日本酒「久保田」のランクや価格は?香り・味わい・造りを社員が独自解説
「久保田」といったら萬寿や千寿が有名ですが、実は10種類以上あり、香りや味わい、造りがそれぞれ異なります。本記事では、「久保田」商品を価格順に並べ、朝日酒造・研究センターの中村さんの解説とともにご紹介します。
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「久保田 千寿」「久保田 萬寿」などの「寿」シリーズから始まり、アウトドアで楽しむ「久保田 雪峰」、はたまた「久保田 ゆずリキュール」と、全17種類まで幅を広げた久保田。本記事では、その17銘柄の味わいや特長をそれぞれ紹介します。ぜひ、久保田を選ぶ際の参考にしてみてください。
目次
朝日酒造は、1830(天保元)年に「久保田屋」の屋号で創業した老舗の酒蔵です。
この屋号を冠した淡麗辛口の「久保田」が発売されたのは1985年。日本酒は甘口で濃厚な味わいのものが常識とされていた中で、朝日酒造は「これからは飲み飽きない淡麗辛口の日本酒が求められる」と確信し、「久保田」を打ち出しました。
シャープなキレと飲み飽きしない味わいは衝撃をもたらし、従来の日本酒のイメージを180度変えました。
「酒の品質は、原料の品質を超えられない」をポリシーに、米や水にも強いこだわりを持っています。淡麗辛口の味わいを生み出すのに最適な酒米「五百万石」は、地域の契約栽培農家によって多くが栽培され、厳格な品質管理のもとに使用。仕込み水には、新潟県内でもとりわけ清らかな軟水が使われていて、「久保田」の味の源となっています。
そして、「人」。朝日酒造のある越路地域は、日本三大杜氏の一つである越後杜氏のなかでも、「越後四大杜氏集団」と言われた「越路杜氏」を輩出した土地。その越路杜氏の智慧と技を受け継ぎ、その志のもと、品質本位の酒造りを追求しています。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2023年2月13日現在のものです。
久保田のラインアップのひとつが、「久保田 萬寿」ラインという特別な時を味わうプレミアムライン。
深みのある味わいと香りの調和を追求した、純米大吟醸酒です。
1985年の「久保田 千寿」「久保田 百寿」の発売に続き、1986年に生み出された「久保田 萬寿」。当時としてはトップの50~40%の精米歩合や、山廃仕込みの採用など、常識にとらわれない挑戦の末に誕生しました。
そして、2020年4月にさらにクオリティアップ。基本理念はそのままに、時代に合った新しい美味しさを追求すべく、製造工程などを徹底的に見直し、華やかな香りと重厚な味わいを引き出しています。
麹から生まれるふくらみのある柔らかさの中に、うま味・甘味・酸味が調和し、心地よい余韻が喉元まで続き、上質な時を彩ります。
1,800ml 8,818円(税込9,699円)
720ml 3,987円(税込4,385円)
「久保田 萬寿 自社酵母仕込」は、萬寿をさらに進化させた渾身の一品。酒米、精米方法、自社酵母の三つにこだわり、蔵人も生産に携わった地元の「五百万石」を精米歩合40%まで磨き、自社で開発した酵母で仕込んでいます。
開発にあたっては、萬寿ファンのお客様へのヒアリングを実施。そこから導き出されたのは、萬寿らしさを踏襲しつつ、より香り高い酒質でした。
何度も試験醸造を重ね、"萬寿らしい"深みのある味わいと香りの調和を実現。エレガントで重層的な香りと、まろやかなコクを表現した「久保田 萬寿 自社酵母仕込」が誕生しました。
就職や結婚、新築、昇進や還暦のお祝いなど、人生の節目を彩る特別な一本にいかがでしょうか。
720ml 11,307円(税込12,437円)
「久保田 萬寿 無濾過生原酒」は、もともとは久保田の名前をつけずに、「無濾過生原酒」の名で飲食店限定で出していたお酒です。出荷本数も少なく、限られた飲食店にしか置いていないことから“幻の酒”とも言われていました。
もろみを搾った後一切手を加えずに、すぐに壜詰めしているので、萬寿の搾りたての瞬間を楽しめます。
濃厚で深い味わいをもちながらも、柔らかくなめらかな口当たりが特長。素朴で、上質な搾りたての味わいは、寿司、天ぷら、懐石など、ハレの日の食事にもよく合います。
1,830ml 10,568円(税込11,624円)
720ml 5,267円(税込5,793円)
もうひとつのラインアップが、「久保田 千寿」ライン。いつもの食事をより特別に美味しく味わうデイリーラインです。
食事と合うすっきりとした味わいを追求した、吟醸酒・純米吟醸酒の顔ぶれです。
恒久の寿を願う酒として1985年に発売された「久保田 千寿」は、久保田の原点となるお酒です。淡麗辛口という日本酒の新たな方向性を確立しました。
2020年のクオリティアップでは、千寿のすっきりした味わいを踏襲しつつ、やわらかさを出すことを目指しました。低温かつ精度の高い発酵経過を心がけ、麹の働きを最大限発揮させることで、綺麗ですっきりとした淡麗な味わいはそのままに、味わいの幅も生み出しました。
喉をさらりと通り抜けるキレの中に、米が持つうま味と酸味、ほのかな余韻や甘味を感じられます。
料理の味を邪魔することなく、四季折々の素材が持つ味と香りを引き立てる、“食事と楽しむ吟醸酒”です。
1,800ml 2,588円(税込2,846円)
720ml 1,157円(税込1,272円)
300ml 538円(税込591円)
こちらは冬だけのお楽しみ、千寿の搾りたて生原酒です。
前身は、久保田の発売20周年に数量限定で発売した「久保田 20周年記念酒 千寿 生原酒」でした。反響を得て、2010年に季節限定商品「久保田 生原酒」として発売が開始し、2020年1月に「久保田 千寿 吟醸生原酒」として生まれ変わりました。
搾りたてのフレッシュな口当たりと、原酒ならではの濃厚な味わい、そして、力強い香りが特長のお酒です。もちろん、千寿本来の飲みやすさとキレもそのまま。さっぱりとした料理でもコクのある料理でも、冬の味覚にぴったりの一杯です。
よく冷やして、氷を入れてロックで、またソーダ割りにして…お好みの味わいでお楽しみいただけます。
1,830ml 3,318円(税込3,649円)
720ml 1,497円(税込1,646円)
「久保田 千寿 純米吟醸」は千寿をベースに、時代に合わせて和洋中さまざまな料理にマッチする酒質を実現したお酒です。2019年秋に久保田初の料飲店先行発売商品として誕生した後、反響を得て2020年5月より一般発売しています。
千寿ゆずりの清らかなキレを感じるバランスのとれた味わいで、料理を邪魔しない食中酒に仕上がっています。
冷やすとほどよい酸味とキレを、常温になると酸味がたち、うま味の余韻を感じられます。さっぱりとした料理はもちろん、バターやマヨネーズなどを使ったコクのある料理とも相性の良い純米吟醸酒です。
1,800ml 3,018円(税込3,319円)
720ml 1,397円(税込1,536円)
300ml 698円(税込767円)
秋あがりとは、夏を越え秋まで熟成させたお酒のこと。「久保田 千寿 秋あがり」は、冬に仕込んだ千寿の原酒をじっくり熟成させました。搾りたてならではの濃厚な味わいが、丸みを帯びた味わいへと変化しています。
冷やすと、千寿ならではのキレとやわらかな酸味を、常温でとろっとした口当たりとうま味を楽しめます。
お酒をメインにじっくり楽しむのはもちろん、秋に旬を迎える茄子やさつまいもなどの野菜や、秋鮭をはじめとした上品なうま味のある魚介類や肉類とも相性のよい一杯。
720ml 1,547円(税込1,701円)
萬寿や千寿の他にも、久保田の銘柄はたくさんあります。それぞれの味わいや、特徴を表す個性的な名前にも注目してみてください。
「久保田 碧寿」は1988年に誕生した、伝統的な山廃仕込みによる純米大吟醸です。当時は吟醸酒がブームで、冷酒向きのお酒が主流の中、「お燗向きの吟醸酒が欲しい」というお客様の声をカタチにすべく、お燗でも楽しめるコクのある味わいに仕上げています。
名前には、澄明な深い色あいを意味する「碧」の字を用い、懐深い味わいを表現しました。
山廃仕込みならではのどっしりとしたうま味を感じさせながらも、爽やかでシャープな酸味、キレのある軽いのど越しが特長です。
ぜひ燗酒にして、うま味、深みをご堪能ください。
1,800ml 5,498円(税込6,047円)
720ml 2,457円(税込2,702円)
朝日酒造がある越路地域は「もみじの里」であることから、「紅葉の里で醸した純米酒」というコンセプトのもと、1993年に誕生しました。
「久保田 紅寿」は爽やかな青リンゴのような香り、やさしい口当たりとほのかな甘味の中に、ドライさが感じられる味わいが特長。しっかりとした飲み口なので、コクのある料理と相性が良いです。
冷酒、常温、ぬる燗と幅広い温度帯で楽しめます。
1,800ml 3,525円(税込3,877円)
720ml 1,610円(税込1,771円)
1985年に誕生した、「久保田」の基本形。淡麗辛口という日本酒の新たな方向性を確立しました。
香りの主張は控えめに、辛口で飲み飽きしない酒質に仕上げています。ふくらみのある辛味や酸味があり、飲んだ後はドライさを感じます。
シンプルな肴とともに、また、飲み疲れしないキレのため、酒だけでも楽しめる一杯。
1,800ml 2,143円(税込2,357円)
720ml 987円(税込1,085円)
加熱殺菌をいっさいせず、低温貯蔵により若々しい味わいに仕上げた「久保田 翠寿」。
久保田の生酒が欲しいという酒販店の声から、1987年に誕生。乳幼児(みどりご)のように、生まれたばかりのものを「みどり」と称すことから、若々しい味わいを表す「翠」を用いた名が付けられました。
清々しい華やかな香り、軽やかな味わいと上品な甘味、そして、華やかさの後に瞬く間に心地よいキレが訪れます。よく冷やしてから飲むと、華やかな香りと瑞々しい味わいを一層楽しめます。
優しいハーブやスモーク素材などを使った冷製料理と相性が良いです。
720ml 3,027円(税込3,329円)
「久保田 雪峰」はスノーピークと共同開発した、「アウトドアで日本酒を楽しむ。」がコンセプトの特別な久保田です。従来の久保田とは一線を画す装いや、誕生エピソードを紹介します。
こちらは、スノーピークとの共同開発商品として誕生した最初の商品です。夜をイメージした、漆黒のボトルに黒で刻まれた久保田の文字は、まさにコラボならではの斬新なデザイン。そのシャープな佇まいに、久保田の真骨頂である圧倒的なキレを表現しています。
キャンプで味わう濃い味付けの料理に負けない酒質を追求し、試行錯誤の果てにたどりついたのは、山廃仕込みによる懐の深い味わいでした。
冷やすとシャープで軽快な旨みや酸味が、温めると潜在的に持つ甘みや酸味のまろやかさが際立ちます。焚火を囲み、仲間と語らいながら、一杯楽しんでみてはいかがでしょうか?
500ml 3,100円(税込3,410円)
オールブラックの「久保田 雪峰」と対をなす、「爽醸 久保田 雪峰」。「春から夏にかけての陽射しのなかで、スーッと清涼感を感じられるようなイメージ」をデザインと味わいで表現しました
「久保田 雪峰」は秋冬の夜に楽しみたい懐の深い味わい、「爽醸 久保田 雪峰」は春夏の日中にぴったりな軽やかな味わいです。
マスカットやマスクメロンのような爽快でフレッシュな香りとともに、甘味・酸味の調和の中に、米のうま味がほんのり広がります。
春のほろ苦さを感じる山菜など、春の食材を使ったアウトドア料理とマッチします。
500ml 3,100円(税込3,410円)
「日本酒がはじめての方にも、ひと口目で実感できる美味しさ」というコンセプトのもと、2017年春に誕生。2020年10月には、洋食やカジュアルな飲みのシーンにも自然に溶け込む新デザインになりました。新たに300mlの商品も登場し、「いろいろなお酒を飲み比べたい」という人にもぴったりです。
上質で華やかな香り、甘味と酸味が調和した味わい、久保田らしいキレのよさが、口の中でハーモニーを生み出します。
友人との気軽な家飲みや行きつけのバルで。もちろん、気取らないプレゼントにも。上質な日本酒を、カジュアルに楽しみたい方におすすめの一本。
1,800ml 3,688円(税込4,056円)
720ml 1,707円(税込1,877円)
300ml 813円(税込894円)※化粧箱なし
春限定で出荷されているすっきりフルーティーな"にごり酒"、「久保田 純米吟醸にごり」。
にごり酒は、一般的には豊潤で濃厚な味わいが特徴ですが、にごり酒を苦手とする理由の一つがどろっとした口当たりという声もありました。その声を受け、すっきりで口当たりなめらかな飲みやすいにごり酒として、2022年に誕生しました。
キメ細やかなオリ(滓)にすることで実現したさらっとした口当たりとともに、純米吟醸ならではの華やかな吟醸香が広がります。味わいはふくらみがありながらも、シャープな甘味とキレのある後味が特長です。
よく冷やしてお楽しみいただく他、いちごなどのフルーツやスパイスなどを使ってアレンジして飲むのもおすすめです。また、うま味のある肉料理や香辛料の効いた料理などとお楽しみください。
720ml 1,287円(税込1,415円)
「久保田 スパークリング」は2021年に誕生したスパークリング日本酒です。若い人たちに久保田を飲んでもらうきっかけとなる商品を目指して開発されました。他の久保田と同様に、原料米として新潟県産の五百万石を使うことで、純米酒ながら久保田ならではの“キレ”のある味わいに仕上がっています
ベースとなる純米酒の味わいを引き出すため、アルコール分は12度と一般的なスパークリングワインと同程度にしています。甘酸っぱい味わいでボリュームはありながら、後味すっきり。シュワっと心地よく弾ける炭酸や、マスカットのような爽やかな香りが、気分をリフレッシュさせてくれます。
キリッと冷やしてさらに飲みやすく、冷凍フルーツやジュースを加えて、アレンジを楽しんでみるのもおすすめです。
500ml 1,295円(税込1,424円)
「久保田」ブランド初のリキュール。高知県産の香り高い本柚子を使った、果汁感と日本酒感のバランスがよい一品です。フルーティーでありながら、久保田らしいキレも楽しめます。
商品開発の際、アルコール度数を複数パターン作成し、消費者調査も実施しました。5度は飲みやすいがジュースのよう、13度になるとお酒が苦手な人にとってはアルコール感が強いなどのコメントがあり、最終的に果汁感と日本酒感のバランスが良いというコメントが多かった9度が採用。
軽やかな飲み口なので、普段日本酒をあまり飲まない方や、初めての方にもおすすめのゆずリキュールです。
ストレートやロックはもちろん、寒い日はホットもぴったり。また、ゆずリキュールは主張が強すぎないからこそ、+aの材料を加えてアレンジを楽しんでみるのもおすすめです。
720ml 1,395円(税込1,534円)
同じ「久保田」の名がついていても、銘柄により造りや味わいは実にバラエティに富んでいます。ここで紹介した内容を手掛かりに、シチュエーションや料理などに合わせて、自分好みの味わいを見つけてみてくださいね。