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日本酒と出汁を合わせて飲む「出汁割り」 そのベストな組み合わせは?
日本酒を出汁で割った「出汁割り」。おでん出汁で割るのが定番ですが、出汁にも色々種類があります。今回は、定番の出汁4種類と日本酒「久保田」を合わせてみました。どんなタイプの日本酒が出汁割りには合うのか、参考にしてみてください。
おでん屋から始まった「出汁割り」
「出汁割り」とは、その名の通り、日本酒を出汁で割る飲み方のことです。
もともとは、赤羽にあるおでん屋さんが始めたと言われています。そのお店では、ワンカップの日本酒が提供されており、最初はおでんとワンカップをそのまま楽しみ、日本酒を50ccほど残して追加料金を払うと、おでんの出汁を注いでくれます。お好みで七味を振りかければ完成。
日本酒初心者の人でさえも、出汁割りをしたくてこのおでん屋さんに足を運ぶという人が増えたほどです。
出汁割りの美味しさの秘密
出汁割りの美味しさには、きちんと理由があります。それは、基本五味が全て入っているからと言われています。
基本五味とは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つのことです。日本酒は、もともと甘味、酸味、苦味、うま味の4つを持っていて、塩味だけがないのです。そこで、塩味としての出汁が足されることで、五味が揃い完璧な味わいになるのです。
また、主なうま味成分にグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などがあります。日本酒や昆布出汁など植物由来のものにはグルタミン酸、鰹節や鶏など魚や肉由来の出汁にはイノシン酸、干ししいたけなどからとる出汁にはグアニル酸が含まれています。異なるうま味成分の相乗効果で、さらにうま味が増すのです。
出汁割りを美味しく楽しむ4つのポイント
①日本酒の選び方
出汁割りをする場合は、うま味がしっかりある純米酒や、さっぱりとしたあまり個性の強くない本醸造などがおすすめです。華やかな吟醸香がする大吟醸酒や吟醸酒などはあまりおすすめしません。
②日本酒を温める
温かい出汁に冷たい日本酒を合わせるとぬるくなってしまうので、日本酒を40~50℃程度に温めてから出汁と割りましょう。温め方は湯煎が一番ですが、面倒な場合は電子レンジで温めてもOKです。
③出汁はパックでもOK
出汁は、もちろん素材からとるのが一番ですが、パックや出汁の素でも十分美味しい出汁割りができます。
素材から出汁をとる場合は、少量の塩も加えましょう。五味を揃えるためには、塩味が必要なためです。パックや出汁の素には、もともと塩が含まれているものも多いため、そのままでOKです。
④日本酒と出汁は1:2の割合で
日本酒と出汁の割合は、1:2程度がおすすめです。日本酒が弱い方であれば、出汁が多めの1:3でもOKです。
ベストマッチの出汁割りの組み合わせ
出汁割りというとおでん出汁が有名ですが、出汁には、昆布出汁やかつお出汁など様々な種類があります。
どんな出汁と日本酒の組み合わせが合うのか。今回は、代表的な出汁と「久保田」の日本酒でベストマッチの組み合わせをご紹介します。
昆布出汁×久保田 百寿
上品で控えめなうま味が特徴の昆布出汁。昆布出汁自体があまり主張するタイプではないので、日本酒もシンプルで控えめな特別本醸造の「久保田 百寿」を合わせることで、ちょうどいいバランスになります。よりうま味が深まった味わいが楽しめます。
かつお出汁×久保田 百寿
豊かな風味と多様な香りが特徴のかつお出汁。昆布出汁に比べると、味わいをしっかりと感じる出汁なので、「久保田 千寿」や「久保田 千寿 純米吟醸」など色々な久保田で試してみましたが、日本酒の香りが出汁に勝ってしまい、やはり「久保田 百寿」がぴったりという結果に。かつおの風味のいい香りを引き立てる味わいになります。
鶏出汁×久保田 千寿 純米吟醸
鶏ガラをねぎなどと一緒に煮る鶏出汁。鶏ガラスープという方が馴染みがあると思います。
昆布出汁やかつお出汁に比べて、あっさりしながらもコクや濃厚なうま味がある出汁です。そのため、昆布やかつおの時には合わなかった「久保田 千寿 純米吟醸」のようなお酒でも、日本酒の香りはあまりに気にならず、むしろまろやかで甘味のある味わいを楽しめます。
おでん出汁×久保田 ゆずリキュール
最後はおでん出汁ですが、合わせるのは日本酒ではなく、日本酒リキュールの「久保田 ゆずリキュール」。リキュールがおでんに合うの?と思われるかもしれませんが、ゆずはお鍋に入れたりゆずぽんで具材を食べたりと、もともとお鍋と相性がいい果実なので、ゆずリキュールならおでんとも相性抜群なのです。
さらに、おでんをわざわざ作らなくても、コンビニのおでん出汁で十分美味しく出来上がります。コンビニでおでんを買う際には、つゆ多めで買ってきて出汁割りを楽しんでみてください。
あなただけの出汁割りの組み合わせを
今回ご紹介した出汁は、出汁の中でもほんの一部。他にも様々な素材からとった出汁や合わせ出汁などもあります。さらに、昆布出汁一つとっても、羅臼昆布、利尻昆布、真昆布など、昆布の種類が違うだけで、出汁の味わいも変わります。
無数にある出汁と日本酒、どちらも奥深い世界です。毎日の料理の中で出汁を使う場面があったら、ちょっとそこに日本酒を加えて、あなただけの組み合わせを見つけてみてはいかがですか?