一本一本に深い思い入れが♪日本酒のプロが愛する新潟のお酒5選
2021.02.15

特集

一本一本に深い思い入れが♪日本酒のプロが愛する新潟のお酒5選

世の中に数多のお酒があるように、日本酒の好みも十人十色。しかし「自分が本当に好きだと思えるお酒に、まだ出会えていないかも?」なんて思っている人も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、お酒にくわしい識者ふたりに、それぞれが愛する新潟生まれの日本酒5選を披露していただくとともに、愛すべき日本酒に出会える秘訣もお尋ね。この記事をキッカケに飲んでみたいお酒リストをつくってみるのもオツですよ!

目次

  1. クック井上。さんの愛する日本酒5選
    1. クック井上。さんの愛する日本酒①「八海醸造・特別本醸造 八海山」
    2. クック井上。さんの愛する日本酒②「朝日酒造・久保田 萬寿」
    3. クック井上。さんの愛する日本酒③「越後鶴亀・ワイン酵母仕込み 純米吟醸」
    4. クック井上。さんの愛する日本酒④「高橋酒造・純米原酒カワセミの旅」
    5. クック井上。さんの愛する日本酒⑤「青木酒造・鶴齢 純米酒 にごり酒 生原酒」
    6. クック井上。さんにとっての日本酒
  2. 中島有香さんの愛する日本酒5選
    1. 中島有香さんの愛する日本酒①「朝日酒造・久保田 紅寿」
    2. 中島有香さんの愛する日本酒②「麒麟山酒造・麒麟山 超辛口」
    3. 中島有香さんの愛する日本酒③「青木酒造・雪男 本醸造」
    4. 中島有香さんの愛する日本酒④「大洋酒造・特別純米 大洋盛」
    5. 中島有香さんの愛する日本酒⑤「鮎正宗酒造・純米にごり酒 『毘』」
    6. 中島有香さんにとっての日本酒
  3. まずは飲んでみる!これが愛すべき酒と出会う基本の「キ」

クック井上。さんの愛する日本酒5選

日本屈指の酒どころ・神戸で産声を上げ、食卓に日本酒があることが「当たり前の景色」だったというクック井上。さん。彼が今、愛してやまない日本酒とは、一体なんなのでしょうか?

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プロフィール
お笑いコンビ「ツインクル」のツッコミ担当。「新潟清酒アンバサダー」をはじめ、料理イベントの講師、企業の食品プロデュースやレシピ開発、グルメコラム執筆なども務める異色の料理芸人。野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター・フードコーディネーター・食育インストラクターなど、食の資格を8つ所有。
公式Twitter

クック井上。さんの愛する日本酒①「八海醸造・特別本醸造 八海山」

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新潟でも屈指の名酒を生み出す酒蔵「八海醸造」の特別本醸造。冷やで良し、燗で良しの新潟らしいスタンダードな味わいが楽しめます。

「親父の転勤で新潟に住んでいたころに親父がよく飲んでいたお酒で、飲み屋で見かけるとついオーダーしてしまう一杯。普段使いの、だけどワンランク上の酒として、『酒場放浪記』を拝見しながら家でまったり飲むのが幸せのひととき。
寒い季節に、おでんに合わせて冷や(常温)で飲むのが一番好きです」

https://www.hakkaisan.co.jp/sake/honjyozo

クック井上。さんの愛する日本酒②「朝日酒造・久保田 萬寿」

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麹造りの精度を高めることで生まれた、華やかで調和のとれた香りと深みのある味わいが魅力の純米大吟醸。特別な日の一杯におすすめ。

「お正月になると、義父が必ず用意するのがコレ。我が家ではおせち料理とともに「久保田 萬寿」を口にして、新しい一年がスタートします。
希少なお酒なので飲めるのは年に3~4回くらい。渋谷PARCOにある『未来日本酒店/KUBOTA SAKE BAR」に出掛けて飲むこともあります。圧倒的な上品さがあり、飲んですぐに細胞に吸い込まれていくような感覚に、毎度ほれぼれします。
花冷え(10度)くらいで飲むのが好きで、窓から降っている雪が見えたら最高!見えないときはYouTubeで降雪の風景を流しながら飲みましょう(笑)」

https://www.asahi-shuzo.co.jp/kubota/manjyu

クック井上。さんの愛する日本酒③「越後鶴亀・ワイン酵母仕込み 純米吟醸」

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清酒酵母の代わりにワイン酵母を使用した純米吟醸酒。日本酒の旨味とワインの酸味を兼ね備えた、現代のライフスタイルに合う一本。

「食品展示会で出会い、フルーティーな味わいに衝撃を受けました。日本酒に馴染みがない人でも、白ワイン感覚で飲めるので良いと思います。
カルパッチョなど洋風のお食事に合わせるのもいいですが、食前酒にいただくのもオススメ。変わり種のお酒なので、ホームパーティーなどに持っていくと、めちゃくちゃ盛り上がりますよ!」

https://www.echigotsurukame.com

クック井上。さんの愛する日本酒④「高橋酒造・純米原酒カワセミの旅」

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チョコレートやアイスクリーム、ようかんといったスイーツと相性が良い、フレッシュで爽やかなのど越しの一本。甘い物好きな女性は是非。

「新潟のタウン誌『Komachi(こまち)』で連載をしていたとき、編集部の人にプレゼントしていただきました。東京ではなかなか目にすることができないので、とても嬉しかったです。
そのときに飲んだだけなのですが、チョコレートと合う日本酒、というところに引かれました。僕の奥さんもチョコと合わせてグビグビいっていましたね。バレンタインにチョコとセットで女性から男性に、いや、逆バレンタインで男性から女性にプレゼントするのもアリです!」

https://echigo-choryo.co.jp/onlineshop/products/detail/36

クック井上。さんの愛する日本酒⑤「青木酒造・鶴齢 純米酒 にごり酒 生原酒」

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もろみの濃厚な味わいと、滑らかでキレのあるのど越しが特徴のにごり酒。火入れをしていない、冬季限定の生原酒です。

「にごり酒好きの義父のために選んだ一本。シュワッと発泡する感じが爽快で、口当たりが良すぎて飲み過ぎるのが玉にきずですね。
チーズや塩辛、ぬか漬けなど発酵食品との相性が良いので試してみてほしいです。生きた酵母は身体に良いといわれているので、飲んで健康になれるお酒なのでは?と思っています」

http://www.kakurei.co.jp/sake/kakurei/kakurei10

クック井上。さんにとっての日本酒

――普段、日本酒はどういうふうに楽しんでいますか?

「酒場へ行けば必ず頼みますし、夜に子どもが寝静まった後に部屋の明かりを薄暗くして、ちびちびやるのが大好きです。
奥さんの実家で二世帯暮らしをしているのですが、「一杯やる?」と義父から連絡が来るのが楽しみなんですよ。日本酒って、ただお酒を飲んで酔っ払うだけでなく、会話が生まれるのがいいんですよね」

――日本酒にハマったきっかけは?

「僕、生まれが神戸で。その後、広島→神戸→埼玉→新潟→神戸と、親父の仕事の関係で各地を転々としたんですよ。でもね、よくよく考えたら広島も神戸も埼玉も新潟も、引っ越した場所はすべて酒どころで。親父も日本酒が大好きなので、食卓に日本酒があるのが当たり前の風景でした。
そんな環境で育って大人になった僕が、日本酒が嫌いなわけがないわけで(笑)。なので、ハマったキッカケは『物心ついたときから日本酒が身近にあったため』でしょうか。義父もルーツが新潟。僕の周りは、日本酒好きばかりです」

――新潟の日本酒の魅力とは?
「ひと昔前まで、新潟のお酒といえば淡麗辛口のひとことで済んでいたと思うんです。でも、新潟は全国で最も多い89もの蔵がある(※)。それぞれに複数の銘柄の酒があり、種類もさまざまありますから、ひと言でまとめられるわけがありません。
蔵の数だけ違う魅力があるわけで――新潟の日本酒には、それだけたくさんの魅力があるということ。新潟のお酒をあれこれ飲み比べたら、絶対に自分に合うものが見つかると思います」
※国税庁「清酒製造業の概況 企業タイプ別企業数(都道府県別/平成30年度調査分)より

――愛すべき日本酒に出会う秘訣は?
「日本酒は千差万別。さらに温度によって味が全然違うので、日本酒のプロが適正温度で出してくれて、なおかつ日本酒を飲み比べできるお店に行き、あれこれ試してみるのが一番では?と思います。
または、今は社会的な状況で難しい部分もありますが、旅に出て、その土地のお料理と日本酒を合わせて楽しみ、思い出とともに舌に記憶を刻むのも良いと思います。
ステイホームが推奨される今であれば、食材やお料理と一緒に日本酒をお取り寄せして楽しむのもおすすめですね」

中島有香さんの愛する日本酒5選

新潟に移住するまで、日本酒とまるで縁のない生活をしていたという中島さん。いつしか日本酒の魅力のトリコになってしまったという中島さんがオススメする新潟の日本酒5選はこちら!

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プロフィール
料理研究家。食を専門にした広告代理店に勤務し、パリに渡りフランス家庭料理を学び帰国。その後は料理研究家として活動。結婚を機に新潟へ移住し、現在は新潟市内で料理教室の他、テレビの料理コーナー出演、新潟地酒に合わせた料理講習会やおつまみ本を出版。利き酒師、新潟清酒名誉大使。
公式サイト

中島有香さんの愛する日本酒①「朝日酒造・久保田 紅寿」

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辛味と酸味が調和した、やさしい口当たりの中にドライさを感じることができる純米吟醸。久保田ならではのキレが、食欲を刺激します。

「お祝いごとや自分へのご褒美に飲むお酒です。とにかく飲み心地が良く、上品な味わいでスルスルと喉を通る穏やかな感じもお気に入り。
『ぬる燗にすると最高ですよ!』と蔵元の人に教えてもらったのですが、確かに冷酒とはまた違った豊潤な風味になり最高です」

https://www.asahi-shuzo.co.jp/kubota/koujyu

中島有香さんの愛する日本酒②「麒麟山酒造・麒麟山 超辛口」

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麒麟山酒造の5代目当主が「酒とは辛いもの」という信念を受け継いでつくり上げる同酒蔵の真骨頂。和食のような繊細な風味の食事に特にマッチします。

「新潟市内の居酒屋さんで見かけ、『超辛口』というネーミングに引かれました。甘口よりも辛口が好きなのもあり『しかも、超ってなんだ!?』と、ワクワクが止まらなかったことを覚えています。
キレが良く、どんな料理にも合い、さらに冷酒から熱燗までイケるという懐の深さが魅力。デイリー使いできるので、月に3~4回は飲んでいます」

http://kirinzan.co.jp/lineup/dry

中島有香さんの愛する日本酒③「青木酒造・雪男 本醸造」

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魚沼の山々が生み出す軟水仕込みを生かした、まるで雪解け水のような清らかな口当たり。米の甘みとコクがしっかりあるので、特に熱燗がオススメ。

「お酒好きの知人にすすめられて飲んだお酒です。雪深い地域ならではの、しっかりとした飲み心地が美味しくてハマりました。新潟の本醸造酒はレベルが高く、吟醸酒に負けない安定した美味しさがありますが、この雪男はまさにその代表といえます。
まずは常温でお酒本来の風味を楽しみ、次はぜひ熱燗で。煮込み料理などはもちろん、ナッツやカカオが多めのチョコレートなどにもよく合いますよ」

http://www.kakurei.co.jp/sake/yukiotoko/yukiotoko02

中島有香さんの愛する日本酒④「大洋酒造・特別純米 大洋盛」

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新潟県村上市でつくられる酒米「五百万石」を主原料にし、とことん新潟にこだわった一本。ほどよい酸味と旨味が魅力です。

「デパ地下をブラブラしていたとき、蔵元さんが店頭に立っていて、冷やでも燗でも美味しいおすすめのお酒は?と聞いたところ、この特別純米を提案されました。
燗酒コンテストやワイングラスでおいしい日本酒アワードで金賞を受賞しているすごいお酒なのですが、それはすなわち、冷酒でも燗酒でも美味しくてそれぞれレベルがとても高いという証。合わせる料理の幅がとても広いので、グラタンやピザなどのチーズ料理にもよく合います」

https://www.taiyo-sake.co.jp/item_detail.asp?vid=23

中島有香さんの愛する日本酒⑤「鮎正宗酒造・純米にごり酒 『毘』」

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新潟でも有数の豪雪地帯・妙高市の厳しい自然の中で、蔵人が心を込めてつくり上げた「毘」。にごり酒ならではのまろやかな味わいが絶品で、ぬる燗も味わいが変わりおすすめ。

「妙高市に住んでいる知人から『美味しいにごり酒があるから』とプレゼントされました。
にごり酒は、甘口でこってりしているイメージだったのですが、この『毘』はコクのある優しい甘味で、ほどよい酸味があり後味がスッキリ。食前酒にもおすすめです。『そろそろ飲みたいな~』と、定期的に恋しくなるお酒です」

https://ayumasamune.com/products

中島有香さんにとっての日本酒

――新潟生まれの日本酒が持つ魅力とは?
「新潟県は上越・中越・下越と分かれ、それぞれ気候も違い、お酒の味わいも変化します。蔵も種類もたくさんありますが、共通しているのはどれも「食中酒」だということ。料理と一緒に楽しむと、よりお酒が旨くなる。
これが、新潟の日本酒の何よりの魅力だと思います。どんな料理と合わせるか迷ったときは、そのお酒がつくられた地域の郷土料理を参考にしてみるといいかもしれません」

――日本酒にハマったきっかけは?
「結婚して新潟に住むようになるまで、実は日本酒とはまったく縁がありませんでした。新潟に来て間もないころ、資源ゴミ回収の日に、日本酒を知らない私でも知っている銘酒の空き瓶がズラリと捨てられていて(笑)。『ここは日本酒王国なんだ!』と驚きとともに改めて新潟の素晴らしさを認識しました。
その日から県内のあらゆる日本酒を飲み、それに合う料理を考案するうちに、すっかり日本酒の魅力のトリコになりました」

――普段、日本酒はどういうふうに楽しんでいますか?
「日本酒は飲んで楽しくなれるお酒なので、誰かと一緒に飲むのが好きです。家でもお店でも必ず誰かと一緒。
日本酒は私にとって、より仲良くなりたい人との大切なツールなんです」

――愛する日本酒に出会う秘訣は?
「どんなものでもそうですが、出会えるか出会えないかは運もあると思います。
なので、とにかくいろいろな蔵の、いろいろな種類のお酒を試してみて、自分の好みを知ることから始めるといいのではないでしょうか」

まずは飲んでみる!これが愛すべき酒と出会う基本の「キ」

クック井上。さんと中島有香さん。おふたりが愛する新潟の日本酒5選をお届けしました。
それぞれに思い入れがあり、魅力があり「全部飲んでみたい!」と思った人も多いのではないでしょうか。自分に合った日本酒を探し出すコツは、何はともあれ飲んでみるということ。
純米酒、大吟醸酒、本醸造酒、にごり酒…さまざまな種類のお酒を飲んで、あなたの心の友となる一杯を、ぜひ見つけ出してください。


Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara