらに引き立ちます。日本酒特有のアルコール感も少なく、飲みやすい味わいに仕上がるでしょう。
久保田 碧寿
1,800ml 5,680円(税込6,248円)
720ml 2,540円(税込2,794円)
ちろりで日本酒を楽しんでみよう
寒い冬に飲みたくなる燗酒は、ちろりを使用することで、より効率的に、よりおいしく味わえます。素材もさまざま展開されているので、自分に合ったちろりを選んで、心がホッと温まる燗酒を楽しんでみてはいかがですか?