忘年会シーズン到来!効果的な二日酔い対策は?
長いコロナ禍もすっかり日常へ戻り、今年の年末は、昨年よりも増して忘年会が催されることでしょう。職業によっては、お付き合いで連日参加という方もいるかもしれません。そんな時に最も避けたいのは、二日酔い。ここでは、二日酔いを避けるための対策をいくつかご紹介します。
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せっかく美味しいお酒を楽しむなら、二日酔いのつらい症状は避けたいものです。本記事では、普段からお酒を造るだけではなく、飲む機会も多い酒蔵で働く社員が実践している「次の日にお酒を残さないマル秘テクニック」をたっぷり紹介します。
目次
杜氏といえば、蔵人のトップに立つ酒造りの責任者であり、日本酒のことを知り尽くした人物です。そんな杜氏がどんな二日酔い対策をとっているのか、新潟県の酒蔵・朝日酒造で活躍する2人の杜氏に聞きました。
松籟蔵の大橋杜氏が実践しているのは、寝る前にコップ2杯以上の水を飲み、薄着をせずに寝ること。新入社員の頃に先輩の蔵人から聞いた「飲んだ酒と同じくらいの水を飲めば二日酔いしない」という教えをずっと実践しているそうです。
寝るときに薄着をしないのは「体を冷やすより温めた方が内臓の活動が良いのかなって思っています。根拠はありませんが…」とのこと。体を温めることで、二日酔いの原因となる有害物質の排出を促進する働きも期待できそうですね。
朝日蔵の山賀杜氏に二日酔い対策を尋ねたところ、「頭が痛いときは、痛み止めを飲むくらいなので人様に教えるほどではありません」。酒造りへの真摯な姿勢と同じように、山賀杜氏らしい真摯な回答が返ってきました。
二日酔いとは、酒などのアルコール飲料を飲みすぎて、体内で有害物質を十分に処理しきれなくなる状態のことです。二日酔いにならないために、飲む前から飲み過ぎないよう対策を取りましょう。
お酒の強さはかなり個人差があり、肝臓のアルコールを代謝する能力の差によって左右します。二日酔いを防ぐには自分にとっての「適量」を知り、飲みすぎないように気を付けることが大切です。体調不良時や薬を服用している場合にも二日酔いの症状が出やすくなりますので、なおさら酒量には注意を払いましょう。
空っぽの胃にお酒が入ると、胃壁からアルコールが急速に吸収されて肝臓で代謝しきれなくなってしまいます。これを防ぐにはお酒と一緒に食事や水分を摂取するのが効果的ですが、状況によっては難しい場合もあるでしょう。お酒の席に向かう前に小腹を埋められるものを食べ、水分をとるなどしてアルコールの吸収を抑えましょう。
続いて、朝日酒造の社員達が実践している「飲む前の二日酔い対策」を紹介します。
「前の日にたくさん寝る!睡眠不足はお酒の敵!」
睡眠不足や疲れているときには、いつもよりお酒の回りが早く感じることもあります。お酒を楽しむために、前日はしっかり睡眠をとっておきましょう。
「満腹より空腹!昼ごはんを少なめにすると、二日酔いになりにくい。信じるか信じないかはアナタ次第です。」
一般的に、空腹状態でお酒を飲むと酔いが早くなるものなので、昼食は抜かずにとることをおすすめします。あえて量を少なくすることでどうなるか…試してみてはいかがでしょうか?
「飲み会の1時間前にウコン入りの栄養ドリンクを飲む。」
「ヨーグルトを飲んでおいて胃に膜を作る。時間があれば軽く固形物を胃に入れてから飲み会に参戦。」
ウコンには胃腸を整え、肝臓のはたらきを助ける効果があると言われています。お酒を飲む30分ほど前にウコン配合の栄養ドリンクを飲んでおくと、アルコール分解を助ける効果が期待できそうです。
ヨーグルトは胃粘膜を保護するはたらきがあると言われていますが、実際には乳製品に含まれるたんぱく質が肝臓の働きを助け、アルコール分解を促進するほうが期待できます。その意味では、飲む前にヨーグルトで軽食をとっておくのも良い方法です。
お酒の飲み方を間違えると二日酔いになったり、飲んだ後に体調を崩したりすることがあります。以下に紹介するポイントを守り、適切なお酒の飲み方を心がけましょう。
ゆっくり飲むことでアルコールがゆっくり胃に吸収され、肝臓への負荷を軽減できます。飲む量自体も抑えられるため、飲み過ぎ予防にもつながります。のど越しの良い冷酒だとつい杯を飲んでしまうという人は、食中酒として燗酒を選びましょう。燗酒なら飲む量が抑えられる上、肝臓への負担が少ないというメリットもあります。
二日酔いを防ぐためには、お酒は食事と一緒に楽しむことがポイント。胃の中に入った食べ物が膜を作って胃の粘膜を保護するため、アルコールがゆるやかに吸収されます。
さらに食べながら飲むことで、お酒を飲むスピードがゆっくりになり、飲酒量も抑えられます。おつまみには、アルコールの吸収を穏やかにするといわれるたんぱく質が豊富な豆腐や肉、魚などがおすすめです。
お酒と一緒に和らぎ水をこまめに飲むと、アルコールによる脱水症状を防ぎ、血中のアルコール濃度を薄める効果があると言われています。お酒と同量、あるいはそれよりも多いぐらいの量を目標に和らぎ水を少しずつ飲みましょう。お酒を飲み終わってから一気に水を飲むよりも、お酒と和らぎ水を交互に飲み進めるほうが飲酒量も抑えられるのでおすすめです。
飲んでいる時にどんな対策をするかでも、翌日の体調が変わります。飲んでいる最中の二日酔い対策を紹介します。
「水などを冷水ではなく常温で飲む。」
「トイレが近くなり、そろそろ危険だなと思ったら、その判断ができるうちにコーラに切りかえる。 」
冷水に比べて内臓への負担をかけにくい常温で和らぎ水を飲むのは良い方法です。
体内でアルコールを分解している間は低血糖状態になりやすいため、コーラに含まれるブドウ糖の摂取は理にかなっているのかもしれません。
「たくさん笑って、たくさん話す!(できればたくさん歌う!)」
「飲みすぎてきたと感じたら、二日酔いした時に妻に言われた『酒蔵で仕事してるのに二日酔いするほど飲むとはアホや』を思い出す。」
お酒として飲むアルコール(エタノール)は、呼気からも排出されるので、たくさん会話をしたり歌ったりする対策方法も有効かもしれません。
大なり小なり、お酒での失敗談を持つ人なら、誰かに言われた言葉を思い出す方法は試す価値はありそうです。
「家飲みの時は、日本酒を自社サンプル用の小型の瓶に詰め替えて、その分だけ飲む。それでも足らないときは、ノンアルコールの空き缶に水を入れて飲んだ気になっています。視覚的、物理的な制約を設けて気持ちのコントロールをしています。 」
「お酒を飲みすぎない」というのは、二日酔い防止に最も効果的な対策です。どうしても飲みすぎてしまうという人は、試してみてはいかがでしょうか。
お酒を飲んだ後の対策には、どんなものがあるのでしょうか。酒蔵で働く社員達の声をもとに考えていきましょう。
「濃いカテキン飲料を飲む!」
「飲んだ後、寝る前までに水を1リットル以上飲む。ちなみに台湾の方にも聞いてみましたが、飲んだ後に濃茶、はちみつを飲むそうです。」
「コーヒーを500mlくらい飲む!」
お酒と交互に常温の和らぎ水をとるなど、飲酒中の水分摂取は重要ですが、飲んだ後にもしっかり水分をとりましょう。
飲酒後はアルコールの利尿作用によって脱水症状になりやすく、アルコール分解に水が使われるため、体内の水分が不足しがちです。経口補水液を活用するのもおすすめです。
「ラムネやアイスを食べて糖分チャージ。」
「〆のラーメン(食事)を取らない!塩分はアルコール分解の敵!」
「〆にラーメンを食べる。二日酔いは軽減!体重は激増!」
みごと正反対の対策もありますが、お酒の後に食べたくなるものといえば、アイスなどの甘いものやラーメンなどが定番です。アルコール分解には体内の糖分が消費されるため、飲んだ後に糖分が欲しくなるのは人間として自然な反応と言えます。ただ、ラーメンは糖分だけでなく脂質や塩分も多く含むため、摂取量への注意も必要です。
「漢方の胃薬、百草丸を飲む。」
「ビタミンCが取れそうなものを冷蔵庫から探す。」
ビタミンCはアルコールの分解を助けるはたらきがあると言われています。飲むときは、胃腸薬やサプリメントなどをお守り代わりに常備しても良いかもしれませんね。
「歩いて帰って酔いをさます。」
「飲んだ後、歩く!タクシーに乗らない!徒歩1時間程度であれば歩いて帰ることも。」
「帰りは雨でも雪でも、タクシーには乗らずに歩いて帰ってアルコール消化時間を設ける。 」
「飲んだ日は、たくさん寝る!肝臓には睡眠が一番の薬!」
お酒を飲んですぐに眠るとアルコールの分解速度が落ちるため、歩いて時間を空けるのは良い対策です。ただし、酩酊状態で夜道を歩くのは危険が伴います。深酒をした日は、無理せずに電車やタクシーで帰宅し、寝る前の対策をしっかりとりましょう。その後は、たくさん睡眠をとって肝臓を回復させましょう。
帰宅しても酔いが残っている場合は十分な水分摂取が必要です。ここでは飲酒時の入浴についての注意点や、寝る前の二日酔い対策を紹介します。万全の対策を終えてから、しっかり睡眠をとりましょう。
入浴すると血流が良くなり酔いがまわりやすくなってしまうため、たくさん飲んだときは入浴を控えてください。さらに血圧の変化によって脳や心臓の発作が起きるリスクも考えられます。どうしても入浴する場合は、湯船に入らずにぬるめのシャワーなどで対応しましょう。
酔いが残っている場合、心配なのは睡眠中の脱水です。これを防ぐためには、帰宅後や寝る前にも水分摂取することが大切です。たくさんの水分でアルコール濃度を薄め、脱水状態を防ぎましょう。脱水気味だと自覚している場合には、電解質や水分をすばやく吸収できる経口補水液がおすすめです。
酒蔵の社員たるもの、翌日にお酒を残せません。二日酔い対策の仕上げとして、寝る前の対策をみていきましょう。
「結婚前、しこたま飲んで帰った晩、空腹を感じ冷蔵庫にあった柿を食べて就寝。次の日、気味が悪いくらいサッパリ目が覚め、朝から元気に仕事ができ、夜もまた楽しくお酒が飲めました。」
柿には、アルコール分解を助けるタンニンが含まれています。冷蔵庫に柿があるときは、ぜひ試してみてください。
「大量の水を飲む、アラームセットして夜中も起きて大量の水を飲む」
「寝る前に大量の水をがぶ飲み(500mlほど)」
「寝る前に牛乳を500ml飲む!」
睡眠中の脱水を防ぐために、寝る前にはたくさん水分を摂取しましょう。ただし冷たい牛乳を一気にたくさん飲むと、腸を刺激して腹痛が起きる可能性もあります。牛乳を飲みなれていない人は、水やお茶を飲みましょう。
「酔いがある程度さめるまで寝ない」
「深い口呼吸で寝る!呼気中のアルコール濃度が下がるような気がします。」
「ベッドで布団を掛けてしっかり寝る!ソファなどで寝ると二日酔い率が高い気がします。」
酔った勢いで眠ってしまうと、高確率で翌朝には二日酔いになってしまうでしょう。そればかりか睡眠の質も悪くなるため、疲れを残したまま朝を迎えることにもなります。
帰宅後はきちんと十分な水分をとり、リラックスできるパジャマに着替えて寝室で寝ましょう。
二日酔いになってしまった時は、まずしっかり水分補給をしてください。以下の対策をとっても症状がおさまらない場合は、医療機関の受診も検討しましょう。
二日酔いの症状が表れた時は、体内への吸収が良いスポーツドリンクを飲んで安静にしましょう。睡眠不足の場合は、睡眠をとることで二日酔いの回復を促せます。
多少落ち着いてきて胃のむかつきなどがなければ、塩分を含む味噌汁や果汁100%のジュース、お茶など、自分が飲みやすいもので水分をとりましょう。
食事ができる状態まで回復したら、無理のない範囲で食事をとります。疲れた胃への負担が少ないお粥やお茶漬けなど消化の良い物や、アルコールの分解を助けるビタミンを含んだオレンジやグレープフルーツなどの果物を少しずつ口に入れてみましょう。
数々の対策によって通常と変わらない朝を迎えられれば良いのですが、そうでない時はこんな対策が役立ちます。
「朝はポカリスエットで点滴の代わり。 」
「オレンジジュースを飲む。」
お酒を飲んだ翌朝も、十分な水分補給が必要です。水分や電解質をすばやく吸収するスポーツ飲料水や、アルコール分解を助けるビタミンが入ったオレンジジュースは効果的と言えるでしょう。
「大豆もやしのスープを作ります。イワシでだしを取り、もやし・ニンニク・塩を入れて、蓋をしたまま中火で蒸らします。もやしが透明になったら食べ頃です。」
大豆もやしはたんぱく質、葉酸、カルシウムなどの栄養素を多く含んでいます。スープにすることで水分もたっぷりとれ、一石二鳥の一品です。
二日酔いにならないために、最も大切なのは飲みすぎないことです。飲む前、飲んでいる時、飲んだ後、それぞれのタイミングでしっかり二日酔い対策を取り、つらい二日酔いは避けましょう。酒造社員直伝のマル秘テクニックも、ぜひ実践してみてください。
※本記事で紹介したテクニックはあくまで個人の意見です。