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日本酒はワインと同じ醸造酒。蒸留酒や、その他のお酒との違いについても紹介
2020.08.20

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日本酒はワインと同じ醸造酒。蒸留酒や、その他のお酒との違いについても紹介

醸造酒とは、酵母により原料をアルコール発酵させて造られたお酒のことを言います。世界の伝統的なお酒は一般的には、醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つのタイプに分けられます。醸造酒にあたるお酒の1つが日本酒です。本記事では、醸造酒の特徴、製造方法や歴史を解説します。また、醸造酒と比較されることの多い蒸留酒との違い、その他のお酒との違いなども紹介します。

目次

  1. 醸造酒とはどのようなお酒か
    1. 醸造酒の歴史
    2. 醸造酒の代表的なお酒
    3. 醸造酒の製造方法
    4. 醸造酒の特徴
  2. 醸造酒と蒸留酒の違い
    1. 蒸留酒の特徴
    2. 蒸留酒の代表的なお酒
    3. 蒸留酒の製造方法
  3. 醸造酒とその他のお酒の違い
    1. 醸造酒と混成酒の違い
    2. 醸造酒と本醸造酒との違い
  4. お酒それぞれの魅力を楽しむ

醸造酒とはどのようなお酒か

ワイン樽の上に置かれた葡萄とボトルワインとグラスワイン

醸造酒とは、原料に含まれる糖分を酵母の力でアルコール発酵させて造られるお酒です。まずは醸造酒の歴史や代表的なお酒、製造方法、特徴を紹介していきましょう。

醸造酒の歴史

醸造酒の歴史は古く、そのルーツは紀元前にまでさかのぼります。

中国で発掘された陶器片を科学分析した結果、紀元前7000年頃には米、ハチミツ、フルーツで醸造酒が造られていたことが分かっています。またエジプトでは、紀元前3000年頃のファラオの墓からワインが出土しています。

日本では、奈良時代には米麹を使った酒造りの手法が確立していました。このころに記された「播磨風土記」には、「大神の御粮(みかれい)沾(ぬ)れて黴生えき、すなはち、酒を醸さしめて、庭酒に献りて宴しき」と、神様に備えた米にカビが生えたので、これを発酵させてお酒を造り、献上して宴を開いたという、日本最古の醸造酒の記録が残っています。

このように、ブドウ、ハチミツなど、その土地で取れた糖類を含んだ原料を使って、古くから世界中で醸造酒が造られてきました。

醸造酒の代表的なお酒

醸造酒といわれるお酒には、米を原料とする「日本酒」、麦を原料とする「ビール」、ブドウを原料とする「ワイン」が、世界を代表する「三大醸造酒」に数えられます。
厳密に言うと、米や麦はデンプンを糖化した後に発酵が可能になるのですが、いずれにしても醸造酒には糖を含む原料が使われています。

その他、中国の「紹興酒」も醸造酒のひとつ。醸造酒の代表的なものには「黄酒(ホアンチュウ)」があります。また、長期熟成された黄酒、「老酒(ラオチュウ)」というものも。
醸造酒は、日本だけではなく、いろいろな国で造られているお酒です。

醸造酒の製造方法

醸造酒は、発酵方法によって3つのタイプに分類されます。
それぞれのお酒がどのように造られているのか、発酵方法を紹介します。

・単発酵酒
ワイン、果実酒、乳酒などが挙げられます。ワインの主な原料である果実は、たくさんの糖分を含んでいます。そのため、ビールや日本酒のようにデンプンを糖化する工程は不要です。ブドウなどの原料に酵母を加えるだけでアルコール発酵が進み、お酒が出来上がります。3つのうち、最もシンプルな製造方法と言えます。

・単行複発酵酒
2つの過程を経て造られる「単行複発酵酒」。代表的なお酒はビールです。
ビールの原料の麦は糖分が少なく、ワインのような単発酵ができません。そのため、麦芽の酵素でデンプンを糖化させた「麦汁(ばくじゅう)」を作り、麦汁を発酵させて、ビールが完成します。

・並行複発酵酒
日本酒はこの並行複発酵酒にあたります。日本酒の材料である米にはでんぷんが含まれていますが、糖分が含まれていないため、「単行複発酵酒」のように糖化が必要です。
「並行複発酵酒」は、ひとつのタンクで糖化と発酵を同時並行で進める「並行複発酵」という発酵方法を用います。タンク内では、蒸米のでんぷんが麹米の酵素によって糖化されて糖分が生じ、酵母がその糖分を食べることでアルコール発酵が行われるのです。
ビールなどとは異なり、1つのタンクで糖化と発酵が同時に起こり、酵母がアルコール発酵しやすい環境です。そのため、効率良く発酵が行われ、ビールなどに比べてアルコール度数が高くなるのです。
単発酵や単行複発酵に比べ、とても高度な製造方法と言えます。

醸造酒の特徴

醸造酒は、蒸留酒に比べるとアルコール度数は低めで、高いものでも20度程度。醸造酒のアルコール度数が低めなのには、理由があります。

アルコール発酵が進む過程で、酵母は糖分を食べながら、せっせとアルコールと炭酸ガスを生成していきます。ただし酵母は高濃度のアルコールに弱く、アルコール濃度が高くなるにつれてはたらきが弱まり、20度で完全に止まります。
なお、実際の醸造酒造りでは旨味を残すために、それぞれのお酒に一番おいしいタイミングを見極め、発酵を止めています。

醸造酒と蒸留酒の違い

蒸留釜

醸造酒が発酵によって造られるお酒であるのに対して、蒸留酒は醸造酒を蒸留したお酒を指します。その特徴や、醸造酒と蒸留酒の違い、代表的な蒸留酒を紹介していきましょう。

蒸留酒の特徴

ウイスキーなどの比較的アルコール度数が高いお酒の説明書きで、「蒸留」という言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか。

蒸留とは、アルコール発酵が終わった醸造酒を熱して気化したアルコールを冷やし、液体として抽出する工程を意味しています。
簡単に言えば、醸造酒から純度の高いアルコールを集める作業です。

アルコールを凝縮したお酒のため、アルコール度数は高くなります。また、蒸留によって糖分は抽出されないため、蒸留酒には糖分は含まれません。

蒸留酒の代表的なお酒

蒸留酒の代表的なお酒は、焼酎、ウイスキー、ブランデー。その他にラム、ジン、テキーラなどもあります。
いずれもアルコール度数の高いお酒が揃っています。

蒸留酒の製造方法

蒸留酒を造る蒸留の工程では、アルコールと水の沸点の違いを利用してアルコールを抽出しています。

水の沸点は100℃、それに対してアルコールの沸点は78℃であることから、醸造酒の水分が蒸発する前にアルコールだけが蒸発します。この蒸気を集めて冷やし、液体にすることで、アルコール度数の高いお酒造りが可能になります。

醸造酒とその他のお酒の違い

アランビック蒸留装置

では、3つ目の混成酒とはどんなお酒なのでしょうか。ここまで紹介した「醸造酒」との違いや、「本醸造酒」との違いを交えながら紹介します。

醸造酒と混成酒の違い

混成酒とは、醸造酒や蒸留酒に果物、果汁、薬草などで風味を足したお酒です。
「再製酒」とも呼ばれており、醸造酒や蒸留酒に少し足りない部分を補うことで、より深い味わいを生み出しています。

混成酒の代表的なお酒は、梅酒や薬酒、リキュール。実は、みりんも混成酒のひとつです。
お菓子や料理の風味付けなどに利用される身近な存在として、広く親しまれています。
バラエティ豊富なので、同じ混成酒でもお酒によってアルコール度数が異なります。

醸造酒と本醸造酒との違い

最後に、名前が良く似た醸造酒と本醸造酒の違いについても紹介しておきましょう。

ここまでお話してきたように醸造酒は、世界のお酒の3大分類のひとつです。
それに対して、「本醸造酒」は、日本酒の特定名称酒のひとつ。

本醸造酒は、「精米歩合70%以下の米や米麹、および醸造アルコールや水を原料にして造った日本酒」と定義されています。また添加できる醸造アルコールの量は、使用する米の重量10%までと決められています。

お酒それぞれの魅力を楽しむ

様々なグラスに入ったいろんなお酒

日本酒、ワイン、ビールという三大醸造酒は、いずれも日本人にとって親しみのある存在です。醸造酒という大きな共通点はあるものの、それぞれのお酒は千差万別です。世界のお酒について知ることは、その土地の風土や文化に触れる機会にもつながります。自分好みのお酒を知って、さらに楽しみ方を広げていきましょう。