日本酒の豆乳割りをやってみた!割り方のポイントも紹介
10月12日は「豆乳の日」です。健康や美容志向から植物性ミルクの代表格として人気を集め、料理やスイーツなどさまざまな用途で使われている豆乳を、今回は日本酒と割ってみました。豆乳と日本酒を割る際のポイントやおすすめの日本酒をご紹介します。
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大人なら誰でも聞いたことがある「きき酒(唎酒)」。でも、言葉そのものは知ってるけど何をどうするかを知らない人が多いもの。そこで「唎酒師」の資格を持つ漫才師“にほんしゅ”のおふたりに、きき酒の方法や魅力についてレクチャーしてもらいました!
目次
Profile
“きき酒師の漫才師”を銘打った、唯一無二のユニット。北井さんは「唎酒師」「国際唎酒師」の肩書きを持ち、日本酒学講師、FBO公認講師として日本酒の普及活動を行っています。
相方であるあさやんさんも、同様に唎酒師と国際唎酒師の資格を持ち、相方をサポート。“きき酒師の漫才師”として、さまざまな場で活躍しています。
(編集部注:本記事ではプロが行う酒造りのための「利き酒」、一般ユーザーが行うお酒を楽しむための「きき酒」、資格の固有名称「唎酒師」と、意味に応じて表記を使い分けて記載しています)
北井「きき酒には大きく分けて2つ種類があるんです。
ひとつめは、酒造りに携わるプロフェッショナルが行うもので、“利き酒”と書かれるもの。杜氏さんをはじめとした蔵元の人が、自分たちがつくったお酒が一定のクオリティをクリアしているかをチェックする場合がこちらですね。全国新酒鑑評会などのコンテストなどで、酒の味や技術面を評価するのも利き酒になります」
あさやん「こうしたプロが行う利き酒では、独特の”きき方”があるんですよ。それは後ほどお伝えしますが――基本的には味だけでなくさまざまなバックボーンを酒から感じ取るんです」
北井「いま話したプロフェッショナルな利き酒と対照的なのが、もうひとつの“きき酒”です。こちらは、気張る必要はまったくなく『ああ、これは香りがすごく好み』『すっきりしていて美味しい』、そんな風に香りの強弱や味の好みを楽しめばいいだけ」
あさやん「ちなみに、それを極めたのが、僕たち”きき酒師”なんですよ。日本酒をより深く楽しみたい、いわゆる一般消費者でも取得できる資格です。日本酒の魅力はもちろん、飲料全般や食品に関する基礎知識を広く身に付けることで、日本酒への理解を自他ともに深める。これがきき酒師の主な役割ですね」
北井「お酒の特徴を分かりやすくひも解き、ひとつひとつのお酒に合う料理をおすすめする。つまり、”ひとりでも多くの人に日本酒の魅力を伝える”こと。それがきき酒師なんです」
北井「僕たちは”にほんしゅ”という名前の漫才師なのに、結成してしばらくはまったく日本酒のことを知らなかったんです。そこで一念発起。まずは、きき酒師の弟分的な資格であった『日本酒ナビゲーター』という資格を取得したんです。
そこで日本酒の師ともいうべき人と出会い、やるからにはとことんやってみよう!と思い立ち、地元を離れて上京。師匠の経営するお店で、ふたりそろって働きながら日本酒をひたすら勉強しました」
あさやん「たまにね。きき酒師っていうのは『目隠しして飲んだ日本酒の銘柄を当てるんでしょ?』っていう誤解を受けることがあるんですが、そういったことではないんです。
そもそも日本酒とひと口にいっても、2万種類以上あるんですよ。それに、自分や天候のコンディションによっても大きく違う。日本酒を純粋に飲んで、味わって、楽しむ。それがきき酒師なんです」
プロの「利き酒」と楽しむための「きき酒」。
違いがあることは分かりましたが、それぞれどのような方法で嗜むといいのでしょうか。
あさやん「利き酒では、“蛇の目”と呼ばれる紺色の二重丸が書かれた陶製の専用のお猪口を使ってチェックを行います。
北井「お酒を8分目くらいまで注いだら、まずはお酒の色を見ます。その後、香りをチェック。最後にごく少量を口に含み、口の中のさまざまなところに酒を当てるように転がし、味をみます。終わったら吐き出して終了なのですが、飲み込んでのど越しを感じたり、飲んだ後の微香をかぐこともあります」
あさやん「ただし最近では香りをみやすいよう、グラスを使う場合もありますね」
北井「"きき酒”には、絶対的なやり方やマナーといったものはありません。もしもマナーがあるとしたら――楽しく、美味しく、日本酒をいただく。これだけですね」
北井「きき酒の場合は、これといった道具は必要ないんです。香りや色をききやすいよう、ワイングラスを使うといいかもしれません」
あさやん「あとは…ベストな体調がマスト!調子が良くないときにお酒を飲んじゃうと、せっかくの味や香りが楽しめないので。
そうそう。お酒の香りが分かりにくくなったときのコツなんですが、自分の体臭を嗅ぐことで鼻がフラットになるんですよ。香りが分からなくなってきたな、と思ったら、自分の腕のにおいを嗅いでみてください!」
日本酒には、純米吟醸酒や本醸造酒、大吟醸酒といったさまざまな種類があります。こうした違いを楽しむために、きき酒をするときに守ったほうがいい飲み方や順番はあるのでしょうか。
あさやん「飲み方でいえば、日本酒の香りを最も楽しめる温度というものがあるので、それを守ってもらうことが大切かもしれません」
北井「だいたい15度くらいだといわれていますね。
なので、冷蔵庫で冷やした日本酒をきき酒を楽しむ前にあらかじめ冷蔵庫から出し、グラスに注いで置いておくんです。5分くらい待って香りが立ったら飲み頃のサイン。そんな風にして楽しむと、そのお酒が持つポテンシャルを余すことなく楽しめると思います」
あさやん「僕は面倒くさがりなので、先にボトルごと冷蔵庫から出してから、軽めのおつまみを準備しています。ちょうどその準備が終わる頃に、美味しい温度になっているので!」
北井「いくつかの日本酒をきき分けるのであれば、まずは純米吟醸酒から飲むことをおすすめします。
大吟醸酒など香りが強いものがラインナップにあるのであれば、香りが弱い本醸造酒などから楽しむのもひとつのテクニック。香りは口や鼻の中に残りやすいので、先に香りが強いものを飲んでしまうと、その香りに引きずられてしまうので要注意です」
あさやん「何度か自身できき酒をしてみると、自分の好みの味が分かってくると思います。
なので、酒屋さんで購入するときに好みを伝えて、系統の似ている酒を選んでもらうのもいいと思います。もちろん、普段は選ばないお酒を選んでみるのも一興。きき酒には、マナーもルールもありませんから」
北井「日本酒というのはとても素晴らしいお酒で、和食のみならず、いろんな料理と合わせることができるんです。
ただし、ワインと同様に合う・合わないはあります。『久保田』のお酒を例にして料理別に説明すると、たとえば焼き鳥であれば、塩ならキレがあってすっきりとした味わいの『久保田 百寿』がベスト。辛口の百寿なら、塩焼きの繊細な味わいを邪魔することなくいただけるんです」
あさやん「同じようにアッサリな感じでも、ささみのたたきにサッとレモンを絞っていただくような、噛み締めるごとに味わいが広がっていくおつまみであれば『久保田 紅寿』がいいと思います。純米吟醸のなめらかでバランスがとれた味わいが、より一層うま味を引き出してくれますよ!」
北井「もっと濃醇な味わいであれば『久保田 碧寿』を。甘辛のタレをたっぷり絡めて焼いた焼き鳥に合わせても、碧寿ならその味に負けることなく、かといって邪魔することもなく、美味しいマッチングが味わえると思います。
あ、キモ焼きなら…ちょっとぬるめの燗でいただけば、最高でしょう!」
あさやん「こんなふうにおつまみとの相性を語れるのもきき酒の魅力ですね。ドヤり過ぎは要注意ですが(笑)」
北井「たまに聞かれるんですが、きき酒中にお水を飲むのは、やめましょう。これね、いつの間にか流行ってしまった文化なんですが、せっかく口の中に香りが残っているのに、それを水で洗い流してしまうなんてとてももったいないことです。お酒というのは飲んだ瞬間だけでなく、余韻も楽しみたいもの。
例えば”利き酒”のときも、わざわざ水で口を洗うようなことはしません。前のお酒が残っていたほうが、別のお酒を口に含んだときに、違いが明確になるんです」
あさやん「ただ、お酒だけを飲んでしまうと、身体にはあまりよろしくないので。きき酒が終わったら飲んだお酒と同量の水を飲むことを心掛けましょう。ちなみに僕は、寝る前に常温の水か白湯をいただくようにしています。明日の酒のために、体調は万全にしておかないと!」
「きき酒を趣味のひとつにすれば、一生楽しめるものになる」と、にほんしゅのおふたり。
ドヤ顔でうんちくを講釈するのはいただけませんが、場を和ませるエピソードとしてきき酒を利用するのも、大人の嗜みなのです。
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara
右:北井一彰さん/左:あさやんさん