当たり年も外れ年もない! 毎年同じ味の日本酒を造れる理由とは
ワインの味わいは原料であるぶどうの品質に影響を受けるため、年によって変わるのが一般的。それに対し日本酒は、毎年同じ味をしているものもあるようです。日本酒も米を原料としており、年によって米の品質は異なるはずなのに、どうしてそのようなことが可能なのでしょうか。実際に酒蔵に聞いてみました。
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アースデイとは、地球環境について考える日です。本記事では、朝日酒造が取り組んでいる環境保全活動を取り上げます。美味しい日本酒を通し、それを育んだ豊かな自然や、朝日酒造から自然への想いを味わう、そんな一日にしてみませんか。
目次
毎年4月22日は、地球環境について考える日として提案された記念日、「アースデイ」です。この日に合わせ、企業や団体はもちろん個人においても、環境を意識した活動が世界中で実践されています。
ちなみになぜ毎年4月22日かというと、1970年4月22日にアメリカで地球環境についての集会が開かれたことにちなみます。その集会には2000万人以上の人々が参加したと言われ、アメリカでの環境保護庁の設置や、各種環境保護法の整備にまで繋がっていきました。
地球環境について考える日と聞くと、テーマの大きさに少々尻込みしてしまいますよね。ですが、行うべきことに決まりがないのがアースデイです。自分の手が届く範囲で少しでも地球や環境について考えたのなら、それはアースデイに参加したと言えます。
例えば身近なテーマである食でも、最近では「エシカル」や「サステナブル」など、環境に配慮するキーワードをよく耳にするようになりました。いくら美味しい食事でも、化学肥料や農薬を使い、自然を汚染してしまっているものでは困りますよね。せっかくなら、環境に配慮した生産者の手で作られたものを選びたいものです。
また、最近では「SDGs(持続可能な開発目標)」が掲げられ、17あるゴールの中には地球環境の保全を実現するゴールがいくつかあり、自然との共存のために日々取り組んでいる企業も数多くあります。
今回は、そんな企業の中から新潟県の朝日酒造を取り上げ、朝日酒造が取り組んでいる自然環境保護活動を紹介します。朝日酒造の美味しい日本酒の背後にある自然への想いが感じられるはずですよ。
米どころ・酒どころとして名高い新潟県にあり、名酒「久保田」などを醸している酒蔵、朝日酒造。1830年の創業より品質本位をモットーとして掲げながら、新潟県長岡市越路地域で日本酒を造り続けています。
朝日酒造の酒蔵は水田と里山に囲まれており、新潟県内でも指折りの米どころらしい豊かな自然が広がります。酒造りの根幹となる水と米、そして人を守り育んできた創業の地は、春は新緑、初夏はホタル、秋は紅葉、冬は雪と四季折々の表情が浮かべ、まさに酒を造るにふさわしい場所と言えます。
酒造りの根幹となる水と米。朝日酒造では、自分たちの造る日本酒の清らかで凛とした味わいの源泉は水であるとしています。
そして米については、かつての杜氏が「酒の品質は、原料の品質を越えられない」という言葉を残しており、米の品質も日本酒の品質に大きく影響すると考え重要視しています。言うまでもなく、米を育むにも水が不可欠です。つまり、水こそが朝日酒造での日本酒造りを支える真の根源だと言えそうです。
創業の地である越路地域でこれからも品質本位の日本酒造りを続けていきたい。そのためには、水をはじめとした酒蔵を取り囲む自然環境の保全が必須である。
そう考えた朝日酒造は、1984年に越路地域に生息するホタルの保護活動へと着手します。それが、今日まで続く朝日酒造の自然保護活動の第一歩でした。
ここからは、越路の水を守るために行っている朝日酒造の自然保護の取り組みを紹介します。
日本酒造りに重要な良質な水、米には豊かな自然環境が不可欠であり、それはまさにホタルが生息できる環境と一致します。朝日酒造では、ホタルをきれいな水の指標と捉え、「ホタルが飛び交う酒蔵を作ろう」という思いのもと、社内でのホタルの観察飼育から始まり、今では継続した定点観測に取り組んでいます。
毎年6月には越路地域で「越路ホタルまつり」が開催され、幻想的なホタルの光が訪れる人を楽しませています。美味しい日本酒のためのホタルの保護活動は、地域のきれいな水を守ることや地域の活性化に繋がっているんですね。
朝日酒造の酒蔵のほど近くにある、もみじの名所「もみじ園」。敷地内には、樹齢150~200年のもみじなど多くの植物が植えられており、紅葉のシーズンには約8万人が訪れる人気の観光スポットです。
実はこのもみじ園は、元々は地元の大地主の別荘の庭園だったもの。朝日酒造は創立70周年を記念する事業として、園内にある山荘を修復し庭園の整備に協力しました。山荘は2015年、国登録有形文化財に登録されました。
さらに1993年からは、ふるさとの自然を誇り自然を大切にする心を育てたいという想いから、庭園の種からもみじの苗木を育て、地域の新中学生に入学記念として贈る活動を毎年行っています。2021年の春には延べ4000本以上の苗木をプレゼントしたとのこと。もみじの苗木をもらった中学生の多くは自宅の庭に植樹するそうですが、それは越路地域全体の緑化の一環となり、越路の水を守ることにもつながります。
秋の越路地域がもみじの葉で真っ赤に染まる未来はそう遠くないはずです。
日本酒の材料となる米は新潟県産のものを使用していることから、越路地域にとどまらず、より広く新潟県内の自然保護にも目を向ける必要があると考えた朝日酒造。
そこで、2001年に自然環境保護を目的とした財団「公益財団法人こしじ水と緑の会」を設立しました。水と緑の名の通り、水環境や水源涵養をつかさどる森林環境や、それらに関わる生物多様性の環境など、自然環境の保全やそのための教育を進めています。また、財団では越路地域内に約100haの山林を保有しており、保全を進めながら、越路の水を守る役割を果たしています。
その他、こしじ水と緑の会・朝日酒造自然保護助成基金として、新潟県内にて自然環境活動を行う団体・個人に資金を助成したり、自然と親しめるプログラムを提供する自然学校を開催したりといった取り組みを行っています。
各自ができる範囲で少しでも地球や環境について考えたのなら、それはアースデイに参加したと言えます。環境に配慮した取り組みをしている企業を知り、そういった企業の商品を手に取ることもアースデイの活動の一つでしょう。この記事を読み、朝日酒造の取り組みに共感できたら、朝日酒造の日本酒を手に取ってみてはいかがでしょうか。美味しい日本酒の向こうに、豊かな自然とそれを大切にする酒蔵の想いが感じられるはずです。