日本酒・久保田をもっと楽しむWEBマガジン

日本酒造りに欠かせない「もろみ」とは?酒母との違いについても紹介
2020.10.20

知る

日本酒造りに欠かせない「もろみ」とは?酒母との違いについても紹介

「もろみ」とは、日本酒造りにおいて、なくてはならない存在です。この記事では「もろみ」がどんなものなのか、日本酒造りにおいてどのような役割を果たすのか、さらに「もろみ」と同じく日本酒造りに欠かせない「酒母」についても紹介します。

目次

  1. 日本酒造りに欠かせない「もろみ」
    1. 「もろみ」とは
    2. もろみ造りの重要性
  2. もろみ造りの製法「三段仕込み」
    1. 三段仕込みの意味と目的
    2. 三段仕込みの工程①初添(はつぞえ)
    3. 三段仕込みの工程②仲添(なかぞえ)
    4. 三段仕込みの工程③留添(とめぞえ)
  3. もろみの仕込み方で異なる味わい
    1. 仕込みの回数が増えると甘味が増す
    2. 仕込みの温度によって風味が変化する
  4. 「もろみ」と「酒母」の違い
    1. 酒母とは
    2. 酒母の役割
  5. 奥深い日本酒の魅力に出会おう

日本酒造りに欠かせない「もろみ」

粘度の高い白濁した泡立ちのあるもろみ

もろみは日本酒のもととなる液体で、日本酒造りには欠かせないものです。ここでは、もろみの原材料と、もろみ造りの重要性について解説します。

「もろみ」とは

「醪」と漢字で表記されることもあるもろみは、蒸米、米麹、酒母、水を加えたものを発酵させて造ります。粘度の高い白濁した泡立ちのある液体で、日本酒になる手前の段階です。
発酵を終えたもろみをこすことで、澄んだ液体と酒粕に分かれます。この液体が、普段飲んでいるような日本酒となるのです。

もろみ造りの重要性

もろみは日本酒のもとであり、もろみ造りは日本酒造りのとても重要な工程です。「一麹、二酛、三造り」という日本酒造りにおける重要な工程を表した言葉がありますが、ここでいう「造り」は「もろみ造り」を指します。もろみは日本酒ができる一歩手前の段階なので、もろみの出来が酒の味の良し悪しを決めると言っても過言ではありません。

もろみ造りの製法「三段仕込み」

タンクをかき混ぜもろみを仕込む二人の男性

日本酒造りにおいて、重要な存在である「もろみ」。このもろみはいったいどのようにして造られるのでしょうか。ここでは、もろみ造りの主流である「三段仕込み」について紹介します。

三段仕込みの意味と目的

三段仕込みは、日本酒造りの最も主流な仕込み方法です。
「仕込み」とは、酒母に原料を混ぜ合わせて発酵させてもろみを造ること。仕込みに用いられる原料は蒸米、米麹、酒母、水で、この原料を3回に分けて仕込むのが「三段仕込み」です。4日間かけて仕込んでいきます。

原料を最初からすべて加えてしまうと、発酵が急激に進み酒母の中の酸が薄まりすぎて、酵母の増殖が追いつかなくなります。また、酸性を保てなくなった酒母は雑菌の繁殖につながります。それを防ぐためにも、酵母の様子を見ながら3回に分けて原料を加え、ゆっくりと発酵させているのです。

三段仕込みの工程①初添(はつぞえ)

三段仕込みの1日目に行われる、最初の工程が初添です。酒母の入ったタンクの中に、蒸米、米麹、水を加えてしっかりとかき混ぜることで、発酵が促されます。初添の工程で使用する蒸米、米麹、水の量は、酒母の2倍ほどの量です。

三段仕込みの工程②仲添(なかぞえ)

3日目に仲添という2度目の仕込みを行います。ここでは初日の初添の2倍の量の蒸米、米麹、水を加えていきます。仲添を経て仕込みは全体の半分の量になり、さらに発酵が進みます。

なお、初添と仲添の工程の間には踊り(おどり)という工程があります。何も加えない日のため、三段の中にはカウントされませんが、もろみをよくかき混ぜて酵母菌を増殖させています。

三段仕込みの工程③留添(とめぞえ)

最終日の4日目には、三段仕込みの最終段階の留添を行います。留添では、仲添の2倍の量の蒸米、米麹、水を加えていきます。
このように3回に分けて徐々に原料の量を増やすことで、ゆっくりと環境の変化に対応させながら上質なもろみを仕込んでいくのです。

4日間にわたる三段仕込みの工程が終わった後は、温度を調節しながら発酵させます。発酵が済んでもろみが完成するまでは、約1カ月ほどかかります。

もろみの仕込み方で異なる味わい

タンクをかき混ぜる男性

三段仕込みは日本酒造りの最もメジャーな仕込み方ですが、四段仕込みや五段仕込みなど、何段階もの仕込み方法が存在します。それぞれの仕込み方によって、出来上がる日本酒の味に違いが出ます。仕込み方法と味にはどのような関係があるのでしょうか。
       

仕込みの回数が増えると甘味が増す

仕込みの回数が多いほど、日本酒の味は甘くなる傾向にあります。
四段を越える仕込みの場合は、単純に仕込み回数が増えるというわけではありません。三段仕込みをベースにして、そこに蒸米を加える回数を四段仕込みなら1回追加、十段仕込みなら7回追加投入します。
三段仕込みが終わった時点で、既に発酵によって生み出されたアルコールが酵母の働きを止めてしまっているので、これ以上糖をアルコールに変えることができません。そのため、蒸米のデンプンから変化した糖がそのまま糖分として日本酒の中に残り、甘さをもたらすのです。

仕込みの温度によって風味が変化する

酒造りでは発酵の際の温度が日本酒の味に変化をもたらすので、温度管理は日本酒の出来を左右する大きなポイントとなります。純米酒や本醸造酒を造る場合は、米の旨味を最大限引き出すとされている8℃~15℃前後で温度管理をします。

一方、フルーティーで華やかな吟醸香が特徴の吟醸酒は、5℃~10℃前後の低温が望ましいです。低めの温度で時間をかけて発酵させ酵母の中の酵素の働きを調整することで、芳醇な香り成分をもろみの中に閉じ込められるのです。

「もろみ」と「酒母」の違い

酒母

日本酒造りの工程で出てくるワードで、もろみと混同しやすいのが酒母(しゅぼ)です。酒の母と書かれることからも、日本酒に必要不可欠なものということがわかります。具体的に酒母がどんなものなのかと、酒造りでの役割や製法を紹介します。

酒母とは

酒母とは酵母の一種で、日本酒を造るために培養された良質な微生物です。酵母はアルコール発酵を促す役割があり、日本酒だけでなくビール、ワイン、ウイスキーなど、さまざまなお酒造りに用いられます。

昔は酒母を酛(もと)と呼びました。酛という漢字は「酒」と「元」でできており、読んで字のごとく日本酒を生み出す源という意味です。「一麹、二酛、三造り」の「酛」は酒母のこと。もろみと同じく、酒母造りは酒造りの重要な工程なのです。

酒母の役割

日本酒造りにおける酒母の役割は、糖を分解してアルコールを生み出すこと。液体をアルコール飲料に変えるという重要な役割を担っています。
また、酒母に含まれる酸の種類や量の違いによっても味わいは変わります。酒母造りも日本酒の味を左右する、重要な工程なのです。

奥深い日本酒の魅力に出会おう

もろみを仕込む男性

もろみ造りは日本酒造りの要ともいえる、大切な工程です。日本酒の味わいだけでなく造りについても知ることで、より一層日本酒を楽しめることでしょう。日本酒を学び味わって、日本酒の奥深さに出会ってみませんか?