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パンオタクが教える"日本酒×パン"の意外なマリアージュ
2021.01.25

楽しむ

パンオタクが教える"日本酒×パン"の意外なマリアージュ

“発酵食”という共通点を持つ「パン」と「日本酒」。しかし、一緒に食するイメージを持つ人は少ないのではないでしょうか。しかし、「日本酒とパンの相性は良い」とパンラボ研究員・池田浩明さんは語ります。 そこで、なぜ日本酒とパンが合うのか。その理由とともに『久保田』にマッチするパンを、池田さんに伝授していただきました。

目次

  1. 池田浩明さんプロフィール
  2. 日本酒とパンが合うワケ
    1. どちらも発酵食品
    2. 日本酒や酒粕を使ったパンもある
  3. 日本酒に合うパンのタイプとは?
    1. 「辛口」とマッチするパンは?
    2. 「甘口」とマッチするパンは?
    3. 自分好みを見つけるのも楽しみ方のひとつ
  4. 久保田×パンのおすすめペアリング
    1. 久保田 萬寿 × クリームパン
    2. 久保田 純米大吟醸 × カプレーゼサンド
    3. 久保田 碧寿 × サーモンサンド
    4. 久保田 千寿 純米吟醸 × カレーパン
  5. パン呑みなら日本酒も◎

池田浩明さんプロフィール

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パンの研究所「パンラボ」研究員。ブレッドギーク(パンオタク)を自称するライターであり、NPO法人新麦コレクション理事長。パンを食べまくり、パンを書きまくる。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法(ガイドワークス)』、『パン欲(世界文化社)』がある。Twitter

日本酒とパンが合うワケ

日本酒のつまみといえば、刺身や煮つけ、干物といった昔ながらの肴を想像する人が多いことでしょう。
でも実はパンと一緒に嗜むことで、日本酒のポテンシャルをさらに楽しむことができるというのです――

どちらも発酵食品

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「日本酒もパンも“発酵”という過程を経てつくられるもの。合わないわけがないんです」――池田さんはそう語ります。

日本酒は、麹菌が原料の米に含まれるデンプンを糖化し、さらに酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに換えることで生まれます。
パンは生地に加えた酵母が小麦粉に含まれる糖分を食べ、炭酸ガスとアルコールを生成。このガスによりふっくらとした食感を実現します。

つまりは、どちらも「酵母」を使用しているということ。

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「面白いもので、同じような作り方をしているものは『波長』が合うんです。
つまり、一緒に食すると互いの味わいを引き出すことができる。日本酒とパンが合う理由は、酵母という共通点があるからなんです」

日本酒や酒粕を使ったパンもある

酵母とは食材を発酵させ、糖分をアルコールと炭酸ガスに換える働きがある微生物(真菌類)のこと。自然界に広く存在し、人類の長い歴史の中で、日本酒づくりに向くもの、ワインづくりに向くもの、パンづくりに向くものが発見され、用途によって使い分けられてきました。

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「パンにはパン酵母を使うのが一般的ですが、酒粕酵母を使ってつくるものもあります。もっちりとした食感に仕上がるのでとても美味しく、使用するお店が増えています。
また、木村屋総本店の『酒種あんぱん』には酒種酵母菌が使われています。和と洋のクロスオーバーとでもいうのでしょうか。意外に思われるかもしれませんが、日本酒とパンは共生関係にあるといっても過言ではありません」

日本酒に合うパンのタイプとは?

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日本酒とパンが合うということは分かりましたが、日本酒にもパンにもさまざまな種類があるもの。
どんな組み合わせを選べば、間違いなく美味しくいただくことができるのでしょうか。辛口・甘口など、日本酒のタイプ別にお聞きしました。

「辛口」とマッチするパンは?

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「日本酒とパンを合わせるときは、ワインと同様に考えていいと思ってください。
たとえば辛口の日本酒であれば、前菜的なイメージのパンがいいでしょう。中でもおすすめなのが、オリーブののったフォカッチャ。日本酒とオリーブって、なんだか分からないけど合うんですよ」

「甘口」とマッチするパンは?

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「甘めの日本酒は、その甘さを殺さないよう甘めのパンと合わせるといいと思います。
先に挙げた木村屋総本店の酒種あんぱんなど、菓子パンを合わせるといいんじゃないかな。あとは、バターを使ったふくよかなタイプもおすすめ。日本酒は世界的にも珍しいくらい懐が深く、幅広い食べ物に合うお酒なので、あんこや乳製品とも相性が良いんです」

自分好みを見つけるのも楽しみ方のひとつ

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「あれこれ話しましたが、どの酒でどのパンを食べるかなんて、自由でいいと思うんです。そのときに食べたいパンを食べ、飲みたい日本酒を飲む。それでいい。
あとは、ちょっとした応用というか連想ゲーム的な発想を働かせれば、まったく合わないなんてことはないと思います。
そうそう。バゲットやカンパーニュなどのシンプルなパンは、どんなタイプの日本酒にも合うので試してほしいですね。これは僕の個人的な分析になりますが、山型食パンは軽やかな辛口に、角型食パンはどっしりとした日本酒に合います。また、加水の多いパンは和食と合わせやすいですし、国産小麦のパンはお米と共通する風味がある。そうしたパンを選んで日本酒と合わせてもいいでしょう。
試すときはぜひ、冷酒や燗酒といったように、日本酒の温度を変えてみてほしいと思います。パンをトーストして食べることがあるように、温度を変えることで味わいは大きく変わりますからね」

久保田×パンのおすすめペアリング

ここからはさまざまなパンを食べ続けてきた池田さんが考える、『久保田』の中でも味わいのタイプが異なる4銘柄に合うパンをご紹介。
比較的手に入りやすいパンの中から「おすすめのペアリング」を考えてもらいました。

久保田 萬寿 × クリームパン

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「『久保田 萬寿』の熟した桃やメロンを彷彿とさせる華やかでフルーティーな香りと、しっかりと深みのある味わい。これにぜひ合わせてもらいたいのは『クリームパン』です。
上品な萬寿の風味と相まって、クリームパンそのものの味わいも格上げされることでしょう。フルーツが入ったデニッシュ・あんぱん・生ハムの入ったパンなんかもハマるはずです」

久保田 純米大吟醸 × カプレーゼサンド

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「今回のお話をいただいて『久保田 純米大吟醸』を飲んだとき、パッと脳内にひらめいたのが『このお酒はフレッシュチーズと合うに違いない!』ということ。さっそくモッツァレラチーズを使った『カプレーゼサンド』を合わせてみたところ、とてもバランスが良く、互いを高め合うようにマッチしました。
『久保田 純米大吟醸』は、飲み口も香りも舌に残る味わいも、とても”今”っぽいお酒。ワインが合う食べ物であれば絶対に合います。定番のクリームチーズを塗ったベーグルや、意外にメロンパンももマッチすると思いますよ」

久保田 碧寿 × サーモンサンド

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「『お寿司屋さんで刺身を肴に飲みたい酒だなぁ』『さすが魚を主食としてきた国の酒だなぁ』そんな連想から選んだのが『サーモンサンド』です。
『久保田 碧寿』の、山廃仕込みでありながらも軽やかでシャープなのど越しには、絶対にシーフードが合うと思います。なので、ツナサンド・サバサンド・バインミーなどもおすすめ。魚独特のクセを、碧寿のどっしりとした旨味がまろやかにまとめてくれる、そんな組み合わせです」

久保田 千寿 純米吟醸 × カレーパン

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「カジュアルな印象なのに、上質な旨味を感じさせてくれる『久保田 千寿 純米吟醸』。とてもやわらかい飲み口なのに、独特のスパイシーさを感じたので、合わせるなら『カレーパン』がいい!と思いました。できればカレーパンはトースターで温め、スパイスの香りを高めてから食べてみてください。
また、千寿 純米吟醸は気取らずに飲みたいお酒というイメージがあるので、ハムカツを挟んだコッペパンなどの惣菜パンや、ベーコンエピのような油分の多い食材を使ったパンも合うと思います」

パン呑みなら日本酒も◎

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日本酒とパン。酵母でつながる異種格闘技的な世界はいかがでしたか?
日本酒の新たな魅力を発見し、知られざる実力を体感するためにも、ぜひ“日本酒でパン呑み”を楽しんでみてください。


Photo_Kohji Kanatani Interview & Text_Megumi Waguri Edit_Yasushi Shinohara