日本酒「久保田」と楽しむ、和歌山県のご当地グルメ3選
毎回1つの都道府県にスポットを当て、久保田ファンと朝日酒造社員が一緒にご当地グルメと久保田を味わいながら、その地域やグルメにまつわるトークを楽しむオンライン飲み会「久保田ご当地グルメ部」。今回は、和歌山県をテーマに開催しました。ファンや社員おすすめの、久保田と楽しめる和歌山県のご当地グルメをご紹介します。
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“発酵食”という共通点を持つ「パン」と「日本酒」。しかし、一緒に食するイメージを持つ人は少ないのではないでしょうか。しかし、「日本酒とパンの相性は良い」とパンラボ研究員・池田浩明さんは語ります。 そこで、なぜ日本酒とパンが合うのか。その理由とともに『久保田』にマッチするパンを、池田さんに伝授していただきました。
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パンの研究所「パンラボ」研究員。ブレッドギーク(パンオタク)を自称するライターであり、NPO法人新麦コレクション理事長。パンを食べまくり、パンを書きまくる。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法(ガイドワークス)』、『パン欲(世界文化社)』がある。Twitter
日本酒のつまみといえば、刺身や煮つけ、干物といった昔ながらの肴を想像する人が多いことでしょう。
でも実はパンと一緒に嗜むことで、日本酒のポテンシャルをさらに楽しむことができるというのです――
「日本酒もパンも“発酵”という過程を経てつくられるもの。合わないわけがないんです」――池田さんはそう語ります。
日本酒は、麹菌が原料の米に含まれるデンプンを糖化し、さらに酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに換えることで生まれます。
パンは生地に加えた酵母が小麦粉に含まれる糖分を食べ、炭酸ガスとアルコールを生成。このガスによりふっくらとした食感を実現します。
つまりは、どちらも「酵母」を使用しているということ。
「面白いもので、同じような作り方をしているものは『波長』が合うんです。
つまり、一緒に食すると互いの味わいを引き出すことができる。日本酒とパンが合う理由は、酵母という共通点があるからなんです」
酵母とは食材を発酵させ、糖分をアルコールと炭酸ガスに換える働きがある微生物(真菌類)のこと。自然界に広く存在し、人類の長い歴史の中で、日本酒づくりに向くもの、ワインづくりに向くもの、パンづくりに向くものが発見され、用途によって使い分けられてきました。
「パンにはパン酵母を使うのが一般的ですが、酒粕酵母を使ってつくるものもあります。もっちりとした食感に仕上がるのでとても美味しく、使用するお店が増えています。
また、木村屋総本店の『酒種あんぱん』には酒種酵母菌が使われています。和と洋のクロスオーバーとでもいうのでしょうか。意外に思われるかもしれませんが、日本酒とパンは共生関係にあるといっても過言ではありません」
日本酒とパンが合うということは分かりましたが、日本酒にもパンにもさまざまな種類があるもの。
どんな組み合わせを選べば、間違いなく美味しくいただくことができるのでしょうか。辛口・甘口など、日本酒のタイプ別にお聞きしました。
「日本酒とパンを合わせるときは、ワインと同様に考えていいと思ってください。
たとえば辛口の日本酒であれば、前菜的なイメージのパンがいいでしょう。中でもおすすめなのが、オリーブののったフォカッチャ。日本酒とオリーブって、なんだか分からないけど合うんですよ」
「甘めの日本酒は、その甘さを殺さないよう甘めのパンと合わせるといいと思います。
先に挙げた木村屋総本店の酒種あんぱんなど、菓子パンを合わせるといいんじゃないかな。あとは、バターを使ったふくよかなタイプもおすすめ。日本酒は世界的にも珍しいくらい懐が深く、幅広い食べ物に合うお酒なので、あんこや乳製品とも相性が良いんです」
「あれこれ話しましたが、どの酒でどのパンを食べるかなんて、自由でいいと思うんです。そのときに食べたいパンを食べ、飲みたい日本酒を飲む。それでいい。
あとは、ちょっとした応用というか連想ゲーム的な発想を働かせれば、まったく合わないなんてことはないと思います。
そうそう。バゲットやカンパーニュなどのシンプルなパンは、どんなタイプの日本酒にも合うので試してほしいですね。これは僕の個人的な分析になりますが、山型食パンは軽やかな辛口に、角型食パンはどっしりとした日本酒に合います。また、加水の多いパンは和食と合わせやすいですし、国産小麦のパンはお米と共通する風味がある。そうしたパンを選んで日本酒と合わせてもいいでしょう。
試すときはぜひ、冷酒や燗酒といったように、日本酒の温度を変えてみてほしいと思います。パンをトーストして食べることがあるように、温度を変えることで味わいは大きく変わりますからね」
ここからはさまざまなパンを食べ続けてきた池田さんが考える、『久保田』の中でも味わいのタイプが異なる4銘柄に合うパンをご紹介。
比較的手に入りやすいパンの中から「おすすめのペアリング」を考えてもらいました。
「『久保田 萬寿』の熟した桃やメロンを彷彿とさせる華やかでフルーティーな香りと、しっかりと深みのある味わい。これにぜひ合わせてもらいたいのは『クリームパン』です。
上品な萬寿の風味と相まって、クリームパンそのものの味わいも格上げされることでしょう。フルーツが入ったデニッシュ・あんぱん・生ハムの入ったパンなんかもハマるはずです」
「今回のお話をいただいて『久保田 純米大吟醸』を飲んだとき、パッと脳内にひらめいたのが『このお酒はフレッシュチーズと合うに違いない!』ということ。さっそくモッツァレラチーズを使った『カプレーゼサンド』を合わせてみたところ、とてもバランスが良く、互いを高め合うようにマッチしました。
『久保田 純米大吟醸』は、飲み口も香りも舌に残る味わいも、とても”今”っぽいお酒。ワインが合う食べ物であれば絶対に合います。定番のクリームチーズを塗ったベーグルや、意外にメロンパンももマッチすると思いますよ」
「『お寿司屋さんで刺身を肴に飲みたい酒だなぁ』『さすが魚を主食としてきた国の酒だなぁ』そんな連想から選んだのが『サーモンサンド』です。
『久保田 碧寿』の、山廃仕込みでありながらも軽やかでシャープなのど越しには、絶対にシーフードが合うと思います。なので、ツナサンド・サバサンド・バインミーなどもおすすめ。魚独特のクセを、碧寿のどっしりとした旨味がまろやかにまとめてくれる、そんな組み合わせです」
「カジュアルな印象なのに、上質な旨味を感じさせてくれる『久保田 千寿 純米吟醸』。とてもやわらかい飲み口なのに、独特のスパイシーさを感じたので、合わせるなら『カレーパン』がいい!と思いました。できればカレーパンはトースターで温め、スパイスの香りを高めてから食べてみてください。
また、千寿 純米吟醸は気取らずに飲みたいお酒というイメージがあるので、ハムカツを挟んだコッペパンなどの惣菜パンや、ベーコンエピのような油分の多い食材を使ったパンも合うと思います」
日本酒とパン。酵母でつながる異種格闘技的な世界はいかがでしたか?
日本酒の新たな魅力を発見し、知られざる実力を体感するためにも、ぜひ“日本酒でパン呑み”を楽しんでみてください。
Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara