お正月のお酒と言えば?お正月のお酒エピソードを紹介
もういくつ寝るとお正月、という歌も聞こえてくる時期になりました。お正月の準備はもうお済みでしょうか?しめ縄や門松、鏡餅などの正月飾りはもちろんですが、お酒の準備も大事です。お正月のお酒と言えば、人気が高いのが「久保田 萬寿」。お正月には必ず萬寿という方も多くいます。そんな“お正月には萬寿”というエピソードや楽しみ方をご紹介します。
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お屠蘇とは無病長寿を願って正月に飲むお酒ですが、その由来や正しい飲み方をよく知らない方も多いことでしょう。今回は、そんなお屠蘇について、本来の意味・歴史・作法などを詳しく解説します。家で作る方法も紹介しますので、新年を迎える準備に活用してみてください。
目次
お屠蘇は一年の無病長寿を願い、正月に飲む特別なお酒です。地域によっては日本酒をお屠蘇代わりに用いる場合もありますが、本来その中身は通常の日本酒とは異なります。まずはお屠蘇がどういったお酒なのか、語源や歴史とともに詳しく紹介します。
お屠蘇は屠蘇散(とそさん)と呼ばれる5~10種類の生薬を配合したものを、日本酒やみりんに漬け込んだ薬草酒です。使用する日本酒やみりんによってアルコール度数は変化しますが、おおよそ15度前後です。
屠蘇散に使用されるものは、製造メーカーによって異なります。ただし、体に良い作用を持つものが調合されています。使用される材料のなかでも、一般的なものはこちらです。
・山椒(サンショウ):胃を健やかに整える
・陳皮(チンピ):血行を良くして冷えの改善が期待できる
・桂皮(ケイヒ)または肉桂(ニッケイ):発汗や解熱、整腸作用
・桔梗(キキョウ):去痰作用や鎮静、鎮痛作用
・八角(ハッカク):抗菌作用や健胃作用
・白朮(ビャクジュツ):健胃作用や利尿作用
・防風(ボウフウ):発汗や解熱作用、抗炎症作用
無病長寿を願って飲まれるお屠蘇ですが、その言葉の由来には諸説あります。「邪気を払い(屠る)、魂を蘇らせる」という説の他、「蘇」という名の悪鬼を屠る(ほふる)という説、さらに「屠殺」と「蘇生」つまり鬼邪気病を追い払って新たな魂を蘇らせるという説も。住んでいる地域や家庭により解釈は異なりますが、いずれも悪い物を屠って良い物を招き入れるという意味は共通しています。
日本にお屠蘇が伝わったのは平安時代と、長い歴史があります。始めは平安貴族の正月行事のひとつとして取り入れられたものでしたが、江戸時代になる頃にはさらなる広がりを見せ、次第に一般庶民の正月行事として定着していきました。もとは中国の三国時代の名医が、災難厄除けのために生薬を調合してお酒に浸して飲んだのが始まりと言われています。
お屠蘇は製造者の違いだけではなく、地域によって中身が異なります。関西は日本酒やみりんと屠蘇散を合わせた物をお屠蘇と呼びますが、関東以北では日本酒をそのままお屠蘇として飲むことも珍しくありません。 また地元ならではのお酒に漬け込むところもあり、熊本では赤酒、鹿児島では黒酒が使われます。同じ日本とはいえ、地域によって違いがあるのもお屠蘇文化の大きな特徴です。
正月に飲むお屠蘇には、邪気を払って一年の健康を祈るという目的があり、通常の祝い酒とは異なります。そのためお屠蘇には他のお酒を飲む時とは違う、独自の作法が存在します。ここからは、お屠蘇を飲むタイミングや使う盃、基本的な作法など、お屠蘇の正しい飲み方について解説します。
お屠蘇はお正月に飲むというイメージを持つ人が多いと思います。実は、お正月の三が日の間ではなく元旦(元日の午前中)の、おせちを食べる前に飲むのが正しいとされています。
屠蘇器という名のお屠蘇専用の器が存在し、これがお屠蘇の正式な杯です。屠蘇器は屠蘇台(とそだい)、盃台(さかずきだい)、盃(さかずき)、銚子(ちょうし)、銚子飾り(ちょうしかざり)から成り、高貴な色である朱塗り、もしくは黒塗りや白銀、錫などでつくられたお銚子と三段重ねにした朱塗りの盃でできています。ちなみに、結納や結婚式でも同じような屠蘇器を使いますが、その際の中身はお屠蘇ではなく日本酒です。家庭に屠蘇器がない場合、お正月にふさわしい酒器で代用することも可能です。
ここからは、お屠蘇の基本的な作法を紹介します。
お屠蘇を飲む前に、元日の朝汲んだ、年明け最初の水「若水」で手を清めましょう。次に神棚や仏壇を拝みます。家族が揃い、新年の挨拶をすませたら、全員で東の方角を向きます。お屠蘇を注ぎ、年少者から年長者へと順番に飲みます。このとき、厄年の人は最後に飲むのがしきたりです。 これは、厄払いの力を分けてもらうという意味があります。
三段重ねの盃で1杯ずつ3回に分けて飲むのが正式な作法ですが、屠蘇器がなければ1つの盃に3回に分けて注ぎ、それを3回に分けて飲み干せば良いとされています。飲むときには、無病息災や長寿を願いながら「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えるのがお屠蘇の正式な飲み方です。
上記にて、お屠蘇の基本的な作法を紹介しましたが、地域や家庭によって飲み方は異なります。お屠蘇には、必ずしもこの飲み方が正解というものはありません。
基本的に、毒見を兼ねて年少者が最初に飲み年長者へと進める地域が多いなか、年配者が英知を若者に分け与えるため先に飲むというしきたりがある地域も。その他には、三段重ねの盃で3回に分けて1杯ずつ飲む代わりに、中盃のみを使い、略式で飲む家庭もあります。
お屠蘇には細かなしきたりや作法があるので、作り方も難しい印象を抱かれるかもしれません。実はご家庭でもとても簡単に作ることができるのです。シンプルな材料で時間をかけずに作るコツを紹介するので、ぜひ試してみてください。
用意する材料はとてもシンプルです。お屠蘇のベースとなるのは、日本酒とみりん。お屠蘇に使用するみりんは塩分などが入っている料理用ではなく、「本みりん」を選びましょう。もう一つの材料は屠蘇散です。市販の屠蘇散は含まれる生薬が商品ごとに異なるので、中身を確認して好みのものをセレクトしてください。屠蘇散は酒屋の他、スーパーやドラッグストアなどでも購入できます。
お屠蘇作りの手順はきわめてシンプルです。酒と本みりん合わせて300mlに、パック入りの屠蘇酸一包を入れ、5〜8時間ほど漬け込むだけです。日本酒が多いと辛口に、みりんが多いと甘口に仕上がります。お好みの分量で配合するのがポイントです。
屠蘇散の商品によって漬け込む時間が異なるので、パッケージにあわせて作りましょう。漬け込みすぎると濁りが出るので、様子を見ながら時間を調節してください。
また、酒やみりんの品質がお屠蘇の味を左右しますので、美味しいお屠蘇を作るには上質な酒やみりんを選びましょう。
お屠蘇の味は、ベースとなる日本酒が重要です。上質で美味しいお屠蘇を作るためにおすすめしたいのが「久保田 千寿」。1985年に久保田最初の日本酒として誕生して以来、久保田の代表的な日本酒として今もなお愛され続けています。低温かつ精度の高い発酵経過を心がけ、雑味の少ない日本酒に仕上げています。穏やかな香りのすっきりしたお酒なので主張が強すぎず、お屠蘇としてもぴったりです。
久保田 千寿
1,800ml 2,430円(税込2,673円)
720ml 1,080円(税込1,188円)
300ml 500円(税込550円)
※商品の価格は2020年12月29日現在のものです。
お屠蘇にはしきたりや作法があるものの、地域や家庭によって違いがあり絶対的なルールはありません。家庭でも手軽に作れますので、来年の元旦に試してみてはいかがでしょうか。一年の始まりに「久保田 千寿」と屠蘇散で作ったお屠蘇を飲んで、無病息災を祈願しましょう。