お寿司屋さんや天ぷら屋さんなどで見かけたことがあるかも、という方もいるのではないでしょうか?
「洗心」は、「久保田」を造る朝日酒造の知る人ぞ知る銘柄で、その淡麗な味わいと名前で密かに人気のあるお酒です。まずは名前の意味や、誕生背景を紹介します。
洗心は、もともとは中国の四書五経と呼ばれる儒教の経典の一つ「易経」という書物に登場する言葉です。「聖人以此洗心(聖人は此を以って心を洗い)」とあり、文字通り心を洗うという意味です。この"洗う"は汚れや負の感情などをイメージするかと思いますが、易経では洗い流すべきものは、期待や願い、固定観念と考えられています。
そういった意味から、朝日酒造ではこのお酒に、「初心に戻り、人を尊びきらめき生きる」という想いも込めています。
この洗心という名前がきっかけで、「快打洗心」を座右の銘にしていた元読売巨人軍の長嶋茂雄氏が愛飲していたことでも有名です。
また、神社の手水鉢などに洗心と彫られているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。両手を清め口をすすぐことにより、心も清めるという意味が込められており、神社仏閣関係の方からも洗心は好まれています。
大切な方や人生の門出を迎える方への贈り物として、また、心機一転新しいスタートを切る自分へのお酒としてもぴったりの名前のお酒です。
洗心の始まりは、1995年4月の朝日酒造の新第一号蔵(現在の朝日蔵)竣工に合わせて発表した記念酒です。その時の記念酒の味わいが好評で、1997年5月に商品化し発売し始めました。
当初は年数回の限定出荷でしたが、昨年から通年で出荷となり、一年を通して楽しめるようになっています。
洗心に使っているお米は、「たかね錦」という酒造好適米です。このたかね錦、実は一度はなくなりかけた、幻ともいわれた酒造好適米です。そのお米を朝日酒造の杜氏が復活させ、洗心を生み出しています。
たかね錦は、1939年に長野県立農事試験場で、「東北25号(農林17号)」を父、「北陸12号」を母に交配して誕生しました。標高の高いところでの栽培に適していたことから、たかね錦と名づけられました。
五百万石に比べるとやや小粒で、タンパク質の含有量も少ない一方、米が硬いので精米時に割れやすく使いづらいため、年々作付量は激減し使われなくなっていきました。
しかし、すっきりとしたいいお酒ができると酒蔵でも評判の酒造好適米だったため、たかね錦の復活を目指し、1991年4月に、朝日酒造の杜氏が新潟県小千谷市にある試験田でたかね錦の試験栽培を開始しました。減肥栽培で窒素分の少ない米を目指し、今では「あさひ農研」をはじめ地元の契約栽培農家の協力を得て、たかね錦を育てています。
洗心は、この契約栽培米のたかね錦を精米歩合28%まで磨き上げ、醸した純米大吟醸酒です。
28%という精米歩合は、朝日酒造の中でも最もお米を磨いているお酒の一つです。28%まで磨くためには、三昼夜の時間がかかり、ゆっくりと丁寧に精米をしています。
洗心の味わいは、たかね錦を28%まで削ったからこそ生まれる、この上なく淡麗で水のように綺麗な味わいです。さらに、搾った後にゆっくりと熟成をさせているため、やわらかく滑らかな味わいと洗練されたふくらみを感じさせます。
この上品な味わいは、冷酒から常温程度で楽しんでいただくのがおすすめです。
お料理と一緒に楽しむなら、鯛やフグのような白身系のお刺身や天ぷらなどと相性ぴったりです。そのため、お寿司屋さんや天ぷら屋さんでお目にかかることも多いかと思います。
今日は、初心に戻って心機一転という時には、ちょっと奮発して洗心で一献いかがですか?心が洗われるような、そんなひとときになることでしょう。
洗心
1,800ml 12,200円(税込13,420円)
720ml 5,800円(税込6,380円)
※商品の価格は2024年4月19日現在のものです。