日本酒に賞味期限がない理由とは?美味しく飲むための適切な保存方法などご紹介
うっかり日本酒を長期間放置してしまった、なんてことはありませんか?日本酒には製造年月は書かれていますが、賞味期限は書かれていないため、あまりにも長い期間が経っていると飲んでも大丈夫なのか悩んでしまうこともあるでしょう。ここでは、日本酒に賞味期限の表示がない理由や賞味期限の目安、適切な保存方法などをご紹介します。
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日本酒に関する質問で多いのが、保存に関する質問。「古い日本酒が出てきたけど飲めますか?」「冷蔵庫で保存した方がいいですか?」など、意外に保存方法について知られていないようです。そこで、日本酒の保存方法に関する素朴な疑問にお答えします。
目次
意外に知られていない日本酒の保存方法。お客様から寄せられた、日本酒の保存方法に関する素朴な疑問にお答えします。
日本酒は、日光や高温の影響で味が変わると言っても過言ではありません。そのため、紫外線が当たらない冷暗所で保存することが基本です。
冷暗所というのは、なんとなくはイメージができると思いますが、具体的にはどういう場所でしょうか。
一般的には、温度が1~15℃程度で一定に保たれた、直射日光の当たらない場所のことを指します。冷暗所として最も代表的なのは床下収納です。しかし、床下収納がある家は少ないかもしれませんし、ここ最近の夏の猛暑で床下収納でも高温になってしまう危険性はあります。
そのため、一般的な家庭にある冷暗所としては、冷蔵庫が最も安全な保管場所になります。
冷蔵庫の中でも、光が入らないようになるべく開閉の頻度が少ない所に置くのが望ましいですが、家庭用の冷蔵庫ではなかなか難しいでしょう。そのような場合はお酒を新聞紙に包むか、化粧箱に入れて保存してください。ドアの開閉の影響や、光を受けにくくなります。
また、日本酒には、保存又は飲用上の注意事項を表示することが義務付けられており、裏ラベルを見ると「冷暗所で保存」、「要冷蔵・開栓前も必ず冷蔵庫で保管してください」などが書かれています。特に、「要冷蔵」と記載のあるものは、必ず冷蔵庫で保存しましょう。要冷蔵の記載がないものは常温保存が可能ですが、温度変化の少ない冷暗所での保存がおすすめです。
適切な場所で保存された未開封の日本酒であれば、製造年月から約半年~1年程度は美味しく飲むことができるとされています。
日本酒を開けた後は、熟成が進みやすくなり、味わいが変化する可能性が高くなります。そのため、飲みきれなかった場合は、冷蔵庫での保存がおすすめです。
特に生詰酒や生酒、大吟醸酒などは、冷蔵庫での保存が基本。常温より冷蔵庫で保存することで、品質の変化のスピードを緩め、味わいや香りを維持しやすくなります。熟成のスピードをより緩やかにしたい場合は、冷蔵庫の温度を低めに設定しましょう。
開栓済みの日本酒の場合は、約2週間を目安に早めに飲み切るようにしましょう。
ワインは横置きで保存しますが、それはコルクが乾燥して収縮し、入り込んだ空気による酸化を防ぐためです。
日本酒を横置きにすると、キャップや王冠に日本酒が触れて味が変化したり、空気に接する範囲が広くなり酸化が進みやすくなったりするといわれています。そのため、できれば縦置きで保存するのが望ましいでしょう。
日本酒のタイプによっても適切な保存温度は変わりますが、火入れをしていない生酒なら5℃前後、吟醸酒なら10℃前後、純米酒や本醸造酒、普通酒などは20℃前後の常温でも問題ありません。
一般的な冷蔵庫の温度は、JIS規格で定められているのが冷蔵室で2~5℃なので、生酒は必ず冷蔵庫で保管をするようにしましょう。吟醸酒も、10℃前後という温度は人の住む部屋ではあまりない温度なので、こちらも冷蔵庫保管がおすすめです。
ちなみに、日本酒専用のセラーだと、マイナスの温度設定ができるものもあります。日本酒の品質を維持するためには、5℃以下の低温設定ができるものが望ましく、長期保存をする場合は0℃以下の温度設定ができるタイプがおすすめです。
日本酒にははっきりとした賞味期限が存在しません。ただし、賞味期限が明確でないからといって、いつまでも味に変化が出ないわけではありません。未開封の日本酒でも、常温か冷蔵かなど保存する環境によって、熟成のスピードや味わいに変化が出てきます。常温で保存すると熟成の度合いが比較的早く進むため、冷蔵で保管した方が良いでしょう。
賞味期限がないということは、数年熟成させた日本酒を味わう、というのも楽しみ方の一つです。最近では、熟成酒や古酒に注目が集まり、数年から数十年経過した味の変化や熟成具合を楽しむ人も増えています。商品として熟成酒や古酒が販売されていますが、自宅で適切に保存すれば「自家熟成」も可能です。
自家熟成をする場合は、日本酒を新聞紙などで包んで光を遮り、冷暗所に保管してじっくりと待ちます。火入れをした純米酒や本醸造酒であれば常温で保存する常温熟成が、香りのある吟醸酒であれば冷蔵熟成の方が適しています。
だいたい目安としては最低でも3年程度、褐色の色味が出てくるまでに5年程度はかかると思っておくとよいでしょう。いつ開けて楽しむかは自分次第ですね。
一般的には、生酒や生詰め酒などの火入れをしていない日本酒は熟成に向いていないと考えられていますが、熟成できないかというとそんなことはありません。適切な環境で熟成させていれば、生酒も美味しい熟成酒となります。10年以上熟成させた生酒を飲んだことがありますが、非常にまろやかな味わいになっていました。
どんなに美味しい日本酒でも、保存方法を間違えれば老ねてしまい、せっかくの味や香りが台無しになってしまいます。
日本酒を美味しく楽しむためには、まずは正しい保存方法からです。