半夏生にはうどんを食べよう!うどんと日本酒の意外な相性
2024.06.10

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半夏生にはうどんを食べよう!うどんと日本酒の意外な相性

半夏生には全国各地に言い伝えやそれぞれの食べ物が存在します。特にこの時期に収穫される小麦はまさに半夏生の食べ物に最適。簡単なうどんレシピと、それに合う日本酒を提案します。休日に、うどんと日本酒で過ごしてみませんか。

目次

  1. 半夏生にまつわる豆知識
    1. 半夏生の時期に食べるもの
    2. 7月2日はうどんの日
  2. 日本酒と合わせたい!うどんレシピ
    1. スッキリ爽快「すだちうどん」と「久保田 千寿 純米吟醸」
    2. 夏を乗り切る「サバ坦々うどん」と「久保田 スパークリング」
    3. おやつにも最適「黒蜜きな粉うどん」と「朝日山 純米酒」
  3. 7月2日のうどんの日に讃岐うどんを打ってみよう
  4. うどんと日本酒の「半夏生ペアリング」を楽しもう

半夏生にまつわる豆知識

半夏生(はんげしょう)とは、季節の移り変わりの目安として設けられた日本独自の暦日“雑節” のひとつ。夏至から数えて11日目からの5日間を指します。昔から「田植えは夏至の後、半夏生の前までには終わらせる」と言い伝えられてきました。そしてこの時期は梅雨と重なることから、「物忌みの日」と呼ばれ、地域によっては、竹林に入ってはいけない、妖怪がうろつくといった話もあります。これは、いずれも外出を避け、休息をとる意味が込められていると考えられます。

半夏生の時期に食べるもの

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関西地方で食べるものは「タコ」。これは、タコが吸盤で吸い付くように、稲の根がしっかりと地面につくようにという、実り豊かになるような願いが込められています。タコはアミノ酸が豊富で疲労回復に効果を発揮します。田植えで疲れた体には最適な食材と言えるでしょう。
福井県で食べるものは「鯖(サバ)」。丸ごと焼いたサバを食べる風習は江戸時代から続いており、蒸し暑い夏を乗り切るために始まったようです。
奈良県の風習は「きな粉餅」。半夏生の時期に収穫した小麦で餅を作り、きな粉をまぶして食べます。田植えが終わってねぎらいのお菓子のような存在なのかもしれません。
香川県は「うどん」。日常的に食べているかもしれませんが、特に半夏生の季節は収穫したばかりの小麦でうどんを打ち、農作業を手伝ってくれた方々へ振る舞ったことがきっかけで広まっていきました。

7月2日はうどんの日

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1980年、香川県生麺事業協同組合によって制定されたうどんの日。広く讃岐うどんを知ってほしいという考えでしたが、この日は半夏生にもあたり、香川県では収穫した小麦でうどんを打ち振る舞う日。皆でうどんを食べながら田植えの疲れを癒す日でもあり、今でもその風習は受け継がれています。ちょうど梅雨から夏に向かう時期でもあり、体力が落ちてくるこの季節にさっぱりと食べられるうどんは、半夏生の食べ物としてぴったりなのではないでしょうか。

日本酒と合わせたい!うどんレシピ

蕎麦前という言葉があるように、蕎麦屋で日本酒を飲む習慣はありますが、うどん屋で一献、ということは少ないかもしれません。しかし、うどんもお酒と一緒に楽しむことだって十分に出来るのです。全国にある様々なうどんを使い、そして半夏生にまつわる食材を加えて、この季節ならではのうどん料理を作ってみましょう。

スッキリ爽快「すだちうどん」と「久保田 千寿 純米吟醸」

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【材料】2人分
・乾麺(稲庭うどん):200g
・すだち:1個
A
-だし汁(いりこ、かつお):600cc
-薄口醤油:大さじ2
-みりん : 大さじ1
-塩 : ひとつまみ〜好みで

【作り方】
① Aを温めておく。
② うどんは時間通りに茹でて一度水で締め、もう一度お湯に通す。
③ ②を器に入れ、①を注ぎ、薄切りにしたすだちをのせる。

うどんは稲庭うどんかんざしがおすすめです。かんざしとは、うどんを桁に掛けて延ばした一番上の曲がりの部分。稲庭うどんの滑らかで上品な舌触りは美しく、曲がった部分が若干厚めになっていて食感の違いが出て何とも魅惑的。とにかくお酒が飲みたくなるうどんです。これに、すだちの薄切りを加えて柑橘の爽やかさをプラスすると、食事でありながらお酒の相方になる料理に仕上がります。だしを冷やして、冷たいうどんにしても同じように美味しく食べられるので、その日の気温で選んでも。お酒は「久保田 千寿 純米吟醸」を合わせましょう。すっきりと軽快で爽やかな千寿 純米吟醸とすだちうどんの軽やかさが同調します。

夏を乗り切る「サバ坦々うどん」と「久保田 スパークリング」

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【材料】2人分
・乾麺(氷見うどん):200g
・サバ水煮缶:1個
・にんにく:1かけ
・生姜:1かけ
・国産粒山椒:少々(粉山椒でも可)
A
-酒:大さじ1
-豆板醤:大さじ1
-味噌 : 大さじ1
-醤油:大さじ1/2
-ごま油:大さじ1/2

【作り方】
① フライパンにサバ缶を汁ごと入れ、おろしにんにくとおろし生姜を加え火を通し、Aを加えて炒める。
② うどんを茹でて水で締め、しっかり水気を切って器に盛る。
③ ②に①をかけ、山椒を挽く。

福井県で半夏生に食べられるのはサバ。疲れた体を癒し、これからやってくる暑い夏を乗り切るために丸ごと焼いて食べる風習ですが、簡単にサバ缶を使って担々麺風にしました。どんなうどんでも作れますが、富山の氷見うどんは若干平たくモチモチとした食感と粘りがあり、辛いサバ坦々をしっかり受け止めてくれます。合わせるのは「久保田 スパークリング」。ちょっと甘めな味わいが担々麺の辛さを和らげ、炭酸の刺激と豆板醤の刺激が相性抜群です。

おやつにも最適「黒蜜きな粉うどん」と「朝日山 純米酒」

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【材料】2人分
・茹でうどん(伊勢うどん):100g
・きな粉:適量
・黒蜜:適量

【作り方】
① うどんは茹で、水にとってしっかり水気を切る。
② うどんを一口ずつ器に盛る。
③ きな粉と黒蜜をかける。

奈良県の半夏生の風習をうどんで。伊勢うどんの柔らかくてふわっとした食感は優しくて消化も良く、おやつにはぴったりです。これに「朝日山 純米酒」を燗酒にするとホッとする相性の良さ。きな粉の香ばしさは朝日山を燗にすることで若干のメイラード反応が起きて同調し、穀物感がふわふわなうどんと違和感なくペアリングされます。おやつにも、食後のデザートとしても使え、あっという間に出来ちゃうレシピです。

7月2日のうどんの日に讃岐うどんを打ってみよう

うどんは中力粉を使うため、意外と初めてでも切れずにうどんらしいものが出来上がります。これを機に、讃岐うどんを打ってみませんか。手打ちの美味しさを知れば、ますますうどんが好きになりますよ。


【材料】作りやすい量(夏に作る場合の塩分量)
・中力粉:400g
・塩:24g
・水:168ml

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【作り方】
① 水と塩を混ぜて塩水を作る。
② 粉に塩水を入れて少しずつ合わせていき、丸くまとめていく。 ビニール袋などに入れて3〜40分寝かせる。
③ ②の生地を足で踏んで広げていき、たたむ。また踏み、たたむ。これを7回繰り返す。まとめてビニール袋に入れて一晩寝かせる。
④ ③をこねて丸め、好みの厚さにのばして切る。

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茹で時間は太さにもよりますが10分以上はかかります。中までしっかり茹でて、流水でぬめりを取るように洗うのがポイント。讃岐うどんはコシの強さとツルツルとした舌触り、ムチっとした歯ごたえといった他のうどんには無い魅力があります。いりこだしにみりんと薄口醤油などで味付けをし、だしも冷やして冷やかけにすれば暑い日もスルスルと食べられるほど。軽快でキレの良い「久保田 千寿 純米吟醸」と一緒に夏を乗り切りましょう。

うどんと日本酒の「半夏生ペアリング」を楽しもう

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半夏生は、農作業の疲れを癒し休息をする日。農家でなくても、季節の変わり目でちょっと疲れが出てくる時期かもしれません。半夏生の食べ物は、そんな体をリセットするのに最適な食材ばかりです。日本酒を飲みながらゆっくりと過ごし、それぞれの食べ物で栄養を補給し、半夏生ならではのペアリングを自宅で楽しんでみませんか。

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まゆみ

まゆみ

酒匠、料理研究家。 1日も欠かすことなく酒を呑み続ける驚胃の持ち主。酒と蕎麦と音楽を愛する。著書「うち飲みレシピ」「スバラ式弁当」。