8月29日は焼肉の日!日本酒×焼肉のペアリングを深掘り- 焼肉と一緒に日本酒を楽しもう
8月29日は焼肉の日です。焼肉には何を合わせますか?ビール?ハイボール?それともワイン?日本酒と焼肉の相性の良さに気づいていない方は多いのではないでしょうか。様々な温度帯で味わえる日本酒は焼肉に最適なのです。ペアリングのコツさえ掴めば、焼肉店でも自宅でも “日本酒×焼肉” が堪能できますよ。
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「酒は肴、肴は気取り」――お酒は肴(おつまみ)によって味が引き立てられるものであり、肴はその場の雰囲気によりさまざまに合わせるべし!ということわざがあるように、お酒とおつまみの関係は深く強い結び付きがあります。 今回は日本酒をこよなく愛するアナウンサー・あおい有紀さんに「日本酒×おつまみ」の魅力を語っていただくとともに、おすすめのおつまみを教えていただきました。
航空会社勤務を経て、フリーアナウンサーへ転身。食やお酒の分野に関心があったことから、一級フードアナリスト、唎酒師、焼酎唎酒師、WSET Level3、コムラードオブチーズ、日本箸教育講師などの資格を取得。本業の傍ら、日本の食文化の魅力や大切さを伝えるため、酒蔵ツアーや日本酒イベントを多数主催。国内外での日本酒セミナー講師を務めるなど意欲的に活躍中。日本酒造青年協議会 酒サムライ叙任。酒蔵ツーリズム推進協議会民間委員。一般社団法人梅酒研究会理事。国産食材の魅力を伝える農水省フード・アクション・ニッポンアンバサダー。あおい有紀オフィシャルブログ「Yuki Aoi’s Room」
――唎酒師の資格を持ち、全国の酒蔵や田んぼに300回以上足を運び、フィールドワークの中から日本酒の魅力を見つけ出しているあおい有紀さん。日本酒に興味を持ったキッカケはどのようなものだったのでしょうか。
「私がまだ学生だったころ、地酒ブームが起こったんです。そのときに日本にはさまざまな酒蔵があり、多種多様な日本酒が生まれ、飲まれ愛されていることを知りました。
その後、イベントに出させていただいたり、試飲会におじゃましたり、お酒の造り手さんと会ったりするうちにどんどんその魅力に引かれていきました。日本酒はまさにクラフトマンシップの世界。その土地の気候や風土に加え、日本の文化や人間性が生み出した歴史あるお酒なんです。ひとつひとつが持つストーリーを知っていくうちに“沼”にハマった、という感じですね」
――「久保田」はお好きですか?
「もちろんです。特に燗をしていただくのが好きですね。食に寄り添ってくれる優しいお酒といいますか、とにかく万能タイプでいつ飲んでも安心感のある美味しさが楽しめるというのは『久保田』ならでは。
季節限定の商品もいろいろありますし、贈り物として『久保田』を選ぶと、相手もとても喜んでくれます」
――今回は肴、つまり「おつまみ」のことについてお伺いしたいのですが、あおいさんの考える日本酒に合うおつまみとは、どのようなものでしょうか。
「まずいえることは、日本酒はあらゆるジャンルの食べ物に合わせられるということ。
日本酒は日本独自の文化の中で育まれてきたお酒です。なので、日本人が『美味しい』と思う食べ物には、基本的に寄り添うことができます。近年は特に、現代の日本人の食生活に合うような、多種多様な味わいの日本酒が生み出されています。噛み砕いていってしまうと、ポイントを押さえればなんだって日本酒のつまみになる!ということ。刺身や煮物、おでんなどの和食にしか合わないと思われがちですが、それは間違った認識だと思います」
――これまでに、意外な組み合わせだけど美味しかった、というおつまみはありますか?
「先日、イスラエル料理と日本酒を合わせる機会があったんです。イスラエル料理はチーズを使うことが多いのですが、日本酒に含まれる乳酸との相乗効果、そしてハーブやスパイスの香りがアクセントとなり、驚くほどマッチしました。
また、長期熟成日本酒バーで1986年醸造の長期熟成日本酒とオリーブのグラッセを合わせたところ、ザラメの甘味とオリーブの風味が相性良く、より奥行きを感じる長い余韻に感動!そうそう、モンブランと日本酒のペアリングを楽しめるお店もあるんですよ。日本酒の可能性と懐の深さに、驚くことばかりです」
――では、これまでの経験を踏まえて、おつまみを選ぶコツを教えてください。
「どんなおつまみでも日本酒と合うと、先ほどお伝えさせていただきましたが、合わせてみたときに「すごく合う」「合う」という差はもちろんあります。また、人それぞれに好みが違うので、自分の舌や感性に合う組み合わせを選ぶには、実際に飲んで食べてみてもらうしかないと思います。
ただし、一般論の範疇での簡易なものですが『比重を合わせる』というテクニックもあります。ワインと似ているのですが、肉料理や濃い味つけの食べ物には、フルボディタイプの純米酒や無濾過生原酒、熟成酒などの日本酒を。お刺身や薄味の煮物など軽い味わいの食べ物には、ライトボディタイプの吟醸酒や本醸造などの日本酒を。自分の好みの組み合わせが見つかるまでは、こうして合わせてみてもといいと思います」
――味以外にもポイントはありますか?
「香りで選ぶのもいいと思います。
たとえば、日本酒に柑橘系の香りがあるのであれば、鴨肉のオレンジソースがけや柚子風味のお料理にマッチします。個性的な香りのお酒には、スパイスやハーブを使ったお料理を合わせてみると、思わぬ効果を発揮してくれることも。また、熟成肉など時間をかけた料理には、同様に熟成酒など時間をかけたお酒が合うんです。
味、香り、そして時間。日本酒と料理を取り巻くさまざまなストーリーを考えながら選ぶと、ベストマッチな組み合わせを見つけることができるはずですよ」
――実際に食べて飲んでみたとき、チェックするのはどういった点ですか?
「お料理とお酒を一緒に口の中に入れたときに、バランスが取れるかどうかがカギですね。五味のバランスが完成されるように、互いを補完し合う組み合わせのものが『美味しい!』と感じやすいのではと思っています。
さらに、互いが持っている香りや旨味などが引き立つことでの相乗効果も、ペアリングの醍醐味です。日本酒は温度を上げると、隠れていた香りや味わい、酸味などがより感じられるようになるので、料理とのバランスを取る手段のひとつにもなりますよ。
『合わないかも…』と思わず、意外なものでも試してみることで世界が広がるので、まずはどんどん飲んで食べて、試してみてください」
ここからは、あおい有紀さんが実食し、日本酒に合う!と感じたおつまみを7つのカテゴリー別にお届け。「久保田 萬寿」「久保田 千寿」「久保田 純米大吟醸」の3つの中から、最も合うと思う組み合わせも教えていただきました。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2020年12月22日現在のものです。
口の中でほろりとほぐれてゆく、優しい風味が特徴。燻製をせず乳酸発酵させた珍しいサラミです。豚肉は新潟県産つなんポークを使用。ブランド豚肉の上品な風味に玉ねぎの香りが寄り添い、食欲をそそります。
「佐渡に行ったときに出会った名品サラミ。豚肉のほどよい脂が美味しく、お酒が進みます。私のおすすめは『久保田 萬寿』とのペアリング。萬寿らしい香り高いお米の旨味が、サラミのトロリとした口当たりと混じり合い、旨味が引き立ちます」
1,350円(税込)
商品の詳細
キングサーモンの燻製、焼き牡蠣、照り焼きにした帆立貝をにんにく・バジル・ブラックペッパーを合わせたなたね油で漬け込んだ風味豊かなアヒージョ。そのままいただいても、バゲットなどにのせても美味。
「サーモンは塩味がしっかりしていて、燻製の香りが芳醇。牡蠣は凝縮された旨味がじゅわっと口の中に広がり、そこに日本酒を流し込むことで酸味がプラスされ、バランスの良い味わいを堪能することができます。帆立は噛み締めるたびに旨味があふれ出す感じで、お箸が止まりません!
久保田のラインアップの中で合わせるなら『久保田 萬寿』がおすすめ。燻製の香りがアクセントとなり、萬寿の華やかさが寄り添うことで最高の組み合わせになります」
1,728円(税込)
商品の詳細
香川県のオリジナルブランドアスパラガス「さぬきのめざめ」をふんだんに使用した、シャキシャキっとした食感が楽しいアスパラ餃子。餃子の皮にはさぬきうどんに使われる地場産小麦「さぬきの夢」を使い、もっちりとした食味も美味しさを引き立たせるポイントになっています。
「素直に美味しい!と思える餃子です。アスパラのシャキシャキ感が楽しく、箸もお酒も進むことうけあい。餃子にはビール!という人が多いと思いますが、この餃子はアスパラ独特の青々しさがふわっと香り、そこに日本酒を入れることで旨味が引き立ちます。お酢をかけても美味しいですよ。おすすめは『久保田 萬寿』です」
800円(税込)※12個入り
商品の詳細
巾着状のモッツァレラチーズの中に、ストリングチーズと生クリームをたっぷり閉じ込めた、南イタリア地方でのみ作られているオリジナリティあふれるチーズ、ブッラータ。「BURRATA」とはイタリア語で「バターのような」という意味を持ち、濃厚かつ滑らかでクリーミーな食味が魅力です。
「このチーズは口の中でとろけるような、クリーミーかつシルキーな舌触りがたまりません。日本酒とチーズは、実はワイン以上に合う組み合わせだと私は思っているのですが、中でもこのチーズは日本酒と相性が抜群。
ブッラータの優しい甘さと、日本酒の柔らかな甘さのマリアージュを楽しんでみてください。『久保田 千寿』がおすすめ。チーズのフレッシュさと米の旨味をまとめて感じられる組み合わせです」
1,058円(税込)
商品の詳細
カナダ生まれの女性が作る現地の「おふくろの味」。茹でた卵をスパイスを調合したピクルス液に漬けることで、まろやかさに酸味がプラスされたひとクセもふたクセもある不思議な味わいに。日本ではなじみがないため初めは驚く人も多いようですが、2個、3個と食べるうちにハマる人が続出するおつまみです。
「初めてピクルドエッグを食べたとき、味付けが日本にはないものなので本当にびっくりしました。でも、日本酒と合わせてみてさらにびっくり。ピクルス液の酸味を、日本酒の甘みが上品に包み込んでまとめてくれるので、すごく美味しくいただけたんです。
おすすめは『久保田 純米大吟醸』。主張が強いお酢の風味に、力強い味わいで寄り添い、美味しさを倍増してくれます」
972円(税込)※5個入り
商品の詳細
濃厚で食べた瞬間に広がる甘味が特徴のゆばどうふ。独特の製法により豆腐のエキスが外に逃げず、作り立ての風味を濃く強く感じることができます。表面に張った湯葉には大豆の旨味が凝縮。熊本の気候風土が生んだ逸品です。
「大豆の旨味が強く『美味しい!』と純粋に感じられるお豆腐です。塩を振っていただくと奥行き感が出るのでおすすめ。湯葉のとろけるような食感と、お豆腐のす~っと口の中に広がっていく食感を同時に楽しめるので、ぜひお取り寄せしてほしいと思います。
この豆腐に合わせるなら『久保田 千寿』がイチオシ。千寿の淡麗な味わいが、大豆そのものの風味をさらに立体的にはっきりと感じさせてくれます」
324円(税込)
商品の詳細
市場直送の季節のフルーツを、素材本来の味を引き立てる配合比率にこだわった甘さ控えめの白あんと、高級羽二重粉を使った上品な求肥で包み込んだ逸品。フルーツの持つ甘味・旨味・酸味をまるごと閉じ込めたお酒に合うスイーツです。
「果物をそのまま食べているような錯覚を起こすほど、自然な甘みを感じられる美味しい大福です。上品な白あんは日本酒の甘みとベストマッチ。微発泡タイプの日本酒と合わせても美味しくいただけると思います。
私のおすすめは『久保田 純米大吟醸』のペアリング。純米大吟醸の旨味が、フルーツの味わいを壊すことなく、なおかつ、スッキリとしたフルーツの甘みを格上げ。余韻のある味わいを楽しむことができます。今回は季節の柿ですが、他のフルーツも試してみてください」
420円(税込)
商品の詳細
あおいさんのお話にもあったように、日本酒に合うおつまみはとても深い世界。
自宅にいる時間が長い今だからこそ、好きな日本酒に合うあなたにピッタリなおつまみを見つけてみてください。
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara