日本酒カクテルが美味しい!次世代のバーテンダーに教わる自宅レシピや楽しみ方
2022.01.08

楽しむ

日本酒カクテルが美味しい!次世代のバーテンダーに教わる自宅レシピや楽しみ方

小洒落たバーで嗜む、大人な雰囲気のカクテル。しかし、家庭で気軽にカクテルを楽しむ近道が実は日本酒ということをご存知でしょうか? カクテルのベースに使われるのは、ジンやウォッカ、ワインやウイスキーといった洋酒が一般的。しかし、近年、日本酒を用いたカクテルが世界的に人気を集めているといいます。 今回は5月13日の「カクテルの日」にあわせて、日本を代表するフレアバーテンダーの山本圭介さんに自宅でも簡単に作れる日本酒カクテルのレシピを教えてもらいました!

目次

  1. 日本酒はカクテルに合うんですか?
    1. 日本酒をカクテルにするメリット
    2. そもそもカクテルとは?
    3. 山本さんが考える、日本酒カクテルの魅力って?
  2. 自宅で作る日本酒カクテル、必要なアイテムは?
    1. 味の再現性を担保してくれる「メジャーカップ」
    2. 好みの飲み口を探そう「グラス」
    3. 雰囲気演出にもひと役「マドラー」
    4. 最もこだわりたいのは「氷」
  3. 山本さん直伝・家でつくれる久保田を使った絶品カクテル
    1. ①混ぜるだけ。和食に合う美味カクテル【久保田トニック】
    2. ②お好みのスパイスを入れて【久保田トニック 改】
    3. ③ホエイの甘みとコクが美味【特製 久保田ミルク・パンチ】
    4. ④フレッシュトマトが香る【新潟レッドサン】
  4. 薬味、野菜、調味料…。意外なちょい足しを楽しむのも醍醐味
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Profile
山本圭介(やまもとけいすけ)
2004年に留学先のオーストラリアでバーテンダーの仕事と出合う。その後、ボトルシェーカーを投げながらカクテルをつくり上げるなど、華麗なパフォーマンスで客を魅了する「フレアバーテンダー」としてキャリアをスタートし、世界的なカクテルコンペティションにて12度の優勝を果たすなど、その道の第一人者として知られる存在。

https://rad-entertainment.com/member/ksk/

日本酒はカクテルに合うんですか?

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カクテルというと、独特な味わいのジン、香りの強いテキーラやラム、アルコール度数がずば抜けて高いウォッカといった洋酒を使うイメージですよね。そうしたお酒に比べて、ある意味穏やかな風合いが特徴といえる日本酒は、カクテルに合うのでしょうか。

日本酒をカクテルにするメリット

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山本「日本酒を使ったカクテルの有名なところで『サムライ・ロック』や『レッドサン』といったものがありますが、単純にトニックウォーターで割ったハイボールも美味しいんです。
実は海外では随分と前から、日本酒を使ったカクテルが知られていて、多くのバーテンダーが日本酒に注目しています。日本以上に日本酒カクテルは人気があるんですよ」

そもそもカクテルとは?

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山本「カクテルというのは、ベースとなるお酒に対し、他のお酒やジュースやスパイスなどを混ぜてつくる、ミックスしたお酒のことをいいます。スタンダードなカクテルにはそれぞれにストーリーがあり、そうした世界観を味わいながら飲んでほしいものでもあります。
カクテルをミックスさせる方法は、シェイカーを使った『シェイク』、マドラーやバー・スプーンでかき混ぜる『ステア』、直接グラスに注いでつくる『ビルド』などさまざまな手法があります」

山本さんが考える、日本酒カクテルの魅力って?

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山本「日本酒には、洋酒にはない包容力があるんです。米を原材料としているので、味わいがふくよかで、いわゆるクセがないんですよね。
炊き立てのごはんが、和食だけでなく洋食にも中華にも合うように、どんなジュースやお酒にも合わせられる。これが日本酒を使う最大の利点であり魅力であると思います。
また、カクテルにすることでアルコール度数が抑えられ、日本酒独特の味や香りをやわらげることができます。
甘味を加えることで酸味を抑えることができるので、日本酒が苦手な人やお酒が弱い人にも楽しんでいただける。これもバーテンダー目線抜きにした日本酒カクテルのメリットだと思っています」

自宅で作る日本酒カクテル、必要なアイテムは?

外出を控えざるを得ない状況の中で、家飲みが主流となっている昨今。美味しい日本酒カクテルを家で楽しむために、最低限そろえるべきアイテムはあるのでしょうか。

山本「絶対に必要!ということはありませんが『つくるたびに味が違う!』なんてことを避けて、美味しい一杯を満喫するために用意してほしいものがいくつかあります」

味の再現性を担保してくれる「メジャーカップ」

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山本「目分量でお酒や割り物を注いでしまうと、どうしても同じ味を再現するのが難しいもの。メジャーカップはぜひ用意しておいてほしいですね。見た目もバーっぽくてオススメです」

好みの飲み口を探そう「グラス」

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山本「続いてはグラス。汚れや、布巾で拭いた跡が残っていない、清潔できれいなグラスを用意しましょう。
ショットグラス、タンブラー、シャンパングラス、ワイングラス…これくらいあればOKだと思います。つくる味に合っていそうなものをセレクトしましょう。同じカクテルを違うグラスで楽しむのもオツなものです」

雰囲気演出にもひと役「マドラー」

山本「あとはマドラーがあれば問題ないでしょう。柄が長めのスプーンや箸でも代用できるので、わざわざ買ってくる必要はないと思います。ただし、スプーンや箸だとどうしても家飲み感が出てしまいますし、マドラーだとかき混ぜ過ぎて炭酸や風味が飛んでしまうことを防ぐことができます」

最もこだわりたいのは「氷」

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山本「ご家庭の冷凍庫でつくった氷だと、どうしても気泡や塩素などの不純物が混じってしまい、カクテルの味を劣化させてしまいます。業務用の氷は不純物をしっかり取り除いてから氷にするので、お酒の味を邪魔することがないんです。
もしもご近所に氷屋さんがあるなら、ぜひそこで“純氷”を手に入れてみてください。少し大きなスーパーで売られていることもあります」

山本さん直伝・家でつくれる久保田を使った絶品カクテル

ここからは自宅で気軽に楽しめる、久保田を使った日本酒カクテルレシピをご紹介。
編集部員はひと足早く撮影時に味見しましたが、どれも飛び跳ねたくなる美味しさでした!

①混ぜるだけ。和食に合う美味カクテル【久保田トニック】

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山本「タンブラーグラスに氷を入れたら『久保田 千寿 純米吟醸』を80ml注ぎ入れます。軽くかき混ぜ、氷が少し溶けて久保田の香りがふわっと広がったところで、トニックウォーターを80~160mlほど注ぎ入れます」

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山本「このときトニックウォーターが氷に当たらないよう注ぐのがコツ。氷に当たってしまうと炭酸が抜けてしまうので気を付けましょう。
最後にマドラーを使って軽くかき混ぜれば完成。ここでも激しくせず最低限の混ぜ具合にすることが美味しさの秘訣。お好みでライムジュースをほんの少々垂らしてもいいですね」

②お好みのスパイスを入れて【久保田トニック 改】

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山本「続いては、上で紹介した久保田トニックのアレンジです。
ワイングラスに氷を入れ、『久保田 千寿 純米吟醸』を50ml注ぎ入れます。軽くかき混ぜてグラスと久保田が冷えたところで、エルダーフラワーの香りのトニックウォーターを、氷に当たらないよう50~100mlほど注ぎ入れます」

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山本「ここに、炙って香りを立てたローズマリーや、レッドペッパー、クローブ、レモン、ライムなどお好みのスパイスとフルーツをプラスすれば完成です。
一緒に楽しむ料理に応じてスパイスを変えてみるのもオツなもの。いろいろ試してご自身の味覚に合うものを見つけてみてください」

※「久保田 千寿 純米吟醸」は、5月18日(月)より一般発売開始します。

③ホエイの甘みとコクが美味【特製 久保田ミルク・パンチ】

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山本「牛乳にパイナップルジュースやスパイスを加えて、カードとホエイを分離させたものを、コーヒーフィルターを通して濾し、オリジナルのホエイを抽出します」

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コップに抽出された液体がホエイで、コーヒーフィルターに残っているのがカード

山本「氷を入れて冷やしたロックグラスに、ホエイと『久保田 純米大吟醸』を1:1で入れ、静かにかき混ぜます。ホエイにすることで、牛乳特有の動物臭さが抜けて甘味や旨味だけが残り、純米大吟醸の華やかな香りをやわらかくサポート。牛乳が苦手な人はもちろん、日本酒が苦手な人でも楽しんでいただける一杯です」

④フレッシュトマトが香る【新潟レッドサン】

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山本「仕込みに時間はかかりますが、ぜひ家庭でも楽しんでいただきたいのがこちらのカクテルです。
トマト1個をジューサーにかけて濾して、よく冷やしておきます。塩分無添加のトマトジュースを使ってもいいですが、日本酒との相性を考えるとやはりフレッシュが一番。『久保田 純米大吟醸』と1:1の割合でブレンダー(ご自宅では大きめのコップでOK)に入れます。ここまでがいわゆる普通のレッドサンのつくり方なのですが、僕はここからもうひと手間!」

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「スローイング」とは2つのカップを使い、交互に注ぎ入れることで空気をほどよく含ませ、口当たりをまろやかにさせる技法のこと

山本「昆布だしに砂糖を加えて煮詰めてつくった昆布シロップ少々と、塩をひとつまみ、穀物酢を少々入れ、“スローイング”という技法を使って混ぜ合わせてワイングラスへ。
パリッとなるまで乾燥させた都こんぶを添えれば出来上がりです。昆布だしの旨味が後を引く味わいですよ」

薬味、野菜、調味料…。意外なちょい足しを楽しむのも醍醐味

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山本「ご紹介したフルーツやスパイスだけじゃなく、ミョウガやシソ、きゅうりといった薬味や野菜、お酢、醤油、みりんなど、さまざまな調味料を加えても美味しくなります。さまざまなものをミックスし、オンリーワンの味をつくり出すことも、カクテルの楽しみ方なんです」と、山本さん。

時間はたっぷりあるので、夜な夜なMy Bestな一杯を探求してみてはいかが?
ただし、飲みすぎにはくれぐれもご注意を!


Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara