徳利で日本酒をもっと楽しく。選び方や使い方をご紹介
2021.09.23

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徳利で日本酒をもっと楽しく。選び方や使い方をご紹介

室町時代から使われていたとされる、日本の伝統的な酒器である徳利(とっくり)。日本酒は酒器によっても味わいが変わると言われます。こだわりの徳利を選ぶことで、日本酒の楽しみ方がさらに広がります。この記事では、徳利の種類や選び方、使い方を紹介します。

目次

  1. 徳利の基礎知識
    1. 徳利とは
    2. こんなに豊富!徳利の種類
    3. 徳利に似た酒器も
  2. 徳利の選び方
    1. 機能性をチェックして選ぶ
    2. 酒に合わせて選ぶ
  3. 徳利の使い方と洗い方
    1. まずは、燗酒の温度の呼び名を知ろう!
    2. 徳利でお燗をつける方法【鍋編】
    3. 徳利でお燗をつける方法【レンジ編】
    4. 徳利の洗い方
  4. 徳利にまつわる酒席でのマナー
    1. お酌をする時のマナー
    2. お酌を受ける時のマナー
  5. 徳利で日本酒をもっと楽しむ

徳利の基礎知識

通い徳利

通い徳利

徳利は、首の部分が細く下が膨らんだ酒を注ぐための酒器です。ここでは、徳利の歴史や種類について紹介します。

徳利とは

徳利は、首の部分が細く、下が膨らんだ形の酒器で、酒を盃に注ぐのに用いられます。語源には諸説ありますが、酒を注ぐときに「とくりとくり」と音を立てることからその名が付いたとも言われています。

徳利が使われるようになったのは室町時代後半ごろ、酒や醤油などの保管や運搬に使われていたとされています。徳利という名称は江戸時代から使われ始めたようで、「通い徳利(どっくり)」という制度ができ、酒屋では店名が書かれた徳利を貸し出し、客は酒を持ち帰っていたのです。
現在では日本酒は瓶などに入れて売られていますが、昭和初期ごろまでは酒屋では酒を徳利に入れて売るのが一般的でした。

こんなに豊富!徳利の種類

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徳利の素材は陶磁器やガラス、錫などさまざまな種類があります。サイズは大きなものだと1升(1.8ℓ)分もありますが、1合(180㎖)から2合(360㎖)分が一般的です。

徳利の代表的なものには、らっきょうに似た形の「らっきょう徳利」、芋のように膨らんだ「芋徳利(いもどっくり)」、鶴のように首が細長い「鶴首徳利(つるくびとっくり)」、ひょうたんに似た形の「瓢徳利(ひさごとっくり)」などがあります。しかし、これらの名称を知らない人は少なくはないようです。

他には冷酒用徳利として、「氷ポケット」がついたものも。日本酒の味わいを薄めずに冷やせて、涼しげな見た目は夏にぴったりです。するめで作ったイカ徳利などというものもあります。燗酒を入れるとイカの風味が溶け出し、独特の味わいが楽しめます。

徳利に似た酒器も

酒を注ぐ酒器にはさまざまな種類があります。ここでは、徳利以外の酒器を簡単に紹介します。

銚子(ちょうし)
長い柄のついた、金属や木製の酒器のことを指します。元はあらたまった宴の席で使われていました。しかし現在では銚子を使う店は少なくなっています。店で「お銚子1本」と言えば注文は通りますが、ほとんどの場合徳利で出されるようです。

片口(かたくち)
お椀のような形をしていて、一カ所に注ぎ口がついた酒器。冷たい酒を入れるのに使われたり、ヒレ酒などの香りを楽しむような酒に使われたりしています。

ちろり
お酒を温めるための器で、「ちろり」とすぐに温まるところからの名称です。錫や銅、真鍮などで作られていて、中に酒を入れ器ごと湯につけて温めます。

酒筒(さかづつ)
スノーピークが開発した、持ち運びに便利なチタン製の酒器「酒筒 Titanium」。職人の技が光る、すっきりとシェイプされたフォルムの酒器です。容量はお酒3合が入る540ml。
シングルウォールと呼ばれる造りになっており、冷たい水に浸しているだけでもしっかりと冷え、適温をキープしてくれます。アウトドアで日本酒を楽しみたい時に最適です。

snowpeakの酒筒

徳利の選び方

燗徳利

酒の温度や種類、飲むシーンによって、徳利の選び方も変わってきます。ここでは、徳利を選ぶ時にチェックしたいポイントを紹介します。

機能性をチェックして選ぶ

徳利を選ぶ時に確認しておきたいのが機能性です。燗酒を楽しみたいなら、湯煎できるかどうかチェックを。電子レンジで加熱可能かどうかも確認しておきましょう。
徳利に酒を注ぐ時、漏斗(ろうと)を使わずに入れたい人は、徳利の口が広めのものを選ぶとよいでしょう。

酒に合わせて選ぶ

酒に合わせて酒器を選ぶのも日本酒の楽しみ方のひとつです。飲む酒のタイプによって、合う徳利の容量や素材も変わります。

例えばよく冷やした冷酒には、ぬるくなる前に飲み切れるよう小ぶりの徳利を。燗酒をゆっくりと飲むなら、大ぶりの徳利が良いでしょう。温度の変化とともに、酒の味わいが変わるのを楽しむことができます。

徳利の素材によっても印象が変わります。キリリと冷やした大吟醸酒にはガラス、純米酒を燗酒で楽しむなら、味をやわらかくすると言われている陶器の徳利が良いでしょう。

徳利の使い方と洗い方

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お気に入りの徳利を使えば、家飲みもぐっと盛り上がるはず。ここでは、徳利を使ったお燗のつけ方と、徳利の洗い方を紹介します。

まずは、燗酒の温度の呼び名を知ろう!

日本酒の温度帯

日本酒は温度によってそれぞれ違った呼び名が付いています。

人肌燗(35℃前後):米麹のやわらかな香りが引き立ちます。
ぬる燗(40℃前後):香りが豊かになります。
上燗(45℃前後):引き締まった香りと味わいが楽しめます。
熱燗(50℃前後):香りも味わいもシャープに。辛口を好む人におすすめです。

名前さえ知っていれば店でたしなむ時も、飲もうとしている日本酒に合わせたり、その日の気分に合わせて変えたりできます。覚えておいて損はありません。

徳利でお燗をつける方法【鍋編】

おいしい燗酒を味わうなら、均一に熱を伝えやすいとされている鍋を使った方法がおすすめです。酒を入れた徳利の口にラップをすると、香りが飛ぶのを防げます。

①鍋に水を入れ沸騰させます。徳利が半分浸かる量が目安です。
②沸騰したら火を止め、9分目まで酒を注いだ徳利を浸けます。
③温度計を使い、好みの温度に仕上げます。

徳利でお燗をつける方法【レンジ編】

レンジを使えば気軽にお燗をつけられますが、ムラができやすいため工夫が必要です。

①徳利の9分目まで酒を入れます。加熱すると酒の体積が増え、溢れることがあるので注意します。
②徳利の口にラップでふたをして加熱します。
③設定時間の半分を目安に一度取り出し、酒の温度を均一にするため徳利を軽く振る、もしくはマドラーなどを使って混ぜます。
④再度レンジに入れ、好みの温度まで温めます。

レンジでの加熱時間は、1合(180㎖)を500Wで50秒程度温めると、ぬる燗程度に温まります。レンジの機種により加熱時間は異なるので、様子を見ながら加熱するのがおすすめです。電子レンジでは使用できない徳利もあるので注意しましょう。

徳利の洗い方

徳利を使った後は、しばらくお湯に浸しておき、器にしみこんだお酒の成分を抜きます。その後、細長いブラシを使って洗いましょう。徳利洗浄専用のブラシも販売されていますが、急須などの「注ぎ口用」のブラシでも代用できます。

カビを防ぐため、しまう前にはよく乾燥させてください。キッチンペーパーなどの破れにくい紙を中へ入れると乾きやすくなるのでおすすめです。

徳利にまつわる酒席でのマナー

日本酒を注ぐ

目上の方とのお酒の席で、マナーが気になったことはありませんか?ここでは、徳利にまつわるマナーを紹介します。

お酌をする時のマナー

お酌をする時は、右手でとっくりの中心あたりを持ち、左手を添えて支えるようにします。徳利が盃に触れないように注意しながら注ぎましょう。注ぐ量は、杯の7~8割程度まで。盃いっぱいに注ぐのはマナー違反とされています。注ぎ終わりに右手首を少しひねると、しずくが垂れるのを防げます。

中身を確かめるための「のぞき徳利」や「振り徳利」、残っている酒を一本のとっくりに集める「併せ徳利」、飲み終わった後の「倒し徳利」はマナー違反です。また、相手がテーブルの上に置いている盃へ勝手に注ぐのは避けましょう。

お酌を受ける時のマナー

お酒をすすめられたら、盃を両手で持つのが基本です。右手の親指と人差し指でしっかりと持ったら、中指と薬指は挟むようなかたちで底に添えてください。左手は底を支えるようにして添えましょう。

盃に残っている酒に口をつけてから、お酌を受けるのが正しい作法とされています。また酒を注いでもらったら、口をつけてからテーブルに置くのがマナーです。

徳利で日本酒をもっと楽しむ

徳利のある食卓

素材も形も様々なものがある徳利。酒を注ぐ時の「トクトク」という小気味よい音は、日本酒の楽しみ方をさらに広げてくれます。その日のお酒や料理に合わせて、酒器をコーディネートするのも素敵です。こだわりの徳利で、日本酒をもっと楽しんでみませんか。