日本酒「久保田」のランクや価格は?香り・味わい・造りを社員が独自解説
「久保田」といったら萬寿や千寿が有名ですが、実は10種類以上あり、香りや味わい、造りがそれぞれ異なります。本記事では、「久保田」商品を価格順に並べ、朝日酒造・研究センターの中村さんの解説とともにご紹介します。
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2020年、「久保田」は発売35周年を迎えました。1985年の「久保田 百寿」「久保田 千寿」発売、翌年の「久保田 萬寿」発売に続き、その後10種類の新たな「久保田」を発売。本記事では、全13種類の誕生物語や味わいについてご紹介します。
1985年5月21日に誕生した日本酒「久保田」。「日本酒の失地回復を図り、日本酒を真に文化の香り高い国酒に育て上げる」というミッションのもと、当時の社長の平澤亨と工場長の嶋悌司が生み出した商品です。
"淡麗辛口”という日本酒の新たな方向性を確立。「久保田 千寿」「久保田 百寿」が多くのお客様からご好評いただいたことから、「さらなる奥の手を出そう」と蔵人たちの魂に火がつき、新商品への挑戦が始まりました。
目指すは、千寿・百寿よりワンランク上の「久保田」。当時ではトップとなる50~40%の精米歩合を目標値に設定しました。
使用する酒米「五百万石」を理想の品質に磨き上げるためには、最新鋭の精米機が必要であり、「精米棟」の建設に着手。酒造りが始まる秋頃には無事に竣工し、精米機が12台まで設置できる県内一の設備が完成しました。
竣工時は、7台の精米機でスタート。精米歩合に合わせた回転数や削り方はすべてコンピュータ―で制御し、24時間の運転可能、従来の2.5倍の十万石まで磨き上げられるように。無駄なく、精米度の高い米を、自社で、安定供給できるようになったのです。
「お客様に手の届かない“幻の酒”にはしない」という「久保田」発売からの想いの現れでした。
造りの面では、当時は速醸仕込みが主流だったところを、あえて手のかかる山廃仕込みを採用し、深みのある味わいを追求しました。さらに千寿、百寿との差を明らかにするため、醸造アルコールを添加しない「純米」に設定。
嶋と杜氏、蔵人たちで試行錯誤を重ね、ついに納得できる酒が出来上がりました。華やかな香りと柔らかさ、深みのある新たな「久保田」。精魂込めて仕上げた「久保田 萬寿」がついに誕生したのです。
「久保田」は、変わりゆく時代とお客様の声に耳を傾け、その声に応えるために挑戦を重ねる中で生まれてきました。1985年の「久保田 百寿」「久保田 千寿」発売、翌年の「久保田 萬寿」発売に続き、10種類の新たな「久保田」を発売しました。ここからは、全13種類の誕生や味わいについてご紹介します。
※こちらの記事内で紹介した商品の価格は2020年5月21日現在のものです。
「数多の寿を願う酒」というコンセプトのもと、1985年に誕生した「久保田」の基本形です。それまでになかった“淡麗辛口”という日本酒の新たな方向性を確立しました。
香りの主張は控えめで、辛口で飲み飽きしない味わいです。
軽く冷やしてすっきり飲むのがおすすめ。漬物や冷や奴などシンプルな肴と相性が良いです。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,010円
720ml 920円
「恒久の寿を願う酒」というコンセプトのもと、1985年に誕生した「久保田の原点」です。百寿と同じく、“淡麗辛口”という日本酒の新たな方向性を確立しました。そして発売35周年を迎えた節目の2020年、美味しさをさらに進化させました。
喉をさらっと通るキレの中に、米本来の旨味と酸味とともに、ほのかな余韻や甘味が感じられます。料理の味を邪魔することなく、旬の刺身や焼き枝豆など、四季折々の素材が持つ味と香りを引き立てます。
軽く冷やして、常温で、「いつもの特別」をお楽しみください。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,430円
720ml 1,080円
「万物の寿を願う酒」というコンセプトのもと、1986年に誕生。その名の通り、大切な人の誕生日や季節の行事、お祝い事など、特別な時を彩るお酒としてお楽しみいただきたい一杯です。
発売35周年を迎えた節目の2020年、美味しさをさらに進化させました。
華やかな香りと重厚な味わい、麹から生まれるふくらみのある柔らかさの中に、旨味・甘味・酸味が調和し、心地よい余韻が喉元まで続きます。
魚介の天ぷらや鯛めしなど、上品な旨味を引き出した料理と互いに高め合います。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 8,110円
720ml 3,640円
「久保田の生酒が欲しい」という酒販店からの声をカタチに、1987年に誕生。加熱殺菌を一切せず、低温で貯蔵することで若々しさを感じる、大吟醸の生酒です。
華やかな香り、軽やかな味わいと上品な甘味、そして、華やかさの後に瞬く間に心地よいキレが訪れます。乳幼児(みどりご)のように生まれたばかりのものを「みどり」と称すことから、若々しい味わいを「翠」で表現しました。
よく冷やしてから飲むと、華やかな香りと瑞々しい味わいを一層楽しめます。冷酒には、優しいハーブやスモーク素材などを使用した、冷製料理がおすすめです。
希望小売価格(税抜)
720ml 2,810円
「萬寿より手軽な価格の純米大吟醸酒が欲しい」という酒販店からの声をカタチに、1988年に誕生しました。
また、当時は吟醸酒ブームの最中で、飲み方の一つとして推奨されていた「冷酒」向きの吟醸酒が多くなっていました。そんな中お客様から、「お燗向きの吟醸酒が欲しい」との声が。このことがきっかけとなり、碧寿はお燗でも楽しめるコクのある吟醸酒を目指したのです。
澄明な深い色あいである「碧」で、懐深い味わいを表現しました。
山廃仕込みならではのどっしりとした旨味がありつつも、爽やかでシャープな酸味、キレのある軽いのど越しが特長です。
ぜひ燗酒にして、時間が経つにつれて変化していく味わいをお楽しみください。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 5,030円
720ml 2,230円
朝日酒造がある越路地域は「もみじの里」であることから、「紅葉の里で醸した純米酒」というコンセプトのもと、1993年に誕生しました。
当時発売されていた千寿と碧寿には千円近くの価格差があり、その間の価格帯を狙った商品として開発が始まりました。様々な価格帯を取り揃えることで、より多くのお客様に久保田を楽しんでいただきたいとの想いがあったのです。
若いバナナや青リンゴのような清涼感のある香り、やさしい口当たり・ほのかな甘味の中に、ドライさを感じます。
冷酒、常温、ぬる燗と幅広い温度帯で楽しめる久保田です。しっかりとした飲み口なので、合わせるお料理も、しっかりとした味付けがおすすめです。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 3,310円
720ml 1,500円
冬だけ楽しめる、久保田 千寿の搾りたて生原酒です。
前身は、久保田誕生20周年の記念に数量限定発売した「久保田 20周年記念酒 千寿 生原酒」。反響を得て、2010年に季節限定商品「久保田 生原酒」として発売が開始し、2020年1月に「久保田 千寿 吟醸生原酒」として生まれ変わりました。
搾りたてのフレッシュな口当たりと、原酒ならではの濃厚な味わい、そして、力強い香りが特長。
よく冷やして、氷を入れてロックで、またソーダ割りにして…お好みの味わいでお楽しみいただけます。おでんなど冬の味覚にぴったりの一杯です。
希望小売価格(税抜)
1,830ml 3,120円
720ml 1,400円
「日本酒がはじめての方にも、ひと口目で実感できる美味しさ」というコンセプトのもと、2017年春に誕生しました。前身は、2015年に数量限定で発売した「久保田 30周年記念酒 純米大吟醸」。反響を得て、季節限定商品「久保田 純米大吟醸」として2017年に発売が開始しましたが、若い世代の方も含めたより多くのお客様に、進化した久保田の美味しさを届けていきたいとの想いから、2018年より通年商品としての展開に踏み切りました。
フルーティーな香りと、甘味と酸味が調和した上品な味わいがあり、「久保田」らしいキレも併せ持つ純米大吟醸酒です。
ワイングラスで飲むと、さらに香り華やかに。乾杯酒として前菜と、スイーツなどのデザートとともにお楽しみください。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 3,400円
720ml 1,570円
「アウトドアで日本酒を楽しむ。」という新しいカテゴリーの創出を目指し、久保田初の共同開発商品として2017年夏に誕生。朝日酒造と同じ新潟から生まれた「スノーピーク」との共同開発です。
自然のなかで日本酒を味わい、友人や家族と語らう時間…そんなキャンプシーンを創る新たな日本酒を目指しました。
山廃酒母がもたらす絶妙に調和した懐の深い味わいが特長で、個性的で野趣あふれるアウトドア料理にもバランスよくマッチ。冷やすとシャープな酸味とキレのある後味が、ぬる燗だとまろやかで個性的な香味が際立ちます。
デザインは「夜」をイメージした漆黒で、シャープな佇まいに、久保田の真骨頂である圧倒的なキレを表現しました。
希望小売価格(税抜)
500ml 3,100円
「アウトドアで日本酒を楽しむ。」という新しいカテゴリーの創出を目指した「久保田 雪峰」に続く第二弾商品として、2019年春に誕生。
「久保田 雪峰」を夜、そして秋から冬にかけて飲むような懐の深い味わいとするなら、「爽醸 久保田 雪峰」は春の日中に楽しめる、軽やかな味わいに仕上げました。
マスカットやマスクメロンのような爽快でフレッシュな香りとともに、米の旨味がほんのり広がります。春のほろ苦さを感じる山菜などの旬の食材を使ったアウトドア料理とマッチします。
デザインは「久保田 雪峰」と対をなす、「昼」をイメージした透明フロストボトルで、春の爽やかさを表現しました。
希望小売価格(税抜)
500ml 3,100円
酒とお客様が出会う接点である料飲店で、改めて久保田を楽しんでいただきたいとの想いから、久保田初の料飲店先行発売商品として2019年秋に誕生。
久保田発売時の35年前とは食生活も変化した現代、日本酒の楽しみ方も、和食だけではなく、幅広い料理と楽しむように…そんな時代に合わせて、和洋中さまざまな料理に合う酒質を目指しました。
発売以降、反響を得て酒質への手応えを感じ、2020年5月より一般発売し、より多くのお客様にお楽しみいただける商品となりました。
「久保田 千寿」の綺麗ですっきりとした特長はそのままに、上品で澄んだ香りでバランスのとれた、料理の味を邪魔しない純米吟醸酒です。
冷酒、常温、ぬる燗と幅広く楽しめます。
希望小売価格(税抜)
1,800ml 2,800円
720ml 1,300円
300ml 650円
特別な時を味わうプレミアムラインの「久保田 萬寿」ラインの新商品として、2020年2月に誕生しました。もろみを搾った後一切手を加えずに、すぐに壜詰めした、“萬寿の搾りたて”です。
ほのかな黄金色の見た目と芳醇な香り。濃厚で深い味わいをもちながらも、柔らかくなめらかな口当たりが特長で。
冷やしてそのまま、氷を入れてロックもおすすめです。上質な搾りたての味わいは、寿司、天ぷら、懐石などの和食によく合います。
希望小売価格(税抜)
1,830ml 9,900円
特別な時を味わうプレミアムラインの「久保田 萬寿」ラインの新商品第二弾として、2020年5月に誕生しました。開発にあたりまずは、萬寿のどんな味わいが評価されてきたのかを複数の愛飲者からヒアリングしました。浮かび上がったのは、キレと存在感のある深みへの評価と、一方で、香りへの要望。そこで、萬寿らしさを踏襲しつつ、より香り高い酒質を目指しました。
蔵人も生産に携わった地元産の酒米「五百万石」を、自社でプログラムした原形精米により精米歩合40%まで磨き上げ、長年かけて育種した自社開発の酵母で仕込みました。酒米、精米方法、自社酵母の3つにこだわり醸した萬寿です。
重層的でエレガントな香り、深くまろやかな味わいながら、後味は透き通るようなキレを感じられます。
成人や結婚、還暦など、人生の様々な節目にお楽しみいただきたい一杯です。
希望小売価格(税抜)
720ml 10,000円
1985年5月21日に「久保田」は誕生し、今年で35周年。いつもの食卓に、特別な日の食卓に、これからも皆様の隣にいれますように…喜びのひとときを彩るのにふさわしい「久保田」の味わいを、これからも磨き続けていきます。