外国人観光客に教えたい日本酒のこと! 日本食との美味しい組み合わせから豆知識まで
外国人観光客の受け入れが再開し、観光地には様々な国の外国人の姿が見られるようになってきました。今回の記事では、外国人に人気の日本食と、一緒に合わせたい日本酒をご紹介します。また、日本酒は温度によって呼び方が変わる世界的にも珍しいお酒です。食事ごとにおすすめの温度帯もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
特集
久保田の意外な味わいや新しい楽しみ方などを、久保田ファンの皆様と一緒に飲んで話しながら見つけていくイベント「KUBOTAYA座談会」。第4回は「寿司のネタごとに最も合う久保田」をテーマに開催しました。
目次
「KUBOTAYA座談会」とは、久保田の意外な味わいや新しい楽しみ方などを、久保田ファンの皆様と一緒に飲んで話しながら見つけていくイベントです。
前回の座談会の参加者から、料理と久保田のペアリングについて知りたいという声があったのを踏まえ、日本食の王道中の王道、寿司とのペアリングに注目することに。
日本食を代表する寿司に、同じく日本の食文化を象徴する日本酒が合わないはずはありません。
とは言っても、寿司にはとりあえず日本酒を合わせているだけで、どのネタとどの日本酒を合わせるかという点まではこだわっていない、という人が多いのではないでしょうか。
銘柄の数は1万を超えると言われ、味わいも辛口から甘口、淡麗から濃厚までさまざまである日本酒。さらに、寿司もネタによって味わいが大きく異なる食べ物です。
そこで今回は「寿司のネタごとに最も合う久保田」をテーマとし、白身・光物・赤身の寿司ネタに、味わいの異なる久保田4銘柄を合わせて飲んでみました。どの組み合わせが一番美味しいかなど参加者の率直な感想をレポートします。
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<陣内さん>
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<坂田さん>
久保田を好きになったきっかけ:仕事で長岡市を担当していた頃、朝日酒造の社員から説明を聞いたのを機に「久保田 翠寿」を飲んでみたところ、驚くほどの爽やかさを感じたこと。一番好きな久保田は「久保田 翠寿」か「久保田 萬寿」か悩むところ。
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<井上さん>
友人の坂田さんの誘いで参加。日本酒には詳しくなく、日頃はチューハイやワインを飲んでいるとのこと。ご主人が父の日の贈り物として朝日酒造の「洗心」をもらったことがあったそう。
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<山本さん>
久保田を好きになったきっかけ:東京にいた際にもらった「久保田 千寿 純米吟醸」を飲んでみたらすいすい飲めてしまったこと。一番好きな久保田も「久保田 千寿 純米吟醸」。
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<榎並さん>
朝日酒造 マーケティング部に所属。本日の司会進行を担当。
久保田は、味わいのバリエーションが出るよう、特定名称や製法が異なる4種類を用意しました。
久保田 萬寿(純米大吟醸):華やかな香りと重厚な味わいが重なり合い、複雑で深みのある口当たりです。
久保田 碧寿(山廃仕込み・純米大吟醸):伝統的な醸造方法の山廃仕込みによる、どっしりとした旨味が感じられます。併せ持つシャープな酸味とキレの良さも特徴です。
久保田 翠寿(生酒・大吟醸):加熱殺菌を一切しないこと、低温で貯蔵することによってもたらされる若々しさ・爽やかさが特徴です。4月から9月までの間の限定出荷です。
久保田 千寿 純米吟醸(純米吟醸):綺麗ですっきりとした味わい、上品で澄んだ香りでバランスよく仕上げた銘柄です。
ちなみに寿司ネタを食べる順番は、味わいのさっぱりした食材から、味わいが濃厚な食材へ、という順番になるように、白身、光物、赤身と食べ進めていきました。
白身は「タイ」と「ヒラメ」の2種類を用意しました。
白身は脂肪が少ない傾向にあり低カロリーで、味わいもあっさりと淡白であるのが特徴です。身は柔らかく消化に良いと言われています。
代表的なものに、タイ、ヒラメのほか、カレイ、フグ、アナゴ、タラなどがあります。
あっさりとした味わいの白身は塩で食べても美味しいとのことで、今回は醤油だけでなく塩も準備しました。
井上さん(以下、井上):今、白身を塩で食べましたが、美味しかったです。
坂田さん(以下、坂田):そうですね。お寿司はお醤油だと思い込んでいたけど、お塩で食べるのもいいですね。
塩をつけた白身に千寿 純米吟醸を合わせると、千寿 純米吟醸の香りをいっそう感じます。萬寿を飲んだら、何も食べない時に飲んだ萬寿よりも味が際立つというか、萬寿の濃厚な味わいがふわーっと広がって、幸せな感じがしました(笑)。
陣内さん(以下、陣内):私はお酒だけで飲むと、碧寿が美味しいと思いました。山廃仕込みによる濃厚な、芳醇な、強烈なパンチ力があるので、上品な白身には強すぎる気もします。ここまでパンチがない方が合うのかなって思うので、翠寿、千寿 純米吟醸あたりの方が白身には合うと、食べながらなんとなく思いました。
山本さん(以下、山本):私はその碧寿が、白身を合わせて食べた時に一番美味しかったなあと思っていて。お酒だけで飲むと恐らく味が濃いんだろうなと思うんですけど、食べ物と合わせるとその食べ物の余韻に碧寿が乗っかってきて、相乗効果が出てるなって思いました。
陣内:こうやって合わせるとなると、自然とマッチングというかペアリングというか、そういう観点で考えるようになりますね。お酒だけで飲む時とはまた違う好みになるのかもしれません。
寿司好きの人の中でも好き嫌いが分かれる光物。今回は「コハダ」と「アジ」の2種類を用意しました。
一般的に光物は、鮮度の低下が早いため古くから酢で締められて使われます。甘味や旨味を感じるさっぱりとした味わいが特徴で、酢締めにすることで旨味や風味が増します。
光物には小さい魚が多く、調理には腕が必要なのだとか。酢や塩をどの程度加えるかで味わいが一変するのも相まって、寿司職人の技術が分かりやすいネタだそう。通好みの寿司ネタと言えるのかもしれません。
代表的なものに、コハダ、アジのほかにサバ、イワシなどがあります。
坂田:翠寿が甘くなる気がします。なんでだろう? 爽やかな感じがするお酒なのに、爽やかなんだけど甘さも感じて美味しい。
井上:私も翠寿が合うように思います。
山本:分かります。そういう味わいを好まれる方には、この組み合わせは絶対にいいだろうなって思います。
萬寿と千寿 純米吟醸は基本穏やかで、「絶対に料理の味わいを邪魔しないぞ」って感じですね。
坂田:碧寿は水のように飲めて、やばいです(笑)。
山本:私も碧寿が一番合うなあと思っていて。碧寿のキレがいいのか、碧寿の味わいが辛口なのか分からないですけど、光物を食べて、そのあと切り替えてくれる。いい意味でリセットしてくれます。
陣内:私は、酢のツンとする香りがある光物には、萬寿が合うんじゃないかなって思いますね。萬寿のシャープさがちょうどマッチするような、際立つような感じがして、個人的には一番美味しくいただいています。
赤身は「マグロの赤身」と「中トロ」の2種類用意しました。
寿司を食べに行ったら必ずマグロを食べるという人も多いでしょう。食べやすい赤身や、ほどよい脂が乗った中トロは特にメジャーな寿司ネタです。
赤身の特長としては、鉄分や脂肪分が比較的多く、味わいもこってりとした旨味を感じる濃厚なものであることが挙げられます。身もしっかりしていて食べごたえがあります。
代表的なものに、マグロのほか、カツオやブリなどがあります。
坂田:赤身のお寿司自体はすごく好きなんですが、赤身のお寿司の味わいが独立していて、どの日本酒と合うかが分かりづらいかもしれません。
山本:翠寿の甘さも合うなと思いましたし、千寿 純米吟醸はやっぱりあんまり主張しない。脇役に徹するぞという意思がすごく強いなと。
赤身になっていきなり萬寿がめちゃめちゃ合うようになりました。ちょうどいい主張の具合で、すんごく合いますね。びっくりしました。
碧寿の場合は、今までよかったんですけど主張が激しくなってきたという風に思いました。
井上:賛成です。私も本当にそう思いました。
陣内:個人的には碧寿が美味しかったです。碧寿の強さと赤身の強さの組み合わせが濃すぎるという意見も分かるんですけど、個人的には大好きです。
癖の強い物同士を合わせるのがオッケーだという人と、もうちょっとバランスを取って合わせたいという人もいると思うので、個人個人の主張があると思うんですけど、僕は主張の強い物同士の組み合わせって好きなんですよ。パワーとパワーのぶつかり合いみたいなね。赤身のパワーに一番匹敵するのが、個人的には碧寿だと感じました。
お酒はどれを飲んでも美味しいんだけど、合わせると面白いですね。
坂田:合わせる料理によってお酒の味って変わるんですね。
坂田:アジと萬寿が好きでした。萬寿はまろやかなはずなのに、アジと合わせることでキリっとイケメンになった感じがしました。
井上:千寿 純米吟醸は白身が美味しかったかな。翠寿は光物、萬寿は赤身でしょうか。なんでも美味しかったのが、碧寿かなと思います。
陣内:僕は、白身には翠寿と千寿 純米吟醸が合ってると思いました。赤身には濃厚なマッチングという意味で碧寿が合ってるなあっていうのがありました。
そうやって食材ごとにベストなお酒があって、お酒ごとにベストな寿司ネタがあるんですが、個人的に一番好きだったのは光物と萬寿です。シャープな感じで、酢で締めているっていう寿司ネタの強さと、萬寿の味わいがすごく好きで、本日のマイベストです。
山本:結論から言うと、赤身と萬寿が強烈に合っていました。何がどうしてって聞かれるとすごく難しいんですけど。萬寿について、赤身と合うからじゃあほかにもこれと合う、というものは、すごく興味があるなと思いました。
ただ、ほかの組み合わせもいいものはあって、千寿 純米吟醸は全部の寿司ネタに対して引き気味で、逆に言えば全部の寿司ネタに平均的に合うな、という印象が非常にあります。碧寿と翠寿に関しては好き嫌いだろうなと思いました。辛いクッとくるものが好きであれば碧寿ですし、甘い系のものが好きであれば翠寿ですし、お好きなところを楽しんでいただくのがいいのかなと思います。
今回の座談会で見つかった各寿司ネタに合う日本酒の特徴をまとめました。その日本酒のタイプに該当する久保田の銘柄も併せて紹介します。手元に久保田の同じ銘柄がなくても、味わいや香りの方向性が似た日本酒を選んでみると、おすすめのペアリングを楽しめるはず。お寿司屋さんであれば「久保田 碧寿に似たタイプの日本酒はありますか?」などと訊いてみるのもいいかもしれません。
◆爽やかでフレッシュな生酒タイプとよく合う
久保田で言うと…「久保田 翠寿」
◆すっきりとした淡麗の味わい日本酒や穏やかな香りの日本酒とよく合い、香りを堪能するのに塩で食べるのもおすすめ
久保田で言うと…「久保田 千寿 純米吟醸」
◆深みのある味わいの日本酒と合わせると、味が際立ち、日本酒の濃厚な味わいが広がる
久保田で言うと…「久保田 萬寿」
◆旨味のある日本酒と合わせると、日本酒が白身の余韻に重なり相乗効果があるが、一方で上品な白身には強すぎるという感想も
久保田で言うと…「久保田 碧寿」
◆上品な甘味を持つ日本酒を合わせると、その甘味が楽しめる
久保田で言うと…「久保田 翠寿」
◆旨味がありながらキレのある日本酒と合わせると、口の中をリセットしてくれ、水のようにすいすい飲める
久保田で言うと…「久保田 碧寿」
◆ほどよいキレのある日本酒と合わせると、そのシャープさが際立ち、日本酒がキリッとイケメンに
久保田で言うと…「久保田 萬寿」
◆旨味のある日本酒とよく合うが、一方で赤身の濃厚な味わいとの組み合わせは主張が強すぎるという意見も
久保田で言うと…「久保田 碧寿」
◆深みのある味わいの日本酒とよく合う
久保田で言うと…「久保田 萬寿」
◆上品な甘味を持つ日本酒と合わせると、その甘味と合う
久保田で言うと…「久保田 翠寿」
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2022年7月26日現在のものです。
香りは豊かで華やか、味わいは甘味や酸味、旨味などが調和した純米大吟醸酒。魚介の天ぷらや鯛めし、お刺身、京風の煮物など上品な旨味を引き出した料理と合わせるのがおすすめで、塩をつけた白身と合うという感想にも納得です。
希望小売価格
1,800ml 8,110円(税込8,921円)
720ml 3,640円(税込4,004円)
山廃仕込みならでは独特の旨味を持った、重厚感のある味わいの純米大吟醸酒。グリルや炙りなどの香ばしくしっかりとした味付けの料理にも負けません。コクのある料理と合うので、例えば同じ白身でも寿司で食べるか、西京漬けや粕漬けで食べるかでまた表情が変わるのが面白い銘柄です。座談会では、どの寿司ネタに合わせても美味しかったというコメントもありました。
希望小売価格
1,800ml 5,030円(税込5,533円)
720ml 2,230円(税込2,453円)
すっきり爽やかな香りと上品で軽やかな味わいをした大吟醸の生酒です。優しいハーブやスモーク素材などを使った冷製料理と好相性です。アジやコハダといった光物と合わせると甘味を感じるとのことで、締めるのに使用する酢の酸味が関係しているのかもしれません。フルーティーな香りのある日本酒と酢の相性が抜群という意見の出た第2回の座談会を思い出す結果となりました。
希望小売価格
720ml 2,810円(税込3,091円)
上品で澄んだ香り、綺麗ですっきりとした味わいの純米吟醸酒です。さっぱりとした料理はもちろん、バターやマヨネーズなどを使ったコクのある料理とも楽しめます。料理の味を邪魔しない酒質を目指して仕上げているため、参加者からの「どの寿司ネタに対しても一歩引いて寄り添うので、平均点が最も高い」という感想に、醸造を担当している蔵人たちはきっとハイタッチをして喜ぶはず。
希望小売価格
1,800ml 2,800円(税込3,080円)
720ml 1,300円(税込1,430円)
300ml 650円(税込715円)
これまでの座談会では自分の好みの銘柄を再確認するような展開もしばしば見られましたが、今回は「この寿司ネタならこの銘柄が一番美味しい」と毎回スター選手が変わり、しかもそれが参加者全員で異なっていました。
どの寿司ネタと合わせて、誰が飲むのか、その組み合わせで脚光を浴びる日本酒が変わるということは、言い換えれば、飲み手が変わり寿司ネタが変われば、どんな日本酒も脚光を浴びるチャンスがあるということなのでしょう。
ペアリングとは、料理と日本酒の組み合わせだけを指すのではなく、料理と日本酒と飲み手のマッチングなのかもしれないと感じた座談会となりました。さすが日本の食文化を代表するもの同士のペアリングは示唆に富むと思わず唸らされてしまいます。
今回の座談会は寿司とのペアリング以外にも、海外における日本酒と日本におけるワインの比較や、東京で飲んだ日本酒と新潟で飲んだ日本酒の違いなど話題が多岐に渡り、大いに盛り上がりました。
「KUBOTAYA座談会」は、ファンの皆様と久保田の意外な味わいや新しい楽しみ方などを見つけるべく、今後も開催していく予定です。参加者募集のご案内は「KUBOTA MAIL NEWS」よりしておりますので、ぜひご登録して続報をお待ちください。
久保田を好きになったきっかけ:県外の出身で、新潟に来たならやっぱり日本酒かなあと思い始め、その過程で久保田を飲むように。一番好きな久保田は「久保田 翠寿」。